サラリーマンが女子高生を救ったら、女子高生がサラリーマンのファンになってしまった。人生まだまだ捨てたもんじゃない。

チョコズキ

文字の大きさ
39 / 50
新プロジェクトとニューチューバー

第38話 嘘がバレる!?

しおりを挟む
 トイレから出た俺は、早見ちゃんが待つテーブルへと戻った。
 上手い言い訳なんて何も思いついてはいない。
 だから作戦はたった一つだ!
 とにかく頭を下げて大切な予定があると言い切る!!

 「お待たせ」
 「先輩遅すぎですよ!!」
 「すまんすまん、ちょっと大事な電話がな」
 「電話……ですか?だって先輩、スマホの電源切れてるって言ってませんでしたっけ?」
 「そ……れは……」

 やべ!!そうだった……。
 完全にその設定忘れてたぜ。
 不思議そうに俺の顔を見てくる早見ちゃんに対して、俺は上手く目を合わせられなかった。
 
 「それは何ですか?スマホの電源切れてるって嘘だったんですか?嘘だったとしたら何でそんな嘘をついたんですか?先輩超意味不明かもです」
 「ご……誤解だ。俺は嘘なんてついていない」
 「だったらどうしてスマホが使えたんですか?」
 「……モバイルバッテリーだ。鞄の中に入れてたのをすっかり忘れてたんだよ」
 「本当ですか?本当だと言うならそのモバイルバッテリーを見せてください」
 「ああ……いいとも」

 手に持っていたビジネス鞄のチャックを開き、モバイルバッテリーを取り出そうとする。
 しかし、いくら探したってそんな物は存在しないのだ。
 何とかこの状況を脱したいと、俺は早見ちゃんに対して嘘をついた。
 
 ……まずい。
 実にまずいぞ。
 俺の言った事が嘘だとバレてしまったら、それこそ早見ちゃんとの関係が終わってしまう。

 「先輩、やっぱりその鞄の中にモバイルバッテリーなんて入っていないんじゃないですか?」
 「あれ、おかしいな。さっき使ってその後どこに置いたんだっけ……」
 「嘘っぽーい!先輩がそんな人だったなんて私がっかりです!嘘をついてまで私との食事から帰りたかったなんて……私ショックです!!」
 「違う……違うんだ!!」
 「月姫様が可哀想~~」
 「君には関係ないだろ!」

 俺の恋敵である若者ウェーターが、俺にだけ聞こえる声で煽ってくる。
 何とも憎たらしい奴だが、今はあいつの相手をしている場合ではない。
 早見ちゃんは目に涙を浮かべながら、俺の事を睨みつけていた。
 ……ここまでか。
 素直に全て話すしかなさそうだな。

 「早見ちゃん……すまない。実は……」
 「お話し中失礼します。神谷様、こちらは神谷様のお忘れ物で間違いないでしょうか?」
 
 突然俺達の元へとやって来た中年男性のウェーター。
 そのウェーターが手に持っていた物はまさに今、喉から手が出る程に欲しているアイテム。
 モバイルバッテリーそのものだった。
 だがどうしてあのウェーターがそんな物を持っているんだ?
 それになぜか俺の忘れ物だと思っている……。

 「それをどこで?」
 「お手洗いに忘れておられました」
 「そうでしたか。探してたので助かりました……ハハハ」

 お手洗いに忘れていた?
 俺が入ったのが奥の個室……となると、残り2つの個室のどちらかに午前中に来た客が忘れて帰ってたと言う事か。
 まじで運が良かった。
 こんな奇跡、一生に一度起こればいい方だよな。

 「それでは私はこれで。早見様、神谷様、残りのお時間もごゆっくりとなさってください」
 「あ……ありがとうございました」

 そのウェーターが去り際、俺に対してさりげなくウインクをしてきたように思えた。
 これが気のせいか気のせいじゃないのか、もう知る由はない。
 今わかっている事は、あのウェーターのお陰で俺は早見ちゃんとの食事を抜け出し心愛の元へと向かえるようなったと言う事だ。

 「先輩……すいませんでした。私の事……嫌いになりましたよね?」
 「い……いいよ。全然気にしてないから。それに、俺が早見ちゃんの事嫌いになるわけないだろ。君は俺の大切な後輩なんだからさ」
 
 ……決まったぜ。
 これが余裕のある大人な対応ってもんよ。
 これで早見ちゃんに与えたマイナス印象も少しは良くなるんじゃないか?

 「はぁ、先輩は女心が分かってなさすぎです」
 「え……それって因みにどう言うところが……」
 「もういいです!予定があるんですよね?早く行ってください!」
 「あ!そうだった!ごめん早見ちゃん、また後日お詫びはさせてくれ」
 「はいはい、楽しみにしてますね~」

 少し不機嫌な早見ちゃんと別れて、俺はダッシュで心愛が待つ公園へと向かった。

 

 
 
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

処理中です...