新☆何でも屋

みのる

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BBQの裏話

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ニット帽を被りマスクをしたいかにも怪しげな男が平穏な町内を物色しながら歩いていた。
『中々良さそうな所が無いな・・・』

男が歩いていると目の前の店舗から、大荷物を背負った男が猫の入ったゲージを乗せたカートを押しながら出て来て、その後からリードに繋いだ猫を連れた女が出て来て2人でどこかへと歩いてゆく。
 
「あの2人は客なのか、それとも・・・」
独り言を呟きながら素早く店舗の前へと近寄り確認する男。

引き戸には本日休業の張り紙されており
「よし!あの二人がここの店主夫婦に間違いない、思ったより早く見つかってラッキーだったぜ!
店なら期待出来そうだな…」
とブツブツ言いながらも手早くピッキングツールを取り出し、鍵穴に差し込みガチャガチャと開けはじめる。

ガチャッと音が鳴り、
「よし開いた・・・痛~、なんだよいったいどうなってんだよ!」
と更にガチャガチャして、ガチャッと音がしたから開くと今度は開く。
「なんだよ最初から鍵を閉めてなかったのかよ、お陰で爪が割れちまったじゃないか!!
しかしなんつー無用心な店なんだ!?」

男が指を擦りながら店の中に忍びこみ店内の物色をはじめる。
『なんだよこの店は!!ロクな物が無いじゃないか!!
しかもこんな所に入れ歯を展示してるけど誰がこんな所で入れ歯を買うんだ?入れ歯なんて歯医者で自分の口に合わせて作らなきゃダメなんじゃ無いのか?』

店内を物色し終え続いてレジにやってきた男は、レジの鍵を開けようとするがどれだけ頑張っても一向に鍵が開く気配が無い。
『おかしいな!?何で開かないんだ?・・・もしや…』
ある事に気付いた男はあるボタンを恐る恐る押す、開閉と書かれたボタンを…

ガシャっと音ともに開くレジ、中では50円玉がコロコロと転がる。
男は思わず50円玉を掴み投げ付ける。
『ふざけるなよ!?レジの中身が50円だけってなんだよ小学生のままごとじゃねぇーんだぞ!?流行らないんだったらとっとと閉店しろよ!!』

フーフーと鼻息を荒らげていたがやがて落ち着きを取り戻した男は奥の居住スペースへと入って行く。
『店舗の方はダメだから居住スペースを探すとしよう。』

靴を履いたまま薄暗い部屋を物色をする男。
『イッテ~!、なんだぁ?』
足の裏に激痛が走り何かと思い靴を脱ぎ確認すると画鋲が何個も靴に刺さっている。
『危ねぇな、床に画鋲を落としたままにしとくなよ!?』
恐る恐る手探りで画鋲を集め、床に転がっていた箱へ入れてテーブルの上へ置いておく。
画鋲を集め終えた男は物色を再開する。
『イタッ、まだ画鋲が残ってたのか!?』
靴を脱いで確認した男は青くなり冷や汗が吹き出した。何故ならば割れたコップの鋭利な破片が靴に深々と刺さっていたからだ。

逃げるように別の部屋へ移動した男は思わず呟く。
「向こうの部屋はダメだトラップだらけだ、んでこっちの部屋は大丈夫かな?っと・・・なんだ台所か。」

思いのほか物色に手こずっていたので時刻はすっかりお昼にいい時間となっており、小腹が空いてきていた男は冷蔵庫へ手を伸ばす
 冷蔵庫の中には何かの缶詰1缶と、牛乳が1パック入ってるだけだった
『店にロクな物が無いなら冷蔵庫にもロクな物が入って無いな、仕方ないジーチキンの缶詰で我慢するか…』
と缶詰を取り出しよく確認もせずに食べはじめる。

『…なんか妙な味だな、なんの缶詰だ?』
とここではじめて缶詰の確認する男、缶詰の側面には猫の絵が描かれているの確認した男はぶーと噴き出す。
『冷蔵庫に猫の餌なんか入れとくなよ、紛らわしい!!しかも賞味期限が切れてるじゃないか!!』

蛇口を捻り水でうがいをする男。
『酷い目にあったぜ…しょうがない。牛乳でも飲むか。』
口直しに牛乳を取り出し勢いよく飲み始める男。

『ぶふぉ、なんだこれ酸っぱー‼
この牛乳腐ってるじゃないか!!腐った牛乳なんかいつまでも冷蔵庫に入れとかずサッサと捨てろよ!!』
再び水道で口をゆすぐ男 。
「うげ~、気持ち悪い・・・」

