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ファン第一号と片思いの相手
第16話 俺ってポンコツなのか?
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俺は心愛に悩みの相談をしていた。
翔から恋愛話をうまく聞き出す方法、これについて何かいいアドバイスが貰えると思ったからだ。
そしてこれまでの事を詳しく聞いた心愛は、何故か険しい表情を浮かべていて悩んでいた。
「どうかしたか?」
「はい。予想以上に神谷さんがポンコツだったので、どうしようかと……」
「ぽ……ポンコツだと!?」
「すいません!つい口を滑らせてしまいました。私って口を滑らせる癖を持っているんですよ。てへ♪」
「てへやめろ。それで、お前は一体いくつ癖を持っているんだ?それにだ、その癖だけは早く治せ。とても相手を不快な気持ちにさせるから」
「アドバイスをありがとうございます。ですが、今は神谷さんが私のアドバイスを受ける時間なので、余計な私語はご遠慮ください」
「お……おう」
あれ、おかしいな。
心愛は俺のファンじゃなかったっけ?
何故俺はファンの子からこんなにも厳しい言葉を浴びせられているんだ?
色々と疑問を感じながらも、心愛からのアドバイスを大人しく待っていた。
心愛は今、頭の中で色々と整理をしているみたいだ。
すると心愛が、何か焦った様子で話しかけてくる。
「神谷さん、私そろそろ学校に向かわないとまずいかもです」
「あ……本当だ!もうこんな時間だったのか」
「続きは明日でも大丈夫ですか?」
「おう。全然大丈夫だ」
日にちはギリギリだが、こればっかりは仕方ないな。
心愛を信じよう。
「それとこれ、今日の差し入れです」
「まじで!これは何だ?」
「心愛ちゃん特製のスペシャルフルーツサンドです♪」
「おお!超美味そうだ」
四角いサンドウィッチケースの中身を見ると、そこにはフルーツがたっぷりと入ったフルーツサンドが二つ並んでいた。
見るだけでも分かる。
これは絶対に美味いやつだと。
「それじゃあ私は、もう行きますね」
「おう。これありがとうな」
心愛が大きく手を振りながら、学校へと向かった。
俺は心愛の姿が見えなくなるまで見送りを続け、それから急いで会社に向かう。
◇◇◇◇
昼休憩ーー。
いつものカフェで俺と早見ちゃんは向かい合わせに座っていた。
用件はそう、翔の事だ。
「せーんぱい?例の件はどんな感じですか?」
「まあ、その……ぼちぼちって感じだな」
声を少し震わせながらそう答えた。
その答えが気に入らなかったのか、早見ちゃんは不機嫌な表情を浮かべて俺を問いただしてくる。
「ぼちぼちって何ですか?具体的に何がぼちぼち何ですか?土曜日までもうそんなに日にち無いですよ?本当に大丈夫なんですか?ねえせんぱい?聞いてますか?」
「そうだな。俺の言い方が悪かった。絶対大丈夫だから心配しないでくれ」
何とか彼女の機嫌を戻そうと、恐怖心を抑えながら冷静に対応した。
そうさ、これが大人の男ってもんよ。
だが実際は、かなり心臓がバクバク言っていて身体中が震えていた。
「そうですか。ではその言葉を信じますね♪約束を守れなかった時はお仕置きですから♪」
「お……おう」
早見ちゃんがナイフを片手に、その言葉を発した。
俺はその光景を見た時、絶対にしくじれないと心に誓わされたのだ。
