新☆何でも屋

みのる

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マスクマン再び

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    ここは何でも屋から少し離れた山の手にある日本家屋の一軒家、この家の主人がいつもの様に朝ご飯を食べながら新聞を読んでいると、唐突に店主のビグホが鳴りだした。

『はい、もしもし?』

『あ、店主さんおはようございます、まいです。』

『あぁ、お嬢ちゃんかおはよう、それで朝からどうしたの?』

『はい、実は非常に申し上げづらいのですが······』

『どうしたね?気にせずに遠慮なく言ってよ。』

『うちの馬鹿旦那がですね······』

『うん、青年がどうかしたのかね?』

『⋯⋯性懲りも無くまたあのマスクを着けて外せなくなりました⋯⋯』

『⋯⋯何!?またかね!?』

    元店主が電話に出ると相手は中村の奥さんのまいからで、中村がまた例のマスクを着けて外せなくなったと言う事だった。
    流石の中村でも、まさかあのマスクをまた着けるとは思って居なかった元店主は、思わず叫び声をあげてしまった。

『す、すみません。』

『あぁゴメンゴメン、驚いただけで別に怒った訳では無いよ。』

『それで、私では外す事が出来ないので申し訳ないですが、奥様と二人でまた来ていただけないかと思いまして⋯⋯』

『それは別に良いけど、うちのが町内会の寄り合いに行っててね帰るのが少し遅くなるかもしれないね。
もちろんめぇるをうちのに送って私だけ先に行くつもりだが、恐らくうちのが居ないと外せないと思うよ。』

『それは仕方ありませんのでうちの馬鹿には我慢して貰います、すみませんがよろしくお願いしますね。』

『あぁわかった、これからそっちへ向かうよ⋯⋯じゃあ後程ね。』

    元店主が奥さんは今は寄り合いでおらず、メールを送っておくが遅れるだろう事を伝え自身は先に何でも屋へと急ぐ。

ーー15分後ーー
何でも屋へ到着した元店主が目にしたのは、まいに正座させられ項垂れている中村の姿で有った

『やあ、待たせたね⋯⋯なんだね、青年よ正座させられているのかね?』

シュコ⋯⋯
(あぁ⋯⋯)

『店主さん、何度もお呼び立てしてすみません。』

『ま、まぁなんだ、取り敢えず何とかしないとね。』

    元店主に来てもらったお礼をにこやかに述べるまいであったが、目は一切笑っておらずかなり御立腹になっているようだ。

『このマスクはうちのが拳骨をしたら外れたから、衝撃を与えるのがロックを外すコツだと思うんだよね。
と言う理由で拳骨を⋯⋯』
ゴンッ!!
『アイタッ!!』

『大丈夫ですか?』

『ダメだね、これじゃあ私の拳が先に壊れるね…
う~ん⋯⋯よし、コレを使おう。』

『え?竹刀ですか?』

    前回の事から拳骨で殴れば外れるだろうと考え、拳骨をする元店主であったがマスクが外れるどころか、あまりにもの痛さで元店主の方が音をあげるのであった。
    どうするか考えた末、手がダメなら道具を使えば良いじゃないかと思い竹刀を取り出した。

『め~ん、め~ん、め~ん
おや?外れないね?』

『ダメですね…』

『面、面、面、面、面、突き!!』

⋯⋯シュコッ!!
(⋯⋯フゴッ!!)

『面面面面面面面面面突き、胴、小手!!』

シュコココココココココ、シュコ、シュコ、シュコ
(アダダダダダダダダダ、フゴォ、イタァ、イテェ)

『ハァハァハァ、何かね青年?』

    竹刀を構えた元店主が、剣道の要領でリズミカルにマスクを3回打ち付けるがマスクは外れる気配を見せなかった。
    変化の無いマスクに元店主は若干イラついたのか、次は腰を入れると立て続けにマスクを打ち付けトドメとばかりに突きを打ち込む!
    すると中村は突きの衝撃に耐えきれずに後ろに仰け反ってしまうがマスクは相変わらず中村の頭を覆っていた。
    元店主はついにキレたのか先程とは比べ物にならない速度で一気に連続で打ち付け、流れる様に突き、仰け反ってガラ空きになった胴へ、突き出された手をと次々と打ち付けた。
   それまで我慢していた中村も手を左右に振り待てとジェスチャーすると、息を乱し汗を滲ませた元店主が中村へ問いかけると、中村は紙に何かを書き始めた。

