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ファン第一号と片思いの相手
第4話 バレていた
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霧ヶ峰高校のすぐ近くで、またしても俺のファンと名乗る女子高生と会ってしまった。
「神谷さん、こんなところで何をしてるんですか?」
「ちょっと昼飯をな」
下手に誤魔化しても仕方ないので、素直に答える事にした。
「そうですよね。神谷さんの会社って、あそこにあるビルですからこの辺りでお昼ご飯を食べてても不思議じゃないですよね」
「ああ、そうだな」
って、この子今なんて言った?
俺の会社があのビルって言わなかったか?
「おい。君は今、俺の会社があのビルだと言ったか?」
「はい、言いましたけど……それが何か?」
女子高生が惚けた表情でこっちを見てくる。
何ともわざとらしい。
「何故知っている?」
「さぁ、何ででしょう?」
女子高生が少し笑みを浮かべながらそう答える。
「後をつけていたのか?」
「てへ♪」
「てへやめろ」
マジかよ。女子高生に後をつけられていたのに、俺は気づかなかったのか。
「まあいいじゃないですか」
「何がだ」
「だって私は神谷さんのファン第一号ですよ?」
「いくらファンだとしても、度が過ぎている」
ちょっとキツすぎただろうか。
だが高校生のうちにダメな事はダメだと、しっかり大人が教えてやらないと将来犯罪者になられても困るしな。
俺の言葉を聞いた女子高生は、少しムッとした表情で言い返してくる。
「分かりました。次からは気をつけます」
「そうか」
「ですが、神谷さんも約束は守ってほしいです」
「約束?」
「約束したじゃないですか!私を名前で呼んでくれるって」
は?俺がそんな約束を?
必死に朝の記憶を蘇らせていた。
むむ……。
数時間前の事なのに、ほぼほぼ覚えていない。
これも歳のせいなのだろうか……。
しかし俺はまだ30歳。認知症や物忘れにはまだ早い年齢だろう。
全てを年齢のせいにするのは悪い癖だ。
じーーーー。
そんな反省をしている中、女子高生が目を細めて睨みつけてくる。
「はいはい、わかったよ」
自分自身覚えていないと言う事で、女子高生の話に合わせる事にした。
その方が無駄な揉め事が起きないと思ったからだ。
「では、私の事を心愛って読んでくれますね」
「ああ。それでいい」
「じゃあ呼んでみてください」
「今か?」
「今です」
それは予想外だ。
俺の中では、ここで話を合わせておけば終わりだと思ってたのだが……。
「こ……あ」
「はい?全然聞こえないんですけど」
クソ!生意気な女子高生め。
年上を何だと思ってるんだ。
「言えばいいんだろ言えば!」
「はい♪お願いします♪」
「……心愛」
「よく出来ました」
屈辱だ。こんな子供の言いなりになるなんて。
「じゃあ俺はもう行く」
「分かりました。私は1日に2回も神谷さんに会えたし、名前まで呼んでもらえたので満足です」
「君が満足かどうかは俺には関係ない」
「あ。また君って言いましたよ」
女子高生が頬を膨らませながら、あからさまに不機嫌な表情を見せてくる。
「すまん。心愛だったな」
「よろしい」
上から目線な発言に少しイラッとしたが、俺は大人だと自分に言い聞かせてそこは我慢した。
そして心愛と別れた後、すぐに翔と待ち合わせをしている定食屋に向かった。
◇◇◇
「ちょっと悟!先に出たのに何で俺より後に来るんだよ」
「悪い悪い。少し知り合いに会っててさ」
翔が腹減ってるんだけどと表情で訴えてくる。
怒ってる顔もイケメンだ。
「俺はもうメニュー決まってるから、悟も早く選んでよ」
「じゃあこれで」
俺はサバの味噌煮定食、翔はコロッケ定食を頼みいざ本題に入る。
「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど何で会社の連中は俺の事ジロジロ見てきてるんだ?」
まずは俺から質問をした。
そして翔はすぐに返事を返してくる。
「それはもちろん昨日の件があったからでしょ」
「昨日の件?」
「悟、昨日通り魔から市民を助けたよね」
「何でそれを!?」
「偶然俺たちの会社の子がその場にいたんだって」
マジか……。
まあでも、遅かれ早かれ知られるとは思ってたから別にいいか。
それよりも、クビとかそっちじゃなくてよかったぜ。
「そうなんだな」
「悟は今じゃ、ウチの会社のヒーローだよ」
「ヒーローって、そんな大した事じゃないぞ」
「何言ってんの!通り魔から市民を助けるなんて、普通の人じゃ出来ないよ」
「そ……そうか」
いやぁ。あの時の俺はただの寝不足なだけだったからなぁ。
たぶん普段の俺だったら、ビビって動けてなかったはずだ。
「それにさ、悟の大好きな早見さんも悟の事を凄く褒めてたよ」
「ほ……本当か!?」
「悟さんって本当は凄い人なんだ!ってさ」
寝不足でよかったーー!
深夜テンションバンザーイ!
「朗報をありがとう」
「じゃあ次、俺の番ね」
「おう。何でも聞いてくれ」
俺は気分が良かった。
今ならどんな質問にでも、笑顔で答えれるようなそんな気がしていた。
「あの女子高生とは、どんな関係なの?」
「へ?」
「今日の朝、そしてさっきも、俺は偶然にも見かけてしまったんだ」
何だってーーーー!
心愛の存在が……バレとる。
待て待てどう答える?
正直に言うか?それとも嘘をついてごまかすか?