何故これだけの扱いをされているのに、まだこの子の事が好きなのだろう。
恋とは奥が深すぎて、俺みたいな一般人が考えたところで答えが出るはずも無かった。
「ではせんぱい、私は先に戻りますね♪」
「了解。気をつけて戻るんだぞ」
「後、これのお支払いは……」
「分かった。俺が払っておくからもう戻りな」
「わーい!ありがとうございます♪」
こうして俺と早見ちゃんの定期報告を兼ねたランチは終了した。
ただ一方的に脅され、ランチ代まで払わされた俺って……マジ不甲斐ない。
◇◇◇◇
そして次の日の朝。
俺はいつもより早く家を出る。
それは少しでも長く心愛と会話をする為だ。
昨日早見ちゃんから脅されて、俺は余計に焦りを感じていた。
あまり良く無い事だとわかってはいるのだが、焦らずにはいられなかったのだ。
早く翔から聞き出さないと、早見ちゃんからの信用を全て失ってしまう。
その理由が一番大きく俺の焦りを駆り立てていた。
だが俺の力だけではもうどうにもならない。
なので、俺にとっては心愛からのアドバイスが必要不可欠なのだ。
そうこうしている内に、いつもの商店街入り口地点に着いた。
ん?あれは……。
そこには、俺より先に来ていた人物がいた。
あの可愛らしい見た目にあの少し着崩した制服の着こなし、間違いなく心愛だ。
でもどうして。
まだいつもの時間には早いと思うのだが……。
俺がじーっと心愛を見ていると、心愛もこっちを見てきた。
すると心愛が、いつもの挨拶を笑顔でしてくる。
「おはようです!神谷さん」
「おはよ。心愛」
お互いに挨拶が終わると、俺は心愛に質問をする。
「心愛よ、まだいつもの時間には早いんじゃないか?」
「ですね。でも、神谷さんを待たすのも嫌なのでいつもこの時間から私はいますよ」
「そうだったのか。毎日待たせてしまって悪いな」
「いいですよ。私は神谷さんのファン第一号ですから」
心愛が笑顔でそう言うと、鞄の中から一冊のノートを取り出した。
そして何やら真剣に、そのノートに目を通している。
「そのノートは何だ?」
「これはですね、昨日の神谷さんから聞いた話をまとめて私なりに色々と考えを書き込んだものです」
「すごいな。そこまでやってくれたのか」
「だって、神谷さんがぽ……いえ。何でもありません」
「今ポンコツっていようとしただろ!」
「さぁ、何の事でしょう」
「誤魔化すな!」
こうして俺と心愛のグダグダな作戦会議が始まった。
翔から恋愛話をうまく聞き出す方法、これについて何かいいアドバイスが貰えると思ったからだ。
そしてこれまでの事を詳しく聞いた心愛は、何故か険しい表情を浮かべていて悩んでいた。
「どうかしたか?」
「はい。予想以上に神谷さんがポンコツだったので、どうしようかと……」
「ぽ……ポンコツだと!?」
「すいません!つい口を滑らせてしまいました。私って口を滑らせる癖を持っているんですよ。てへ♪」
「てへやめろ。それで、お前は一体いくつ癖を持っているんだ?それにだ、その癖だけは早く治せ。とても相手を不快な気持ちにさせるから」
「アドバイスをありがとうございます。ですが、今は神谷さんが私のアドバイスを受ける時間なので、余計な私語はご遠慮ください」
「お……おう」
あれ、おかしいな。
心愛は俺のファンじゃなかったっけ?
何故俺はファンの子からこんなにも厳しい言葉を浴びせられているんだ?
