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ファン第一号と片思いの相手
第22話 早見ちゃんの偏見
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俺と早見ちゃんは、モール内にあるオシャレなカフェに来ていた。
対面に座り、お互いにメニューを見ている。
「せんぱい、私このサンドウィッチのセットが良いです♪」
「じゃあ俺も同じので」
「駄目ですよぉ」
「何でだ」
「だって、私が別の物を食べられなくなるじゃないですか!」
早見ちゃんがムッとした表情でそう言ってくる。
ん?この子は一体何を言ってるんだ?
今の言葉を必死に自分の中で繰り返し再生をして、理解に努めた。
そう言う事か……。
すぐに理解が出来た。
つまり早見ちゃんは、自分のサンドウィッチも食べたいし、俺が注文したサンドウィッチとは別の物も食べたいとそう言う事なのだ。
仕方ない。
目の前で、こんなにも見つめられては別の物に変えざる得ないよな。
「わかった。早見ちゃんは、何が食べたいんだ?」
「うーん、これが良いです♪」
「ケーキの盛り合わせ?」
「はい♪やっぱり、デザートは必要ですよね♪」
「いやいや、俺がデザートだけになってしまうじゃないか」
「せんぱいなら大丈夫ですよ」
「何を根拠にそう言っているんだ」
結局、早見ちゃんの要望で俺はケーキの盛り合わせを頼む事になった。
誰が好き好んで昼飯にケーキだけを食べなきゃならんのだ。
そんな不満を思っていると、目の前で早見ちゃんが鼻歌を鳴らし始めた。
何だこのご満悦そうな表情は……。
早見ちゃんがニコニコしながら、注文した物が届くのを待っていた。
はぁ、そんな表情を見せられては不満に思っていた事が馬鹿みたいに思えてくるぜ。
そして注文していた物が届き、嬉しそうに食事を摂り始めた。
それと同時に、早見ちゃんが翔の事を聞いてくる。
「せんぱい、翔さんの情報を聞かせて下さい」
「おう。そうだな」
そう言って、俺はポケットから小さなメモ紙を取り出した。
その紙を見ながら、話を続ける。
「翔の好きな女性のタイプは、大人っぽい人、気品がある人、気が使える人、清楚な人、わがままじゃない人と、たくさん挙げてくれたぞ」
「うふふふ。全部私に当てはまってるじゃないですかー♪」
「そ……そうか?」
「そうですけど!」
「そうだよな!」
明らかに殆どが当てはまっていないと思うのだが……。
そんな事が言える筈もなかった。
ご機嫌そうな表情を浮かべている早見ちゃんが、ケーキをもぐもぐと食べながら話を続けてくる。
「それで、好きな見た目とかは言ってなかったんですか?」
「うーん、どうだったかなぁ」
「例えば、髪はロングがいいとかこう言う服装がいいとかそう言うのです」
「確か翔が言ってたのは、見た目はそこまで気にしてないとか」
「ええーーーー!」
「それよりも中身が綺麗な方が自分にとっては重要って言ってたな」
そう言うと、早見ちゃんは食事を一旦止め何かを考え始めた。
やはりショックだったのだろうか。
好きな人から全面的に否定される気持ちは、俺も少なからずはわかる。
そんな風に思っていると、早見ちゃんが突然席を立った。
そして勢いよく、言葉を発してくる。
「せんぱい!呑気に食事をしている場合ではないですよ!」
「急にどうしたんだ」
「翔さんの言っている意図が、分かっちゃったんです!」
意図?何の事だ?
翔の言葉には、何の裏もない筈だが……。
「意図とは何だ?」
「分からないんですか?翔さんが言った、女性の見た目はそこまで気にしていないって言葉ですよ。この言葉には、翔さんの裏の部分がしっかりと入っていたんです」
「全然分からん」
「もっとわかりやすく言いますと、隠れムッツリって事ですよ」
「隠れムッツリ?」
「はい♪敢えて翔さんが見た目は気にしていないって言ったのは、一番その部分を気にしているからです。翔さんは、顔の可愛い子と裏であんな事やこんな事をするのが大好きな隠れムッツリなんですよ!」
「勝手な想像だろ?」
「いいえ!翔さんは隠れムッツリの事がバレたくなかったから、見た目は気にしていないとかってそんな意味不明な言葉を言ったんです!だっておかしいじゃないですか!男の人は、全員飢えた狼ですよ?可愛い子とやりたくてウズウズしているただの変態ですもん!」
「いやそれただの偏見だろ!男にだって、普通の奴はいるからな!」
そんなやり取りをし終えた後、早見ちゃんに連れられてカフェの外へと出た。
食事はほとんど残したままだった。
「さあ、これからはショッピングの時間ですよ!」
「いや、俺腹減ってて……」
「関係無しです♪私が翔さんの良き相手になれるよう、お手伝いよろしくお願いします♪基本的には荷物持ちですけど」
「荷物持ち……」
「せんぱい……お願いします♪」
「部下にそこまれ頼まれては、断れないよな」
早見ちゃんが上目遣いで、可愛くお願いをしてきた。
それが早見ちゃんの作戦だと分かっていながらも、まんまと引っ掛かってしまうのがこの俺、神谷悟だ。
早見ちゃんの可愛くおねだりは、宇宙一最強なのかもしれん。
いつかは自分が彼氏として、彼女である早見ちゃんを助けてあげたいぜ。
そうして、早見ちゃんの荷物持ちとしてショッピングに付き合う事となった。
対面に座り、お互いにメニューを見ている。
「せんぱい、私このサンドウィッチのセットが良いです♪」
「じゃあ俺も同じので」
「駄目ですよぉ」
「何でだ」
「だって、私が別の物を食べられなくなるじゃないですか!」
早見ちゃんがムッとした表情でそう言ってくる。
ん?この子は一体何を言ってるんだ?