「さあ、答えてよ」
翔が早く答えろと言わんばかりの表情で、俺に詰め寄ってくる。
絶体絶命だ。
「神谷さん、こんなところで何をしてるんですか?」
「ちょっと昼飯をな」
下手に誤魔化しても仕方ないので、素直に答える事にした。
「そうですよね。神谷さんの会社って、あそこにあるビルですからこの辺りでお昼ご飯を食べてても不思議じゃないですよね」
「ああ、そうだな」
って、この子今なんて言った?
俺の会社があのビルって言わなかったか?
「おい。君は今、俺の会社があのビルだと言ったか?」
「はい、言いましたけど……それが何か?」
女子高生が惚けた表情でこっちを見てくる。
何ともわざとらしい。
「何故知っている?」
「さぁ、何ででしょう?」
女子高生が少し笑みを浮かべながらそう答える。
「後をつけていたのか?」
「てへ♪」
「てへやめろ」
マジかよ。女子高生に後をつけられていたのに、俺は気づかなかったのか。
「まあいいじゃないですか」
「何がだ」
「だって私は神谷さんのファン第一号ですよ?」
「いくらファンだとしても、度が過ぎている」
ちょっとキツすぎただろうか。
だが高校生のうちにダメな事はダメだと、しっかり大人が教えてやらないと将来犯罪者になられても困るしな。
俺の言葉を聞いた女子高生は、少しムッとした表情で言い返してくる。
「分かりました。次からは気をつけます」
「そうか」
「ですが、神谷さんも約束は守ってほしいです」
「約束?」
「約束したじゃないですか!私を名前で呼んでくれるって」
は?俺がそんな約束を?
必死に朝の記憶を蘇らせていた。
むむ……。
数時間前の事なのに、ほぼほぼ覚えていない。
これも歳のせいなのだろうか……。
しかし俺はまだ30歳。認知症や物忘れにはまだ早い年齢だろう。
全てを年齢のせいにするのは悪い癖だ。
じーーーー。
そんな反省をしている中、女子高生が目を細めて睨みつけてくる。
「はいはい、わかったよ」
自分自身覚えていないと言う事で、女子高生の話に合わせる事にした。
その方が無駄な揉め事が起きないと思ったからだ。
「では、私の事を心愛って読んでくれますね」
「ああ。それでいい」
「じゃあ呼んでみてください」
「今か?」
「今です」
それは予想外だ。
俺の中では、ここで話を合わせておけば終わりだと思ってたのだが……。
「こ……あ」
「はい?全然聞こえないんですけど」
クソ!生意気な女子高生め。
年上を何だと思ってるんだ。
「言えばいいんだろ言えば!」
「はい♪お願いします♪」
「……心愛」
「よく出来ました」
屈辱だ。こんな子供の言いなりになるなんて。
「じゃあ俺はもう行く」
「分かりました。私は1日に2回も神谷さんに会えたし、名前まで呼んでもらえたので満足です」
「君が満足かどうかは俺には関係ない」
「あ。また君って言いましたよ」
女子高生が頬を膨らませながら、あからさまに不機嫌な表情を見せてくる。
「すまん。心愛だったな」
「よろしい」
上から目線な発言に少しイラッとしたが、俺は大人だと自分に言い聞かせてそこは我慢した。
そして心愛と別れた後、すぐに翔と待ち合わせをしている定食屋に向かった。
◇◇◇
「ちょっと悟!先に出たのに何で俺より後に来るんだよ」
「悪い悪い。少し知り合いに会っててさ」
翔が腹減ってるんだけどと表情で訴えてくる。
怒ってる顔もイケメンだ。
「俺はもうメニュー決まってるから、悟も早く選んでよ」
「じゃあこれで」
俺はサバの味噌煮定食、翔はコロッケ定食を頼みいざ本題に入る。
「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど何で会社の連中は俺の事ジロジロ見てきてるんだ?」
まずは俺から質問をした。
そして翔はすぐに返事を返してくる。
「それはもちろん昨日の件があったからでしょ」
「昨日の件?」
「悟、昨日通り魔から市民を助けたよね」
「何でそれを!?」
「偶然俺たちの会社の子がその場にいたんだって」
マジか……。
まあでも、遅かれ早かれ知られるとは思ってたから別にいいか。
それよりも、クビとかそっちじゃなくてよかったぜ。
「そうなんだな」
「悟は今じゃ、ウチの会社のヒーローだよ」
「ヒーローって、そんな大した事じゃないぞ」
「何言ってんの!通り魔から市民を助けるなんて、普通の人じゃ出来ないよ」
「そ……そうか」
いやぁ。あの時の俺はただの寝不足なだけだったからなぁ。
たぶん普段の俺だったら、ビビって動けてなかったはずだ。
「それにさ、悟の大好きな早見さんも悟の事を凄く褒めてたよ」
「ほ……本当か!?」
「悟さんって本当は凄い人なんだ!ってさ」
寝不足でよかったーー!
深夜テンションバンザーイ!
「朗報をありがとう」
「じゃあ次、俺の番ね」
「おう。何でも聞いてくれ」
俺は気分が良かった。
今ならどんな質問にでも、笑顔で答えれるようなそんな気がしていた。
「あの女子高生とは、どんな関係なの?」
「へ?」
「今日の朝、そしてさっきも、俺は偶然にも見かけてしまったんだ」
何だってーーーー!
心愛の存在が……バレとる。
待て待てどう答える?
正直に言うか?それとも嘘をついてごまかすか?
「さあ、答えてよ」
翔が早く答えろと言わんばかりの表情で、俺に詰め寄ってくる。
絶体絶命だ。
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