色々と疑問を感じながらも、心愛からのアドバイスを大人しく待っていた。
心愛は今、頭の中で色々と整理をしているみたいだ。
すると心愛が、何か焦った様子で話しかけてくる。
「神谷さん、私そろそろ学校に向かわないとまずいかもです」
「あ……本当だ!もうこんな時間だったのか」
「続きは明日でも大丈夫ですか?」
「おう。全然大丈夫だ」
日にちはギリギリだが、こればっかりは仕方ないな。
心愛を信じよう。
「それとこれ、今日の差し入れです」
「まじで!これは何だ?」
「心愛ちゃん特製のスペシャルフルーツサンドです♪」
「おお!超美味そうだ」
四角いサンドウィッチケースの中身を見ると、そこにはフルーツがたっぷりと入ったフルーツサンドが二つ並んでいた。
見るだけでも分かる。
これは絶対に美味いやつだと。
「それじゃあ私は、もう行きますね」
「おう。これありがとうな」
心愛が大きく手を振りながら、学校へと向かった。
俺は心愛の姿が見えなくなるまで見送りを続け、それから急いで会社に向かう。
◇◇◇◇
昼休憩ーー。
いつものカフェで俺と早見ちゃんは向かい合わせに座っていた。
用件はそう、翔の事だ。
「せーんぱい?例の件はどんな感じですか?」
「まあ、その……ぼちぼちって感じだな」
声を少し震わせながらそう答えた。
その答えが気に入らなかったのか、早見ちゃんは不機嫌な表情を浮かべて俺を問いただしてくる。
「ぼちぼちって何ですか?具体的に何がぼちぼち何ですか?土曜日までもうそんなに日にち無いですよ?本当に大丈夫なんですか?ねえせんぱい?聞いてますか?」
「そうだな。俺の言い方が悪かった。絶対大丈夫だから心配しないでくれ」
何とか彼女の機嫌を戻そうと、恐怖心を抑えながら冷静に対応した。
そうさ、これが大人の男ってもんよ。
だが実際は、かなり心臓がバクバク言っていて身体中が震えていた。
「そうですか。ではその言葉を信じますね♪約束を守れなかった時はお仕置きですから♪」
「お……おう」
早見ちゃんがナイフを片手に、その言葉を発した。
俺はその光景を見た時、絶対にしくじれないと心に誓わされたのだ。
何故これだけの扱いをされているのに、まだこの子の事が好きなのだろう。
恋とは奥が深すぎて、俺みたいな一般人が考えたところで答えが出るはずも無かった。
「ではせんぱい、私は先に戻りますね♪」
「了解。気をつけて戻るんだぞ」
「後、これのお支払いは……」
「分かった。俺が払っておくからもう戻りな」
「わーい!ありがとうございます♪」
こうして俺と早見ちゃんの定期報告を兼ねたランチは終了した。
ただ一方的に脅され、ランチ代まで払わされた俺って……マジ不甲斐ない。
◇◇◇◇
そして次の日の朝。
俺はいつもより早く家を出る。
それは少しでも長く心愛と会話をする為だ。
昨日早見ちゃんから脅されて、俺は余計に焦りを感じていた。
あまり良く無い事だとわかってはいるのだが、焦らずにはいられなかったのだ。
早く翔から聞き出さないと、早見ちゃんからの信用を全て失ってしまう。
その理由が一番大きく俺の焦りを駆り立てていた。
だが俺の力だけではもうどうにもならない。
なので、俺にとっては心愛からのアドバイスが必要不可欠なのだ。
そうこうしている内に、いつもの商店街入り口地点に着いた。
ん?あれは……。
そこには、俺より先に来ていた人物がいた。
あの可愛らしい見た目にあの少し着崩した制服の着こなし、間違いなく心愛だ。
でもどうして。
まだいつもの時間には早いと思うのだが……。
俺がじーっと心愛を見ていると、心愛もこっちを見てきた。
すると心愛が、いつもの挨拶を笑顔でしてくる。
「おはようです!神谷さん」
「おはよ。心愛」
お互いに挨拶が終わると、俺は心愛に質問をする。
「心愛よ、まだいつもの時間には早いんじゃないか?」
「ですね。でも、神谷さんを待たすのも嫌なのでいつもこの時間から私はいますよ」
「そうだったのか。毎日待たせてしまって悪いな」
「いいですよ。私は神谷さんのファン第一号ですから」
心愛が笑顔でそう言うと、鞄の中から一冊のノートを取り出した。
そして何やら真剣に、そのノートに目を通している。
「そのノートは何だ?」
「これはですね、昨日の神谷さんから聞いた話をまとめて私なりに色々と考えを書き込んだものです」
「すごいな。そこまでやってくれたのか」
「だって、神谷さんがぽ……いえ。何でもありません」
「今ポンコツっていようとしただろ!」
「さぁ、何の事でしょう」
「誤魔化すな!」
こうして俺と心愛のグダグダな作戦会議が始まった。
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