新☆何でも屋

みのる

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ブームに乗っかって※

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ある日の朝、店主中村に呼び出された元店主が何でも屋に訪れていた。
『おっさん、わざわざ来てもらって悪かったな。』

『別に構わんけど一体何の用だね?』

店主中村が今日呼びだした理由を話しだした。
『実は昨年末に超タイガーボールAの新作映画が公開されて、子供たちに大ブームだから上手くブームに乗っかって何か玩具でも作れないかな?と思ってね。おっさんはそう言うの得意だろ?
で、肝心のおっさんはタイガーボールってアニメは知ってるのか?』

『もちろん知ってるよ、初期作は私くらいの世代のアニメだからね。
しかし今の何でも屋の店主はお前さんなんだから、お前さんが考えなくてどうするのかね?ほんとうにまったく…。』
店主中村のお願いに難色を示す元店主。

『まあ良いじゃないか、俺はどうもこういうのを考えるのは苦手なんだよ。』

『しょうがないが無い奴だな・・・、じゃあこんなのはどうだね?』
『ここに取り出したるは金色に光り輝く2つの玉、略してきん』
『おっさん、色々と危ういからその辺で止めとけ。そしてその金の玉はタイガーボールAのアニメと一切関係無いじゃないか!!ほんとにまったく!』
元店主がウェストポーチに入れていた手のひらサイズの箱を取り出すと、すかさず箱に手を入れ金色に光り輝く2個の玉を取り出し、何やら説明をはじめようとするもすかさず店主中村が被せてストップをかける。

『チッ・・・これでいいのか?』
そう言うとピンク色に光り輝く5つの球を取り出した。

『おぉ~、そのピンクに光り輝く5つの球はまさしくどんな願いも聞くだけ聞いてくれるタイガーボール!!
よしよし、各タイガーボールに1~5のハートマークもキチンと入ってるな・・・クオリティも高いしおっさん良い仕事してるじゃないか!?
で、当然ながらただの球って訳じゃないんだろう?ここまでなら俺でも出来るんだよ、何かしらの仕組みが有るんだよな?なっ?なっ?有るんだろ?ただの球だったら面白くないもんな?』
品質のいいタイガーボールを見てテンションが高くなった中村が一気に捲し立てる。

『あぁ、その球に入ってるハートから特殊な電波が発生して、その電波をこのレーダーで探知するのさ。』
店主が説明をしながら四角い物体を箱から取り出した。

『おぉ~、原作と同じように探知できるのかすげぇな・・・おっさんちょっと貸してくれ!』
返答を聞かぬうちからタイガーレーダーを奪い取った店主中村は、1つだけ出っ張っているボタンをカチッカチッと何度か押してる。

『へ~、ちゃんと拡大や拡小もできるのか、それにハートの数まで表示されるんだな!?
これだとこっちに一心球イーシィンチュウがあるとか、向こうに四心球スーシィンチュウが有るとかわかるな、と言うか原作の性能を追い越してるじゃないか(汗)』

『どうやら満足してもらえたようだね、次はこんなのはどうだ?』
元店主が満足げに次の品を取り出す。

『これは神虎シェンフゥの置物で音に反応して動くんだ。私が子供の頃に流行った物を参考にしてみたんだがどう思うかね?』

『う~ん、動きは面白いんだが本当に売れるのかよ・・・』

『どうかな、当時は大ヒットだったんだけどね。』
元店主は自信ありげに取り出したがどこか不安げな店主中村。

『店主さんわざわざすみません、引退されたのに商品の事でうちの人が呼び出したりして…』
中村奥さんが奥からお茶と茶菓子を持ってやって来た。

『な~に構わんよ、どうせ暇だしね。』

『少し休憩したらどうですか?』

『おや、すまないね。』
元店主がお茶を受け取り啜りはじめると、
『おっさん!他に何か無いのか?』
と更に催促する店主中村。

『う~んそうだね、じゃあこれなんかどうだ?
昔作った物で売れなかったんだがハカルダーとしてどうかな?一応数値を測ることも出来るけど。』
と、元店主が取り出したのはサングラス型で透き通った水色のレンズがはめ込まれているハカルダーによく似た製品。

『少し違うけどハカルダーみたいだな、この横のボタンを押したら良いのか?』
と元店主の方を見ながらボタンを押すとレンズ部に数値が現れ上がってゆく、ピーって音と共に数値が48で止まる。

『なんだおっさんの戦う力は48しか無いのかよ、じゃあ次はまいはどうかな?』
と中村奥さんの方を向きボタンを押すが直ぐに数値が止まり2の文字が浮かび上がっている。

『まいにいたっては戦う力は2しか無いよ、おもしれーなこれ♪』
とゲラゲラ笑っている。そして上機嫌になった店主中村は奥さんに自分の数値を測るように促す。
『まい、俺の数値も測ってくれ!!』

