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何でも屋に訪れた珍しいお客さん
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残暑の厳しいある日の昼下がり、冷房の効かせた店内で今日も中村はいつもと同じように暇そ~うにしていた。
『うぉ~、暇だぁ~‼
何か面白い事は無いのか!?
しょうがねぇ、エ◯ほ⋯⋯MYTubeでも見てるか…』
暇に耐えかねた中村が、暇潰しにイカガワシイ本でも読もうとしたがどこからとも漂ってくる殺気を感じ取り、急遽動画を見ることにした。
中村が動画を見はじめて直ぐ何でも屋へと近付く影が⋯⋯
そんな事に一切気付いていない中村は、この後取り乱す事になるとも知らずにゲラゲラ笑っていた。
『ゲラゲラゲラ、この投稿者は相変わらずバカだな!?
アハハハハハ、そうなる事なんか言わなくてもふつう直ぐにわかるだろ!?本当にバカだなこいつは、ハハハハハ
お腹が捩れて苦しい、イヒヒヒヒヒ‼
は~笑った笑った、さて次はどの動画にしようかな⋯⋯』
ガラガラガラッ‼
『こんにちは~!』
『ハ、ハロー!?
オラナカムラ、ワルイケドチョットマツヨロシ、オラニハワカラネェダ‼』
『は、はぁ⋯⋯』
『マイ、オキャクサンキタガヤ、オラトカワルヨロシ、オラノテニオエネーダ、ハヨウキヤンセ!』
『はぁ?アナタいったいなに弁で話してるの?しかもなんで片言?』
涙目になりながら顔を真っ赤にさせ、大爆笑しながら某有名MYTuberの動画を見終え、次に何を見ようかと吟味している所へ1人の客が訪れた。
客の姿を見た中村は取り乱し、片言でめちゃくちゃな言語を発しながらまいに助けを求める。
中村よ何故に片言?少しは落ち着け相手は日本語を話してるぞ?
一方まいは中村の妙な話し方に訝しげな顔で出てきたが、客の姿を確認すると直ぐに納得し営業スマイルで客に話しかけた。
『あ~そう言うことね!
Welcome
(いらっしゃいませ)
What do you buy today?
(本日は何をお買い求めでしょうか?)』
さすがはまいである。中村と違い英語でスムーズに接客をする。
中村よ必要最低限の英語は覚える方が良いんじゃないか?
『こんにちは、貴女英語お上手ですね!』
『ありがとうございます、お客様も日本語とてもお上手ですね。
日本へ来て長いのですか?』
『日本へ来て5年になります。』
『そうですか⋯⋯それで本日は何を求めですか?』
『えっとですね、国へ帰郷するので両親への土産に何か日本の夏らしいのは無いかと思いまして⋯⋯
何か良いもの有りますか?』
『う~ん、そうですね浴衣と草履に扇子なんかはいかがですか?後は風鈴なんかもよろしいかと思いますが。』
『そうですね、良いかも知れませんがお金があまり無いのですが大丈夫でしょうか?』
しばし談笑したのちまいが何が欲しいのかを聞くと、両親への土産として日本の夏らしい物が欲しいとの返答。そこで浴衣等の夏らしい物を提案するが客は高いのでは無いかと難色を示す。
『では全て合わせて5万円でいかがですか?』
『それならば買えますが浴衣はもっと高いのでは無いですか?』
『本来は全て職人さんの手作りですので、お値段の方はもう少し高くなるのですが⋯⋯
ご両親へのお土産との事ですし、日本の物を多くの海外の方へ知って貰うために、本日はサービスさせていただきます。』
『本当ですか、ありがとうございます。』
『では、カタログをお出しますのでサイズとどの柄にするのか選んでいただけますか?』
『はい、わかりました。』
話し合いの結果当初の物を買う事に決まり、商品を選ぶ為にまいはテーブルの上に分厚いカタログを取り出す。
『では、こちらの中からお好きな柄を選んでください。』
『ちょ、ちょ、ちょっと待ってください‼
どの浴衣も1着7万円以上するじゃ無いですか!?
