宮廷婦人の侍女なのに、なぜか私が見初められる〜⁉︎

鼻血の親分

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第一部

04. 侍女の巻④

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「お姉様、ちょっと行ってきます」
小さなクローゼットに姉の衣装を詰め込んだ私は、エミリーに連れられて婦人たちのお食事を準備する大ホールに行った。

「エミリー、ここってまるで平民の大衆食堂みたいね」
「お屋敷が古くなってしまったため、加えて人数も多いので仕方がありません」
まあ、食事代は無料だから贅沢は言えないわね。

侍女たちは、テーブルセッティングなど、慌ただしく準備に取りかかっていた。
「あら、新しい方ね? どちらの方なの?」
と、年配で貫禄のある侍女に声をかけられた。この屋舎ではボス的存在のようです。 
「姉のハリエットに仕えるポピーと申します」
「あなたは妹さんなのね。階級は官僚?それとも貴族?」
「貴族でございます」
「ふーん。では、お姉様のご年齢はいくつ?」
「姉は21歳でございます」
「ああ、そうなの」
このボスは明らかに嘆いている様子だ。階級が官僚より低く、年齢制限ぎりぎりの姉には望みがないとでも思ったのだろう。
「何か、『つて』でもあって?」
「いいえ、何でもないのです。むしろお伺いしたいことがあって」
「ふふふ、ジョーのことでしょうね?知ってたら私はここにいないわ。でもまあ、知っていたとしても結果は同じかもしれないけど」
「それってどういう意味ですか?」
「ジョーに会っても、自分の願いが叶うかどうかは分からないわ。彼は、身体を差し出せば話を聞いてくれるって噂があるけど……私じゃあねえ!」
「身体を差し出す⁉︎」

なんて破廉恥なっ!麗しのジョー改め変態のジョーと呼んでやる!

「でも、あなたなら……若いし」
いやいや、若ければ良いってモンじゃございませんよ!
「まあ、あなたも後宮婦人に応募するつもりがあるのなら、純潔は守っておかないとね」
「ん?いえ、後宮婦人になる気はありませんが純潔でなければ応募出来ないのですか?」 
「あら、知らないのかい!」
し、知らなかったし興味もなかったし。姉がああ見えて処女だったなんてちょっと驚きだ!でも、それよりも後宮婦人になるには18から22歳までの貴族以上であり、『処女』が条件だということなのか。
私はある不安がよぎる。
もし姉が資格を失った場合、お父様は私を後宮に送り込もうとしているのではないでしょうね?しかし、私の容姿や性格では面接で落ちてしまうだろうし、そもそも後宮に行くつもりはないけど……。
ここはよーく考えるのよ。私は牧場で馬の世話がしたいの。後宮婦人になりたくないし、なれるとも思わない。でも、確実に応募できないようにするのは簡単よ。処女を失えばいいの。それは乱暴だけど、何としてでもジョーを見つけ出し、我慢して体を差し出すのも一つの手だわ。
私は半年後に帰り、二度と後宮へ来たくないと心に決めて、あまりにも無謀な考え方に偏っていた。

そう考えているうちに食事が整い、次々と婦人たちが大ホールにやって来る。姉もドレスアップしていた。
「ポピー、皆様お一人お一人にご挨拶したいの。グラスを用意してくれるかしら」
「はあ……」
姉は高級ワインをたくさん持参していたようで、用意周到だったのです。どおりで荷物が重かったのか!
私は凝った肩をほぐしながら、60人分のグラスを用意する。そして、姉は一人ひとりにワインを振る舞いながら丁寧な挨拶をしています。

お父様、姉の立ち振る舞いは本当に見事ですね。私も目標を見つけました。麗しのジョーに処女を捧げようと思います。そして半年後に帰る姉には宮廷行列で行進してもらいましょう。せめて思い出に残るように……。




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