新☆何でも屋

みのる

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クリスマスイヴ早朝の出来事

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    クリスマスイブの朝早く何でも屋の開店にはまだ早い時間帯の事、当然ながら中村はまだ寝ており時間ギリギリまで寝倒すつもりだ。

ゆっさゆっさゆっさ
『ねぇアナタ起きてよ⁉️』

『フゴ?お、俺は⋯⋯料理の盗み食いはしてないぞ‼⋯⋯濡れ衣だ‼ムニャムニャ……』

『いったいどういう夢を見てるのよ⋯⋯じゃなくて起きてちょうだい!』

『ンゴゴゴ?ムニャムニャ⋯⋯もう飯か?⋯⋯俺ぁさっき摘まみ食いしたからまだ腹が減ってないんだ⋯⋯ムニャムニャ、ンゴ~』

『だ~か~ら~、起きてってば‼
で、結局摘み食いしたの、してないの⁉️そっちの方が気になるじゃない!?ほんとにもう⋯⋯』

『ん~、どうしたんだまい、もう起きる時間か?』

    散々寝ぼけ倒していた中村が漸く目を覚まし、まいに問いかけながら枕元の目覚まし時計を手繰り寄せる。

『ゲッ‼まだ6時じゃないかよ⁉️なんだよこんな朝っぱらから、俺ァ疲れてんだよ時間まで寝かせてくれよ⁉️』

『お店に出すツリーの飾り付けをしようと思って、それと今日売るケーキと照り焼きローストチキンやフライドチキンも並べないといけないでしょ?』

『えっ、嘘だろ?
昨日店を閉めてから店舗の散々飾り付けをしたじゃないか俺は疲れてるんだよ、それにケーキとかも注文が入ってから手渡しで良いんじゃないのか?』

『そんなんじゃダメよ‼
商品を店に並べて置いてお客さんの目に触れさせて購入意識をくすぐらないと·····』

『チッ、わかったよ起きりゃあ良いんだろ起きりゃ⁉️
うぉ⁉️寒~今日は一段と冷えやがる⋯⋯』

    まいに丸込められ渋々起き出す中村だったが、ここ最近急に冷え込みが増してきておりあまりもの寒さに思わず身震いをする。

『さてと主役のモミの木と彩りの飾りや電飾を取り出して⋯⋯と、飾りは適当に散りばめたら良いんだろ?』

『えぇ、でもバランス良く散りばめてね?
それが終わったら電飾を巻き付けて、この綿で雪を積もらせたら完成よ。』

『よし、完成っ·····と後は店の方へ運ぶだけだな。』

    最初は渋々だった中村だが、クリスマスツリーの飾り付けは面白かったのか最後はノリノリになっていた。
    1時間程でクリスマスツリーの飾り付けが終わり、後は店舗へ運ぶだけとなった。

『ヒィーーー、サミィ~‼こっちは床がコンクリートだからより一層冷え込んでやがるぜ⋯⋯』

『⋯⋯⋯⋯』

『ん、まいどうした!?っておい、どこへ行くんだ?』

『⋯⋯私は朝ご飯の用意をするからこっちはお願いね?』

『あっ‼まい、自分だけ暖かい所に逃げるなんてズルいぞ⁉️』

    思った以上に寒かったのか中村1人を残してそそくさとまいは住居の方へと逃げていった。

『クソ~、このクソ寒いのに何で俺1人でやらなきゃならないんだ?ほんとにまったく·····
先ずはストーブに火を入れなきゃやってられないな⋯⋯』

    中村はブツブツと言いながら旧式の石油ストーブをつけ黙々と作業をやり始める。

『モミの木はここでいいな、後はここを少し広げてっと·····』

    飾り付けをしたモミの木をレジの横に飾り、続いてレジ横のスペースを若干広げるとそこへ冷蔵ショーケースを設置した。

『よし!ショーケースはこんなもんで良いだろう、次は中にクリスマスケーキを入れないとな。』

   設置したばかりの冷蔵ショーケースの中へ生クリームケーキ、チョコケーキ、ブッシュドノエル等様々な種類のケーキを次々と並べた中村は軽く腰を叩く。

『ふ~疲れた⋯⋯後は、照り焼きローストチキンとフライドチキンを入れるホットケースを取り出してと、このショーケースの上に置けば良いだろう。』

    ケーキを並べ終えた中村は二段式の保温ケースを取り出すと、迷うことも無く冷蔵ショーケースの上へ設置した。
    保温ケースの上段に照り焼きローストチキンを並べ、下段にはフライドチキンを並べた。