今の言葉を必死に自分の中で繰り返し再生をして、理解に努めた。
そう言う事か……。
すぐに理解が出来た。
つまり早見ちゃんは、自分のサンドウィッチも食べたいし、俺が注文したサンドウィッチとは別の物も食べたいとそう言う事なのだ。
仕方ない。
目の前で、こんなにも見つめられては別の物に変えざる得ないよな。
「わかった。早見ちゃんは、何が食べたいんだ?」
「うーん、これが良いです♪」
「ケーキの盛り合わせ?」
「はい♪やっぱり、デザートは必要ですよね♪」
「いやいや、俺がデザートだけになってしまうじゃないか」
「せんぱいなら大丈夫ですよ」
「何を根拠にそう言っているんだ」
結局、早見ちゃんの要望で俺はケーキの盛り合わせを頼む事になった。
誰が好き好んで昼飯にケーキだけを食べなきゃならんのだ。
そんな不満を思っていると、目の前で早見ちゃんが鼻歌を鳴らし始めた。
何だこのご満悦そうな表情は……。
早見ちゃんがニコニコしながら、注文した物が届くのを待っていた。
はぁ、そんな表情を見せられては不満に思っていた事が馬鹿みたいに思えてくるぜ。
そして注文していた物が届き、嬉しそうに食事を摂り始めた。
それと同時に、早見ちゃんが翔の事を聞いてくる。
「せんぱい、翔さんの情報を聞かせて下さい」
「おう。そうだな」
そう言って、俺はポケットから小さなメモ紙を取り出した。
その紙を見ながら、話を続ける。
「翔の好きな女性のタイプは、大人っぽい人、気品がある人、気が使える人、清楚な人、わがままじゃない人と、たくさん挙げてくれたぞ」
「うふふふ。全部私に当てはまってるじゃないですかー♪」
「そ……そうか?」
「そうですけど!」
「そうだよな!」
明らかに殆どが当てはまっていないと思うのだが……。
そんな事が言える筈もなかった。
ご機嫌そうな表情を浮かべている早見ちゃんが、ケーキをもぐもぐと食べながら話を続けてくる。
「それで、好きな見た目とかは言ってなかったんですか?」
「うーん、どうだったかなぁ」
「例えば、髪はロングがいいとかこう言う服装がいいとかそう言うのです」
「確か翔が言ってたのは、見た目はそこまで気にしてないとか」
「ええーーーー!」
「それよりも中身が綺麗な方が自分にとっては重要って言ってたな」
そう言うと、早見ちゃんは食事を一旦止め何かを考え始めた。
やはりショックだったのだろうか。
好きな人から全面的に否定される気持ちは、俺も少なからずはわかる。
そんな風に思っていると、早見ちゃんが突然席を立った。
そして勢いよく、言葉を発してくる。
「せんぱい!呑気に食事をしている場合ではないですよ!」
「急にどうしたんだ」
「翔さんの言っている意図が、分かっちゃったんです!」
意図?何の事だ?
翔の言葉には、何の裏もない筈だが……。
「意図とは何だ?」
「分からないんですか?翔さんが言った、女性の見た目はそこまで気にしていないって言葉ですよ。この言葉には、翔さんの裏の部分がしっかりと入っていたんです」
「全然分からん」
「もっとわかりやすく言いますと、隠れムッツリって事ですよ」
「隠れムッツリ?」
「はい♪敢えて翔さんが見た目は気にしていないって言ったのは、一番その部分を気にしているからです。翔さんは、顔の可愛い子と裏であんな事やこんな事をするのが大好きな隠れムッツリなんですよ!」
「勝手な想像だろ?」
「いいえ!翔さんは隠れムッツリの事がバレたくなかったから、見た目は気にしていないとかってそんな意味不明な言葉を言ったんです!だっておかしいじゃないですか!男の人は、全員飢えた狼ですよ?可愛い子とやりたくてウズウズしているただの変態ですもん!」
「いやそれただの偏見だろ!男にだって、普通の奴はいるからな!」
そんなやり取りをし終えた後、早見ちゃんに連れられてカフェの外へと出た。
食事はほとんど残したままだった。
「さあ、これからはショッピングの時間ですよ!」
「いや、俺腹減ってて……」
「関係無しです♪私が翔さんの良き相手になれるよう、お手伝いよろしくお願いします♪基本的には荷物持ちですけど」
「荷物持ち……」
「せんぱい……お願いします♪」
「部下にそこまれ頼まれては、断れないよな」
早見ちゃんが上目遣いで、可愛くお願いをしてきた。
それが早見ちゃんの作戦だと分かっていながらも、まんまと引っ掛かってしまうのがこの俺、神谷悟だ。
早見ちゃんの可愛くおねだりは、宇宙一最強なのかもしれん。
いつかは自分が彼氏として、彼女である早見ちゃんを助けてあげたいぜ。
そうして、早見ちゃんの荷物持ちとしてショッピングに付き合う事となった。
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