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そこのモンスター社員、今すぐ退職届を書きなさい!

第12話 労災隠し②

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工場地区は同じような建屋が幾つも並んでおり、置き去りにされると迷子になること間違いなしだ。なので私は的確に目的地へ進む係長に必死でついて行くしかなかった。

「ほら、ヘルメット」
「あ、はい。ありがとうございます」

流石は用意周到ですね。けれどもスーツにヘルメットとは……

ユニホーム姿の作業者が往来する中で私どもは異様に目立っていた。

「事務所は通さないのですね」
「勿論。先ずは喫煙所へ行く」

喫煙所って一服するのですか? 仕事してくださいよ。

彼は屋外に設置された喫煙所へ入って行った。仕方なく私はその間、もう一度報告書を確認する。

犯行に及んだのは班長と配下の三人。そして隠蔽を指示した職長。彼らの処分は検討中だが部門判断で職長は一旦保留、班長は即解任の上、他の三人ともども職場を変えられた様だ。

当初、この怪我はプライベートと申告されていた。さて、職長が上位に相談せず勝手な指示を出したのだろうか?

「おい、お前も入って来い」
「は? 私は喫煙しません」
「いいから調書を取るんだ」

調書ですか? そういえば話し声が聞こえるな。どなたか喫煙所にいらっしゃるのね。

「かしこまりました」

パーティションの中へ入ると一人の若者が喫煙していた。係長は見知らぬ彼に声をかけ、情報を得ていたのだ。

「ここら辺であの『いじめ』を知らない奴はいないよ。係長だって本当は知ってたんじゃない? だって前に面談してたもん」
「そうか、ありがとう。情報提供してくれた君にもし何かあれば連絡してくれ。俺が守ってやる」

……なるほど。やはり報告書とは違う様ですね。都合の悪いところは捏造されてる。

「これから職長に会いに行くぞ」
「はい」

さて、職長が本当のことを話してくれるのでしょうか?
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