『やっと終わったぜ!』

『アナタ~ご飯よ~!』

『ああ今行く!』

    開店準備が終わると、タイミング良く朝御飯のお呼びがかかり中村は住居の方へと戻って行く。

『お疲れ様、今日はアナタの好きな義淡味噌を使った味噌汁も有るわよ?』

『おっ、やり~♪』

『ズズズ~
んー、美味い‼冷えたきった身体が温まるぜ、あ~極楽極楽♡』

『アナタ本当に義淡味噌好きね·····』

『ああ、これほど美味い味噌は他には無い!』

    食事を終えた中村は再び店舗の方へとやって来た。

『すっかり遅くなっちまったから2度寝する時間も無いか、そろそろいつもの姉ちゃんが来る時間だし仕方ない鍵を開けて待ってるか。』

    ブツブツと言いながら引き戸の鍵を開け、いつもの所で椅子に腰をかけるとビグホを取り出し動画を見はじめる。

『どこもかしこもクリスマスの動画ばかりだな⋯⋯
お、クリスマスソングか久しぶりに歌って見るかな!?』

『♪ジングーべー    ジングーべー    腹が鳴る~
腹が鳴ったら 美味い物を食う~
ホイ!!
ジングーベー ジングーベー 腹が鳴る~
腹が鳴ったら 美味い物を食う~♪♪』

ガラガラガラッ!

『いらっしゃい、いつも早いな⋯⋯って誰だお前?はじめて見る顔だな?』

    中村が動画を見ながら機嫌よく歌を歌ってると、引き戸が開き1人の客が入って来た。
    時間が時間だし、いつも仕入れにやって来る姉ちゃんかと思い挨拶しながら顔を上げると、そこには見知らぬ1人の青年が立っていた。

『今日は加地く⋯⋯コホン、え~いつも仕入れに来る女性が逃げ腐り⋯⋯コホン、え~急用で来れなくて俺が代わりに仕入れに来ました。』

    どうやらいつも仕入れに来る加地君に逃げられ急遽この青年が仕入れにやって来たらしい。

『そうか、ご苦労なこった⋯⋯
で、何が欲しいんだ?』

『え~と、モミの木と飾りなんですけど何が良いかな⋯⋯
あっ!!この真っ赤なりんごと、この可愛い雪だるまちゃ⋯⋯コホンこの雪だるまと、このステッキも良いな、後はこのトナカイやサンタクロースもオシャレで良いな、これらを出来るだけ沢山欲しいんですけど·····』

『おい兄ちゃん、うちのモミの木は本物の木だから高いぞ⁉️それに飾りも木1つ1つに合わせた数を買ったらそれなりな額になるけど金は大丈夫か?』

『はい、勿論大丈夫では無いのでお安くしてください♡(ニーッコリ)』

『しょうがねぇな、木は1本1万円と言いたいとこだけど8千円、飾りは1つ200円どうだ?』

『うん、勿論お金が足りないので木は3000円で飾りは80円でお願いします♪』

『それじゃあ~安すぎるぜ兄ちゃん!?
木が5千円で飾りが百円だ、これ以上はうちの商売も上がったりだから負けられないぜ?』

    代理の青年が値下げをしてもらおうと奮闘するが、詰めが甘く加地君程も負けて貰えそうも無く!若干諦めムードが漂っていたが、ふと思い出したように懐から1枚の便箋を取り出し中村にソっと手渡す。

『ん?何だこの紙は?
えーと何々⋯⋯⋯⋯⋯⋯チッ、木が3000円で飾りが880円だったな?その値段でいいぜ。』

『ありがとうございます♪』

    中村が受け取った紙には「いつも大量に仕入れるのですから限度額一杯までまけてね♡」と書かれており、仕方なく青年が提示した額まで値下げすると青年はニッコリと笑いお礼を言った。

『じゃあこれが20セット分の代金です♡』

『毎度あり~ ♪』

『ん?ケーキやチキンも売ってるのですね?(ケーキ買っていったら加地君喜ぶかな?)』

    支払いを済ませた青年は店内を見渡しクリスマスケーキやチキンも売られている事に気付き購入する事にした。

『すみませんケーキも1つお願いします!』

『ケーキはどれでも1つ1500円だ好きなのを選びな、チキンはどっちでも1つ百円だけど⋯⋯良いぜ沢山買って貰ったからオマケにしてやるよ好きなの2つ選びな·····』

『本当ですか、ラッキー♪ケーキはチラミスをください、それとチキンは照り焼きとフライドを1本ずつにしてください☆』

『はいよ、1500円だ。』

『はい、1500円♪』

『確かに、で兄ちゃん荷物が多いが·····持てるか?』

『外にリヤカーを停めてますので大丈夫です。』

『ケーキとチキンは俺が持って行ってやるから、兄ちゃんはモミの木を運びな。』

『はい、色々とすみません!』

    珍しく買った物を運んでやる中村だがクリスマスは猛吹雪になるのだろうか⋯⋯

『それじゃあありがとうございました!』

『ああ、気をつけてな。』

『う~、今日は一段と寒いな⋯⋯早くストーブの前に戻って開店まで一眠りしよう·····』

後半に続く…………
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