奥さんが装置を受け取り装着すると数値を測る。数値はどんどん上がり続け278で止まる。
『278で止まったわよ?』

『おっさんも俺にかかったらコテンパンだなゲラゲラゲラゲラゲラ!』
自分の数値が278と聞いて更に上機嫌になりゲラゲラ笑い出す。
『店主さんうちの人がすみません・・・アナタ、そんな事言わないでよ失礼でしょ!?ほんとにもう!』
すぐに中村奥さんが元店主に謝り店主中村を止める。

『良いから良いから、それよりもまた測ってくれよ。今度はもっと力を入れてみるからさ!』
が店主中村は軽くながし更なる計測を求め気合を入れる。
『ハァーーーーーー!!』

中村奥さんが数値を測ると数値は上がり続け、今度は先程の278を超え365まであがった事を店主中村に伝える。
『今度は365よ?』

『ハァハァハァ、本気を出せばざっとこんなもんだぜ!
おっさんの戦う力が低いのに俺ばかり高くて悪いな、まあ俺はまだま若いからなゲラゲラゲラ!』
上機嫌で元店主を馬鹿にし続け笑い転げている店主中村、そんな店主中村に天罰が下る。

『青年、盛り上がってる所悪いがそれは戦う力を測ってるわけじゃないぞ?』
店主の忠告にえっ?と固まる店主中村。

『・・・じゃあ一体何を測ってるんだ?まあ何にせよおっさんよりも優れてるのは確かだけどな。』
いささか不安を感じるも強がる店主中村。

『実はそれは…口臭の強さを測る装置なんだ。』

この言葉を聞いて思わずプッと噴き出すも、慌てて手で口を抑えるがみるみる顔が赤くなり涙目になる中村奥さん、時おり肩が震えている。

『なんとぉー!!』
当人の店主中村は叫び声をあげると、そのまま膝から崩れ落ちorzの形に突っ伏せる。

「なんて事だ、なんて事だ、なんて事ゲホゲホ!」
ブツブツ呟きながら咳き込む店主中村。

そこへガラガラと入り口が開き元店主奥さんが入って来る。
『アンタ!早く帰って来ておくれよ、町内会長があんたに頼みが有るって訪ねてきているんだよ!』

元店主奥さんの声に反応して、スイッチを入れっぱなしで店主奥さんの方を見る中村奥さん。ピッピッピッピッピッと凄い勢いで数値が上がり続け驚く中村奥さん。
『す、凄い…2000を超えたわ…』
なおも数値は上がり続け2500を超えた当たりでビー、ビー、ビーとけたたましい警告音がなり響く。

『おや?何の音だい?』
『・・・』
元店主奥さんが何の音か気になり尋ねるも気まずくて無言になる3人。静まり返った店舗内にプシューと音が響き口臭計測器から煙が噴き出し、やがて口臭計測器の弦の部とレンズ部が分解して落下した。

『おやぁ、何か落ちたね!?』

『あ、あぁ、ど、どうやら壊れてしまったらしいな・・・そ、それは青年に頼まれてだした品なんだよ、なぁ青年。』
何が落下したのか気になる奥さんに、目を泳がせながら答えて青年に振る元店主。店主中村は”俺に振るなよ“と思いながらも視線を奥さんに合わせられずに返答する。
『そ、そうなんだ、おっさんに無理を言って出して貰ったんだ・・・』
『・・・』
どうも話が続かず間が空いてしまう。

『おやそうだったのかい、しかしお前さんが取り出した物が壊れるって珍しいね!?
それでそれは何をする為の物だったんだい?』
なおも続く元店主奥さんの追求に冷や汗が噴き出す3人。すかさず中村奥さんが、
『あ、あの~、奥様、そ、そんな事よりも早く帰らなければ行けないのでは?』
この時ナイスフォローと元店主と店主中村が心の中で思ったのは内緒である。

『おや、そうだったよ!アンタ早く帰るよ!!町内会長さんを待たせたまんまだったよ。アンタも携帯を持っておくれよ呼びに来るの大変なんだからね!?』
元店主奥さんの気がそれ胸をなで下ろす3人。

『と、とりあえず今日の所は帰るから、タイガーボールとタイガーレーダーのセットとハカルダーをいくつか出しておくよ。』
と数個のグッズを置いて元店主夫婦が帰って行った。

取り残された店主中村が
『ふ~、一時はどうなるかと思って生きた心地がしなかったぜ…』

『代物が代物ですので私も気まずくて自然と振る舞えなかったわ…』

『計測不能になったらぶっ壊れるとこまで再現しなくても良いじゃないか、とんだ酷い目に遭ったぜ!ほんとにまったく…』





※タラコ唇さん、精魂注ぎ尽くしました…OTL
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