台所にあった爪楊枝を使い、歯の間に詰まった猫の餌をシーシーハーハーとほじくりながら、隣の部屋でも物色しようと襖を開ける。
男は尻餅をつき必死で後退り四つん這いで這い出でる様に店の入り口の方へと逃げ出す。
開けっ放された襖の向こうには店主中村の趣味で買った実物大のフィギュアが置かれていた。そうホッケーマスクを付けナタを振り上げたポーズをしているエムソン人形が・・・

店舗から命からがら逃げ出しズボンの股間部分を濡らした男がトボトボと歩きながら、
「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、思わず逃げ出したけどさっきのホッケーマスク野郎はいったい何者なんだ?
薄暗い部屋でナタを振り上げて襖を開けるのを待ってるなんてヤル気満々じゃねーか!!もしかしてトラップだらけの部屋もアイツが荒らした後だったんじゃねーのか!?
しかし酷い目にあったぜ、収穫が一切無くて怪我だけして退散とはな・・・、しかもとんだ恥までかいてしまったし今日は厄日だぜ…」
とブツブツ独り言を言ってる。

あちらこちらと物色しながら川沿いの方へとやって来た男が河原でバーベキューをやっている4人組に気付く。
「クソー!昼間っから良い物食いやがって、ここまで匂いが漂ってきてるじゃないか・・・、おや?あの二人組は確かあの店の店主夫婦だよな?
クソ~人の苦労も知らずに美味そうに天麩羅を食いやがって!!」

ブツブツ言いながら橋を渡り対岸へとやってきた男が再び河原を確認する。
『今度は肉を持ってやがるよ、早く食えば良いのにまるで見せびらかす様にしやがって、クソ~ますます腹が減ってきやがった・・・

腹も減ったし今日はもう諦めて帰ろう…』
諦めて家へ帰ろうと歩いて行く先に何か有るのに気付き、
「おや?あそこに有るのは・・・」
男が近寄るとそこに置かれていたのは某ドラッグストアチューリップのショッピングカートである。
「これはあの店主が押してたカートだよな・・・、しかもこれチューリップのショッピングカートじゃないのか!?
自分所のカートじゃ無くてパクったカートかよ、なんて奴だ!!」

おもむろにカートへ手を伸ばしそのまま全速力で走り去る男。
『さっきの腹いせに俺がこのカートをパクってやるぜ!!ヒャッホー‼』

走りながら、ここら辺まで来たらもう大丈夫かな?と考え走るのをやめようかとすると後ろからサイレンの音が聞こえてくる。
“ウ~、ウ~~、そこの男止まりなさい‼”

パトカーに止められ職質を受ける男。
警察官
『こんな所で走りながらカートを押して何をしているのですか?それにそれはチューリップのカートですね?どういう事なのか詳しい事情を教えてくれますか?』


『え!?いやこのカートはえっと、その~・・・そこの川沿いに有ったのをパクった・・・じゃなくて、チューリップのカートが置いてあったので、そう、困ってると思って届けようとしていたんです!』

警察官
『そのわりには全速力で走ってましたよね?届けるだけならばそんなに急がなくても良いですよね?
チューリップとも逆方向ですし怪しいですね、ちょっと署までご同行願えますか?』


『えっ!?それはちょっと困ります、私怪しい人物では有りませんよ!?』

警察官
『皆さん最初はそう仰られるんですよね、カートは我々が返却しておきますのでパトカーへご乗車ください。』

ーその夜の県内のニュースにてー
本日お昼頃、ドラッグストアチューリップのカートを盗んだ男が逮捕されました。
警察の取り調べにたいして男は、「俺はあのカートを盗んだけど盗んできたのは俺ではない、あの店主にハメられたんだ!」と訳のわからない事を繰り返し警察も一体何を言ってるのかわからないと首を捻っています。


ニュースを見ていた店主中村はほくそ笑んでいた。
やましい気持ちが有るのでカートを盗まれたと警察に通報も出来ず、泣き寝入りするしかないと思ってた所へこのニュースであった。
証拠として押収されたカートに描かれたチューリップの中心にNのマークがアップになって映し出されたのを発見したからである。
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