寂愁のアップルパイ

梨狩り

とある秋の日、
風見達一部の御一行様はとある梨園へと少し遠出をした。
その御一行様の顔ぶれの中には当然！小也の姿。
重兵衛さんはもちろんのこと、ヒライさんの姿も含まれていた。

ー梨園に到着御一行様ー
風見は本音では小也と共に梨狩りを楽しみたかったのだが……無論！そんな勇気は到底無かった故に、仕方なく……

風『先生さん！オラと共に梨狩りをエンジョイしましょう♪』

先『うん、行こうか？』

ゴザ、包丁、バケツ、それからまな板の四点セットを持ち梨園に入り、大きな梨を目指して彷徨う風見達。
それぞれひとつ見繕い、ゴザを敷く先生さんと風見。


その傍ではヒライさんがスケッチブックを開き、懸命に何かをスケッチをされているでは！
傍らではじっとそれを見つめる小也。

………そのモデルとなるものは………なんと！小さなトカゲ‼(絶叫)
風見はハチュウルイとか苦手分野ではあったが……

よく見たら、まだちっさくて可愛いかも？

小也が自らの腕に這いずってくるトカゲさんをいとおしそうに優しい視線で見つめるのを、風見は小さな幸せを感じながら遠巻きに眺めていた。


それぞれ梨を思う存分堪能した後、御一行様は「道の駅」的なところに向かった。
そこで昼食を調達しようという話である。

毎度の如くに資金不足に悩む風見は………

オラ、また「アレ」にしよう。

道の駅にある一軒のパン屋さんに向かった。
パンをひとつだけ購入し、ひとり頬張る風見の元に、まさかの人物！

そう、小也の姿である。
小也がその右手に持っているモノは………？？？な味のソフトクリィム。
当然、風見は小也に訊ねる。

『それは……何味のソフトクリィムですか？』

小『これ？トマト味♪珍しいでしょう？』

そしてそこで小也はまさかのお誘いを風見にしてくるのだ。

『風見さん、コレ一口食べてみる？』

えぇっ！…………いいいいいい今……なんと？(狼狽風見)

『大丈夫、僕はまだ食べてないし……スプーンをもうひとつ貰ってくるから☆』

色々な誘惑に、結果負けた風見。小也にこう申し出る。

『………一口、下され……』

『はい。』


結局、どんな味だったのか風見は記憶出来ていないようだが……
誰だって好きな人にそんな事を言われたら……であろう。