『え~と何々、突きまでは我慢するが胴と手はマスクと一切関係無いじゃないか、何も防具を付けてないから痛いじゃねーか、ってかね?
それは悪かったね隙だらけだったし、つい流れで打ち付けてしまったよ。』

シュコシュコシューコシュコ!!シュココココ
(つい流れでじゃねぇーぞ!!ほんとにまったく…)

『しかし竹刀を使っても一向に外れる気配が無いねぇ?
仕方が無い、こっちを使うか。』

シュコシュコシュコ、シュコシュコシュコシュコシュコシュコーシュコ!!
(オッサンちょっと待て、流石にそんなので殴られたら死んじまうだろーが!!)

    元店主は竹刀でも手に負えないので、竹刀を収納し代わりに両手ハンマーを取り出した。
    ハンマーを見た中村は流石にヤバい元店主を必死で抑え付けようと二人で揉み合っていると、奥さんが遅れてやって来た。

ガラガラガラッ!
『こんにちは、うちの人来てるかい?
メールを送って来るのは良いけど【マスクマン再び、店へ来い】とだけ書かれていたけど、いったいどう言う事なんだい?って、またあんたかい?ほんとうにまったくもう‼』

『やっと来たかね、私らじゃとてもじゃ無いけど外せそうに無いから、悪いけど早速頼むよ。』

『しょうが無いね⋯⋯歯を食いしばるんだよ!』

スコ~ン!!くゎぱぁっ♡

『アイタッ!!流石奥さんだぜ、お陰で助かったよサンキュウな♪』

    メールに書かれていた文章が意味不明でなんの事か分からずにやって来た奥さんだが、中村の姿を見て何があったのかを直ぐに把握して呆れる。
    奥さんが来るのを待ちかねていた元店主は直ぐにでも拳骨をやってくれと促し、奥さんは渋々と言った感じで中村の近付くと、握り拳を作り拳骨を落とす。
    すると辺りに元店主の時の様な殴った側が痛そうな音では無く、スコ~ンと良い音が鳴り響いた。

『お前、マスクに拳骨をして平気のかね?私も拳骨をしたが痛くて一発でネを上げてしまったよ。』

『あんたはどういう風にしたんだい?』

『どういう風にって、こうだけど?』
ゴン!!
イテッ!!

『そんな風に力任せにやってもダメだよ、こういう風に手首のスナップを効かせてえぐり込む様にするのがコツさね♪』
スコ~ン!!
グォォォ、イッテェ~

『二人ともいい加減にしろよ!!俺の頭を例えで使うなよ、イッテェ~!!』

『おや悪かったねぇ、丁度良い所に頭が転がってたからね☆』

『勘弁してくれよ、人の頭を物みたいに言いやがって!!ほんとにまったく……』

    マスクへ拳骨をしても痛がらない奥さんを見て、元店主が不思議そうに奥さんに尋ねた。
    すると奥さんがどういう風に拳骨をしたのか尋ねるので、元店主が目の前に有った中村の頭へ向けて実践して見せた。
    その様子を見ていた奥さんが殴り方が違うと言って、またしても目の前に有った中村の頭へ手本を示してみせた。
    拳骨を食らった中村は、店主の時は我慢出来たが奥さんの時はエグい拳骨だった為、痛みのあまり頭を抱えてうずくまってしまった。

『もうマスクは被るんじゃないよ、わかったかい?』

『ああ、分かってるさもう被らないよ……』

『店主さんに奥様、何度もお呼び立てしてしまってすみませんでした!』

『まいちゃんが謝ることはないさね、ねぇあんた?』

『そうだよ、悪いのはこの青年だからね。』

『面目ねぇ。』

マスクも無事外す事が出来て一件落着である。
流石の中村も三度目は無いだろう⋯⋯むしろ有ってももう書かないぞ、まる
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