これは流石に⋯⋯』
『実はですね、私の旦那様の実家が老舗の呉服屋なので浴衣が安く手に入るのですよ、ですから遠慮無く選んでください♪
(本当はどれもこれも無料で手に入るとは口が裂けても言えないわね⋯⋯)』
『そ、そうですか⋯⋯なんだか申し訳ないです⋯⋯』
カタログを手に取り浴衣を選びはじめる海外の客だったが、カタログに書かれてる値段を見て仰天する。
流石に高すぎるので遠慮しようとするが、中村の実家から安く仕入れれると言うことで、再度カタログを手に取りどれにするか選びはじめる。
『で、では浴衣はこの柄とこの柄を、草履はこれとこれ、扇子はこれとこれ、風鈴はこれをお願いします。』
『わかりました、商品の梱包をしますので時間が少々⋯⋯そうですね、カキ氷をサービスしますのであちらのカフェスペースでお待ちいただけますか?』
『いえいえ、既にかなりサービスしてもらってますので、流石に申し訳ないのでカキ氷代はお支払します。』
『サービスしますので遠慮なさらずにお好きな味をお選びください。』
『そ、それではイチゴをお願いできますか?』
『イチゴ味ですね?わかりました、ではあちらのお席でお待ちください。
アナタ~、カキ氷を運んでちょうだい!』
『ゲッ、俺かよ⋯⋯
ハイ、ドウゾ、ユックリシテイッテ⋯⋯ネ?』
『ありがとうございます。』
どれを買うか決めた後、商品を梱包するのに少し時間がかかるためまいはカキ氷を食べながら待ってくれるように伝える。
客は遠慮するものの押しきられる形で好きな味を伝える。
まいが梱包中なので中村にカキ氷を運ぶように伝えると、中村は顔を引きつらせながら運ぶ。
しかし中村よ何故に片言なんだ?相手は流暢に日本語を話してるぞ?
『まあ、とっても美味しそう
ッ‼濃厚でイチゴの果肉も入っていてとっても美味しい、こんなに美味しいカキ氷ははじめて食べたわ♪』
客が舌鼓を打っているカキ氷は、いつも中村が取り出すスーパーで1つ100円程で売られている、どれを食べても味が同じと噂の安~いカキ氷シロップではないのだ。
まいが取り出したのは、元店主のようにフルーツから作られた味にこだわった本格的なシロップである。
今現在のカフェは、中村が原材料に特にこだわらないが為に味が激落ちしてしまい、今までカフェ目的で来ていた客達が離れてしまっているのであった。
『私こんなに美味しいカキ氷ははじめてです、とっても美味しかったです♡
えっと、5万でよろしかったのですよね?』
『はい、確かに5万お預かりします。
カキ氷の方もお気に召された様で良かったです♪
それとこちらが商品です、本日はありがとうございました。』
『こちらこそありがとうございます、お陰で両親に良い日本土産が買えました♪
また次もこちらによらせていただきますね!』
『ありがとうございました。』
会計を済ませた海外のお客様はとても満足して帰って行ったのである。
中村は客を見送った後一息つくのであった。
『ふう~、漸く落ち着いたぜ!』
『アナタは英語話せないの知っているけど、さっきのお客さんは日本語上手に話してから平気でしょう?』
『いや、わかってはいるんだけど俺はどうも外国人は苦手でな、いざ目の前に居るとテンパッちまうんだ…』
『ほんとにもう、しようが無い人ね…』
今日も平和な1日が過ぎ去って行くのであった、まる
『うぉ~、暇だぁ~‼
何か面白い事は無いのか!?
しょうがねぇ、エ◯ほ⋯⋯MYTubeでも見てるか…』
暇に耐えかねた中村が、暇潰しにイカガワシイ本でも読もうとしたがどこからとも漂ってくる殺気を感じ取り、急遽動画を見ることにした。
中村が動画を見はじめて直ぐ何でも屋へと近付く影が⋯⋯
そんな事に一切気付いていない中村は、この後取り乱す事になるとも知らずにゲラゲラ笑っていた。
『ゲラゲラゲラ、この投稿者は相変わらずバカだな!?
アハハハハハ、そうなる事なんか言わなくてもふつう直ぐにわかるだろ!?本当にバカだなこいつは、ハハハハハ
お腹が捩れて苦しい、イヒヒヒヒヒ‼
は~笑った笑った、さて次はどの動画にしようかな⋯⋯』
ガラガラガラッ‼
『こんにちは~!』
『ハ、ハロー!?
オラナカムラ、ワルイケドチョットマツヨロシ、オラニハワカラネェダ‼』
『は、はぁ⋯⋯』
『マイ、オキャクサンキタガヤ、オラトカワルヨロシ、オラノテニオエネーダ、ハヨウキヤンセ!』
『はぁ?アナタいったいなに弁で話してるの?しかもなんで片言?』
涙目になりながら顔を真っ赤にさせ、大爆笑しながら某有名MYTuberの動画を見終え、次に何を見ようかと吟味している所へ1人の客が訪れた。
客の姿を見た中村は取り乱し、片言でめちゃくちゃな言語を発しながらまいに助けを求める。
中村よ何故に片言?少しは落ち着け相手は日本語を話してるぞ?
一方まいは中村の妙な話し方に訝しげな顔で出てきたが、客の姿を確認すると直ぐに納得し営業スマイルで客に話しかけた。
『あ~そう言うことね!
Welcome
(いらっしゃいませ)
What do you buy today?
(本日は何をお買い求めでしょうか?)』
さすがはまいである。中村と違い英語でスムーズに接客をする。
中村よ必要最低限の英語は覚える方が良いんじゃないか?
