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第一部
07. 侍女の巻⑦
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「し、信じられない……宮廷一の暴れ馬を乗りこなしている……」
驚きの表情を浮かべた白馬の騎士が呟いた。朝日に照らされ、まるで光り輝くような存在感を放つ彼は、皇族か護衛兵の高位の方であることが伺える。
「あ、あの、すみません!私……つい」
「君は何者なんだ?」
「わ、私は……その、侍女でございます。湖畔をお散歩してたら狩猟場の前まで来てしまい……この子が怪我してるのを見て、ほっとけなくて」
「侍女……?馬の扱いはどこで学んだんだ?」
「はい、実家が牧場を営んでおります。だから物心ついた時から馬と触れ合っていました」
「ほう……興味深いお嬢さんだな」
「あ、では私は、これで……」
「あ、待ってくれ。君と話がしたい」
ああ、お咎め受けるよね⁉︎勝手に狩猟場に入っちゃったし、馬に乗ってるし⁉︎
早くこの場から逃げたかったけど、とても断れる状況じゃないので、騎士に言われるがまま湖のほとりまでついて行った。
「……で、君は侍女と言ったな?」
「は、はい」
ヤ、ヤバい。身元調査されて処分されるかもしれないよー⁉︎
「誰の侍女なんだ?」
ありゃりゃ、絶体絶命!お父様、お姉様、ごめんなさい!もうお終いでございます!
やけっぱちになった私はつい、この偉そうな騎士のお顔を見上げた。すると……。
──す、すごいイケメンだわ!こっちの方がヤバ~い!
20代前半と思われるこの殿方は、みずみずしく健康そうな美肌に、まるで彫刻で彫ったような完璧な目、鼻、口!そしてブロンド髪をなびかせて爽やかな雰囲気を醸し出す、まさに白馬の王子様のようでございます!
「ん? どうかしたか?」
「あ、あの……」
「……僕が君を処分するとでも思ったのか?」
「だ、だって」
「そんなことはしないさ。馬舎から逃げ出したフィガーを助けてくれたんだ。あ、フィガーってこの子の名前だよ」
彼は私が乗っている馬を指差し、屈託のない笑顔を見せた。
素敵過ぎる!
「私は後宮へ参った姉ハリエットの妹で、ポピーと申します。ちなみに姉は無派閥のお手付き候補でございます」
「妹ということは、君も貴族なのか?」
「はい、あ、下級ですけど……」
「そうか」
「あの……」
「何だ?」
「失礼ですが、大変身分の高い御方だと存じますが……」
「ん、僕?僕はうーん……ほら、あの兵舎が見えるかい?」
湖の向こうに大きな建物があります。護衛兵の大本営です。
「では……」
「ああ、護衛兵を統括しているキースって言うんだ。ポピー、よろしくね」
キース様、一目惚れしました。でも、護衛兵の統括って、相当な立場の方なんですよね?もしかしてジョーのこと、何か知ってるかもしれませんよね⁉︎
「キース様、一つお聞きしてもよろしいですか?」
「うん?もしかしてジョーのことかな?」
「えっ⁉︎よ、よく分かりましたね」
「よく聞かれるんだよ」
「ご存知なんですか⁉︎」
「……ああ、知ってるよ」
おおおおっ!麗しのジョーを知ってる人がいる!彼は伝説的な人物ではないっ!
「彼に会いたいです!会わせてください!」
「そうだな……君に何かお礼がしたいと思っていたんだ。こんなにも穏やかなフィガーを僕は初めて見た。怪我を治してくれてありがとう。感謝するよ」
「馬のことなら何でも仰ってください!」
「ははは、そうしよう。……ポピー、明日の早朝にこの場所で待っていてくれ。ジョーに伝えておく」
「ホ、ホントですか⁈」
「ああ。ただし、このことは口外しないでほしい。君のお姉さんにもだ。約束できるかい?」
「約束します! 誰にも言いません!」
お、お父様、ついに謎の殿方を捕まえました。後はこの身を捧げて交渉するだけです!でもどうせならキース様の方がいいかもー。と、私の心は揺れ動いています……。
驚きの表情を浮かべた白馬の騎士が呟いた。朝日に照らされ、まるで光り輝くような存在感を放つ彼は、皇族か護衛兵の高位の方であることが伺える。
「あ、あの、すみません!私……つい」
「君は何者なんだ?」
「わ、私は……その、侍女でございます。湖畔をお散歩してたら狩猟場の前まで来てしまい……この子が怪我してるのを見て、ほっとけなくて」
「侍女……?馬の扱いはどこで学んだんだ?」
「はい、実家が牧場を営んでおります。だから物心ついた時から馬と触れ合っていました」
「ほう……興味深いお嬢さんだな」
「あ、では私は、これで……」
「あ、待ってくれ。君と話がしたい」
ああ、お咎め受けるよね⁉︎勝手に狩猟場に入っちゃったし、馬に乗ってるし⁉︎
早くこの場から逃げたかったけど、とても断れる状況じゃないので、騎士に言われるがまま湖のほとりまでついて行った。
「……で、君は侍女と言ったな?」
「は、はい」
ヤ、ヤバい。身元調査されて処分されるかもしれないよー⁉︎
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ありゃりゃ、絶体絶命!お父様、お姉様、ごめんなさい!もうお終いでございます!
やけっぱちになった私はつい、この偉そうな騎士のお顔を見上げた。すると……。
──す、すごいイケメンだわ!こっちの方がヤバ~い!
20代前半と思われるこの殿方は、みずみずしく健康そうな美肌に、まるで彫刻で彫ったような完璧な目、鼻、口!そしてブロンド髪をなびかせて爽やかな雰囲気を醸し出す、まさに白馬の王子様のようでございます!
「ん? どうかしたか?」
「あ、あの……」
「……僕が君を処分するとでも思ったのか?」
「だ、だって」
「そんなことはしないさ。馬舎から逃げ出したフィガーを助けてくれたんだ。あ、フィガーってこの子の名前だよ」
彼は私が乗っている馬を指差し、屈託のない笑顔を見せた。
素敵過ぎる!
「私は後宮へ参った姉ハリエットの妹で、ポピーと申します。ちなみに姉は無派閥のお手付き候補でございます」
「妹ということは、君も貴族なのか?」
「はい、あ、下級ですけど……」
「そうか」
「あの……」
「何だ?」
「失礼ですが、大変身分の高い御方だと存じますが……」
「ん、僕?僕はうーん……ほら、あの兵舎が見えるかい?」
湖の向こうに大きな建物があります。護衛兵の大本営です。
「では……」
「ああ、護衛兵を統括しているキースって言うんだ。ポピー、よろしくね」
キース様、一目惚れしました。でも、護衛兵の統括って、相当な立場の方なんですよね?もしかしてジョーのこと、何か知ってるかもしれませんよね⁉︎
「キース様、一つお聞きしてもよろしいですか?」
「うん?もしかしてジョーのことかな?」
「えっ⁉︎よ、よく分かりましたね」
「よく聞かれるんだよ」
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「……ああ、知ってるよ」
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「彼に会いたいです!会わせてください!」
「そうだな……君に何かお礼がしたいと思っていたんだ。こんなにも穏やかなフィガーを僕は初めて見た。怪我を治してくれてありがとう。感謝するよ」
「馬のことなら何でも仰ってください!」
「ははは、そうしよう。……ポピー、明日の早朝にこの場所で待っていてくれ。ジョーに伝えておく」
「ホ、ホントですか⁈」
「ああ。ただし、このことは口外しないでほしい。君のお姉さんにもだ。約束できるかい?」
「約束します! 誰にも言いません!」
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