新☆何でも屋

みのる

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お団子を買い求める客たち

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    やや涼しくなりかけたがまだまだ残暑の厳しい有る日の朝、午前9時になり中村が店を開ける為に居住スペースから店舗の方へと出てくると、何ら店舗前が何やら騒然としていた。

ガヤガヤガヤガヤ、ザワザワザワザワ

『ん?今日は何か有ったのかやけに騒がしいな?』

ガラガラガラッ!!

『うぉっ!?な、なんだこのジィさんバァさんの集団は!?』

『おっ、何でも屋が開いたぞ!』

『急げ‼』

『ワシが先じゃ!』

『いんや!ワシの方が先に並んでおったわい‼』

『一気に店の中へなだれ込んで来たら危ないだろ、並んで順番に入って来いって!』

    引き戸の鍵を開け、店舗前に置かれてる閉店中の看板と掛札を取り込む為に引き戸を開くと、店先にはお爺さんとお婆さん達の集団が店が開くのを今か今かと待ち構えていたのである。
    店が開店すると集団が我先にと店へ詰め込みパニック状態に陥った為に、中村は老人達に危ないから順番に並べと注意して漸く落ち着いた。
    とは言っても1列に並んだものの老人達の行列は店から軽くはみ出し、店に入れていない老人達の方が遥かに多くかなり長い行列となっていた。

『で、何が欲しいんだ?』
(クソッ、戸が閉めれないから冷房が聞かないじゃないか)

『もちろんお団子に決まってるじゃ無いの♡』

『団子って何の団子だ?3色団子か?それともみたらし団子か?』

『お前さんは何を言ってるの、白い塩味の団子に決まってるじゃない!?』

『そ、そうか⋯⋯で、幾つ欲しいんだ?』

『ワシは30個欲しいねぇ♪』

『わかった30個だな!?
そうだ、おーいまい!ちょっと来てくれ~』

『どうしたの!?私今片付けで忙しいのよ?』

『良いから早く来てくれ!!』

『いったい何なのよ!?ほんとにもう⋯⋯って、なにこのお年寄り達の行列は!?』

『俺もよくわからないんだけど、店が開く前から暑い中このジィさんバァさん達が待ってたみたいなんだ、帽子は被ってるが熱中症になられたら堪らん!冷たい茶とお絞りを配ってやってくれ‼』

    中村が1番先頭のお婆さんに何が欲しいのかと尋ねたら、お婆さんさんは団子が欲しいと言うが何の団子が欲しいのかわからない中村は知ってる団子を言ってみる。
    しかしお婆さんが欲しいのは和菓子の団子では無く、塩味の白団子だと言った。
    白団子を何個欲しいのか聞いた中村はある事を思い出し忙しいまいを呼び出した。ブツブツ言いながら出てきたまいは老人達の行列に驚き、中村に何事か問いかけるが中村も知る由もなく事情を話し冷たい物を出すように伝えた。

『え~と、30円の団子が30個で900円だ。』

『はい900円ね、ありがとね♪』

『次のジィさんは何が欲しいんだ?』

『ワシもさっきのバァさんと同じで白い団子が欲しいんじゃが、15個欲しくてその内1個だけを黄色にして欲しいんじゃ♡』

『めんどくせぇな、何色でも同じねぇのか?』

『全く違うんじゃ、お主は風流が分かっとらんのう⋯⋯』

『15個で1個だけ黄色だな⋯⋯30円が15個で450円だ 。』

『はいよ450円。』

『次のジィさんは何が欲しい?』

『ワシは甘党でのう、白団子の中に餡子が入ったのが欲しいんじゃ☆
数は30個頼むからのう。』

『餡子入り団子が1個50円でそれが30個だから合わせて1500円だ。』

『ちょっとまっとくれ、1個30円じゃ無かったのかのう!?
話が違うじゃろ、これじゃあまるで詐欺じゃ無いか!?』

『詐欺なんて人聞きの悪い事を言うなよ、餡子入りの団子が何も入ってない団子と同じ値段な訳ねぇだろ!?ほんとにまったく…』

『ほれ1500円じゃ、まるで詐欺にあった気分じゃわい!』

『だから詐欺じゃねぇって言ってんだろ!!餡子が入ってるぶん高いのは当たり前だろ!?なんて図々しいジィさんだ、ほんとにまったく‼』

『で、次のジィさんは何が欲しいんだ?』

『味の無い白団子が欲しいんじゃが、ワシは独り身じゃから5個だけ欲しいんじゃが良いかのう?』

『あぁ勿論良いぜ、30円が5個で150円だ。』

『150円じゃ少ない数ですまんのう…』

『別に良いよ気にするな。』

    中村は老人達を次々と捌いていくのだが、皆欲しがるのは多少の誤差は有るが団子を買い求める。
    感の良い人はとっくに気付いていると思うが、今日はお月見でその為に団子を買う為に朝の早くから老人達が並んで居たのであった。

『よし、次のバァさんは何が欲しい?』

『アタシャ団子を200個欲しいんだがねぇ、その内の50個を塩味、50個を砂糖味、残りの100個を餡子入りにして欲しいんだがね。
それで、塩味の内3個、砂糖味の内3個、餡子入りの内6個を黄色にして欲しいんだがね♪』

『ゲッ!!200個も欲しいのかよ⋯⋯しかしなんともめんどくせぇ注文だな、おい!
え~と、塩味と餡子入りが50個で⋯⋯『違うがね、塩味と砂糖味が50個だがね!』

『チッ、めんどくせぇな、塩味と砂糖味がどっちも1個30円で合計100個、餡子入りが1個50円で100個合わせて⋯⋯幾らだ!?』

『8000円だがね。』

『そ、そうか、バァさん計算早いな…(滝汗)』

『そろばんを習ってたから暗算はお手の物だがね、はいよ8000円。』

『しかしまだまだ居るな、いつまでかかるんだこれ⋯⋯
よし次!』

    次のお婆さんの注文がややこしくて苦戦したが、何とか捌き残りの客達を見るが店の外までの行列が続いており中村はうんざりする。
    それからも次々と客を捌き続け、最後の客を裁き終えた時には既に13時をすぎていた。

『ふ~、やっと終わったぜ⋯⋯
ゲッ!!もうこんな時間だ、まい!遅くなったが昼飯にしようぜ♪』

『そうね、私も疲れたから今日のお昼は店屋物を頼んで良いかしら?』

『お、良いね♡
俺はザル蕎麦とカツ丼にしてくれよ♪』

『私もザル蕎麦にしようかな♪
じゃあ注文するね!』

『あぁ、さてと1年分は働いたしもうクタクタだから今日はもう店じまいだ!』

    まいに昼飯にしようと伝えた所、まいはお茶出しを終えた後そのまま商品の包装も手伝っており、疲れ果てていた為お昼ご飯は近所の店で店屋物を注文していいかと中村に問いかける。
    外食の大好きな中村は当然ながら大賛成であり、疲れてる癖に食欲も落ちずにいつもと同じように大量に食らうつもりらしい。
    お昼ご飯が店屋物に決まった所で、疲れていた中村は早々に店じまいをしてしまうので有った、まる
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