寂愁のアップルパイ

とある日の昼休み

その時の風見のお昼ご飯の定位置は……
風見の向かいにはご存知小也。
そして風見の左側にはある意味ご存知姐さん。そしてその向かいには先生さん……といった四人であった。

仕事場に唯一の食堂的テーブル席。
いつの間にか……この四人で昼休みを過ごすのが当たり前となっていた。


基本、小也は風見にのみ語りかけてくる。
………そんなんやから………勘違いしてしもうたんやな………

色んな話を小也から聞いたり風見も語ったり。

ずっとひとり暮らしをしていて、時々お手伝いの方が家に出入りしてるとか、
基本テレビションが大好きで、ドラマや流行りの踊りの話を嬉しそうにしていたり。
学生時代の話、etc……どんな話にも風見は熱心に耳を傾けた。


当時、姐さんと先生さんと風見の三人で少しだけブームになった『放課後のお茶会』。
それぞれお菓子を持ち寄って、仕事場の珈琲や紅茶を淹れてくっちゃべるのである。
小也はお茶会には付き合わなかったが……時々差し入れと称してお菓子を風見にくれた。

ほれ、こう話を聞いてても
「風見、小也と付き合っちゃえよ？」って気分にならないかね？←だから誰？


小也は色んな事を風見のこころに刻んで去った。
『であいを大事にする事』
………一期一会いちごいちえではないけれども、たった１回きりの出会い……それがもしかしたら思わぬ方向に進むかもしれない。

『自分から名乗り出た仕事は放り出さない』
……これには風見、正直耳を塞いでしまいたかったが……まぁ、小也の言う事は世間的にも間違っていない。

だって自分がやりたいと言い出した事なのだから。

しかし、やってはみたものの……結果自分に合わなかった、良くある話では無いかね？←謎の人、再度登場。


最後に残した小也の台詞。

『月イチ恒例市場で販売してる風見さんに会えたらいいね。』

実は風見……一度だけその月イチ恒例市場とやらに一度だけ！販売員として参加したのだが………(超！短時間)

遂には小也は現れなかった。
最後の小也からの「元気の出る呪まじない」のようなモノだったのかもしれない。