『こんにちは、貴女英語お上手ですね!』
『ありがとうございます、お客様も日本語とてもお上手ですね。
日本へ来て長いのですか?』
『日本へ来て5年になります。』
『そうですか⋯⋯それで本日は何を求めですか?』
『えっとですね、国へ帰郷するので両親への土産に何か日本の夏らしいのは無いかと思いまして⋯⋯
何か良いもの有りますか?』
『う~ん、そうですね浴衣と草履に扇子なんかはいかがですか?後は風鈴なんかもよろしいかと思いますが。』
『そうですね、良いかも知れませんがお金があまり無いのですが大丈夫でしょうか?』
しばし談笑したのちまいが何が欲しいのかを聞くと、両親への土産として日本の夏らしい物が欲しいとの返答。そこで浴衣等の夏らしい物を提案するが客は高いのでは無いかと難色を示す。
『では全て合わせて5万円でいかがですか?』
『それならば買えますが浴衣はもっと高いのでは無いですか?』
『本来は全て職人さんの手作りですので、お値段の方はもう少し高くなるのですが⋯⋯
ご両親へのお土産との事ですし、日本の物を多くの海外の方へ知って貰うために、本日はサービスさせていただきます。』
『本当ですか、ありがとうございます。』
『では、カタログをお出しますのでサイズとどの柄にするのか選んでいただけますか?』
『はい、わかりました。』
話し合いの結果当初の物を買う事に決まり、商品を選ぶ為にまいはテーブルの上に分厚いカタログを取り出す。
『では、こちらの中からお好きな柄を選んでください。』
『ちょ、ちょ、ちょっと待ってください‼
どの浴衣も1着7万円以上するじゃ無いですか!?
これは流石に⋯⋯』
『実はですね、私の旦那様の実家が老舗の呉服屋なので浴衣が安く手に入るのですよ、ですから遠慮無く選んでください♪
(本当はどれもこれも無料で手に入るとは口が裂けても言えないわね⋯⋯)』
『そ、そうですか⋯⋯なんだか申し訳ないです⋯⋯』
カタログを手に取り浴衣を選びはじめる海外の客だったが、カタログに書かれてる値段を見て仰天する。
流石に高すぎるので遠慮しようとするが、中村の実家から安く仕入れれると言うことで、再度カタログを手に取りどれにするか選びはじめる。
『で、では浴衣はこの柄とこの柄を、草履はこれとこれ、扇子はこれとこれ、風鈴はこれをお願いします。』
『わかりました、商品の梱包をしますので時間が少々⋯⋯そうですね、カキ氷をサービスしますのであちらのカフェスペースでお待ちいただけますか?』
『いえいえ、既にかなりサービスしてもらってますので、流石に申し訳ないのでカキ氷代はお支払します。』
『サービスしますので遠慮なさらずにお好きな味をお選びください。』
『そ、それではイチゴをお願いできますか?』
『イチゴ味ですね?わかりました、ではあちらのお席でお待ちください。
アナタ~、カキ氷を運んでちょうだい!』
『ゲッ、俺かよ⋯⋯
ハイ、ドウゾ、ユックリシテイッテ⋯⋯ネ?』
『ありがとうございます。』
どれを買うか決めた後、商品を梱包するのに少し時間がかかるためまいはカキ氷を食べながら待ってくれるように伝える。
客は遠慮するものの押しきられる形で好きな味を伝える。
まいが梱包中なので中村にカキ氷を運ぶように伝えると、中村は顔を引きつらせながら運ぶ。
しかし中村よ何故に片言なんだ?相手は流暢に日本語を話してるぞ?
『まあ、とっても美味しそう
ッ‼濃厚でイチゴの果肉も入っていてとっても美味しい、こんなに美味しいカキ氷ははじめて食べたわ♪』
客が舌鼓を打っているカキ氷は、いつも中村が取り出すスーパーで1つ100円程で売られている、どれを食べても味が同じと噂の安~いカキ氷シロップではないのだ。
まいが取り出したのは、元店主のようにフルーツから作られた味にこだわった本格的なシロップである。
今現在のカフェは、中村が原材料に特にこだわらないが為に味が激落ちしてしまい、今までカフェ目的で来ていた客達が離れてしまっているのであった。
『私こんなに美味しいカキ氷ははじめてです、とっても美味しかったです♡
えっと、5万でよろしかったのですよね?』
『はい、確かに5万お預かりします。
カキ氷の方もお気に召された様で良かったです♪
それとこちらが商品です、本日はありがとうございました。』
『こちらこそありがとうございます、お陰で両親に良い日本土産が買えました♪
また次もこちらによらせていただきますね!』
『ありがとうございました。』
会計を済ませた海外のお客様はとても満足して帰って行ったのである。
中村は客を見送った後一息つくのであった。
『ふう~、漸く落ち着いたぜ!』
『アナタは英語話せないの知っているけど、さっきのお客さんは日本語上手に話してから平気でしょう?』
『いや、わかってはいるんだけど俺はどうも外国人は苦手でな、いざ目の前に居るとテンパッちまうんだ…』
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