みのる的童話集

みのる

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親指姫

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あるところに子どものいない女性がおりました。

女性は魔法使いに願いました。

"私には子どもがおりません。可愛い女の子が欲しいのです。"

すると魔法使いはひとつの種を差し出して言いました。

『この種を育てると願いが叶うであろう』

女性は喜んで庭に植えました。

種は即座に芽となり、つぼみをつけました。

『まぁ、なんて綺麗』

女性が思わずつぼみに口付けるとそのつぼみは開きました。
すると中に可愛い女の子が座っているではありませんか?

『はじめまして、あなたの名前は「親指姫」よ』

そして女の子に口付けました。


女の子は洗面器のプールで泳ぎ、温度計の舟をこぎながら美しい声で歌いました。

夜はピスタチオの殻で眠り、お布団はチューリップの花びらです。


さて……ある夜のことです。
親指姫がピスタチオのベッドごと、何者かにさらわれたのです。

?『なんて可愛い女の子だろう。俺の嫁にまさに!ふさわしいではないか』

そして謎の生き物は親指姫の布団を剥ぐりました。

?『!!!!!!』

その瞬間、思わず謎の生き物は赤面するのです。
………何故ならば………
親指姫には何故か、夜は何も纏わずに眠る習性がついていたからです。

しかし余程疲れているのか、目覚める気配の無い親指姫。

起きない親指姫に思わず、悪戯ごころが生じた謎の生き物は眠る親指姫に覆い被さるのでした。


『……………?……………』

何かが己の身体中を這いずり回る感覚に、親指姫はふと目を覚ましました。

『!?な…何?あなたは一体誰!!?』

みると暗闇の中で息を荒らげながら親指姫の身体を舐め回す、謎の生き物の姿が。

謎の生き物は親指姫の発達途中の乳房を吸い上げながら言うのです。

「………レロレロ……お前は……俺の嫁になるんだ………チュッ……」

初めての感覚におぞましさを感じた親指姫は、全力で抵抗するのです。
けれども力のある謎の生き物に敵うハズもありません。

「…………なんて………キメの細かい肌………ッ!!」

その透き通るような肌を執拗に撫でながら、謎の生き物は己の下半身で猛り爆ぜるモノを姫のまだ幼い蕾に擦りつけます。

『や……………ッ!痛あ…………!!』

姫は目から大粒の宝石のような涙を零しながら、貫かれる痛みにその意識を失いました。


徐々に白みゆく辺りにつれて、姫の連れ去られた処も明らかになってきました。

高い山頂にそびえる朽ちた孤城。
寝床の周りに飛散する、漆黒に固められた衣服。
幾重の年を経たのかは皆目見当もつかない、しわだらけの皮膚。


親指姫は老いた吸血鬼に見初められたのでありました。

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