宮廷婦人の侍女なのに、なぜか私が見初められる〜⁉︎

鼻血の親分

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第一部

08. 侍女の巻⑧

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翌朝が訪れました。

さあ、いよいよですね!麗しのジョー、いえ、変態のジョー、あるいは伝説のジョー。ああ、どれだけあなたのことを考えてきたことか。ついに会えるんですね。

わずかながら、お化粧をして髪を整えた私は早めに湖畔へと向かった。身を差し出すのです。気に入られなければ、抱かれることもないかもしれません。まあ、素材としては大したことないので、無駄な努力かもしれませんけども。

さて、一人で湖を眺めていると、早速足音が聞こえてきます。
ああ、ドキドキします!
ところが姿を見せたのは──
「おはよう、ポピー!」
「えっ⁉︎」
どこかで聞いたような声です。振り向くと、あの人がそこに立っていました。
「な、何で仕立て屋さんがここに⁉︎」
つか、今は邪魔しないで!私には大切な用事があるんだって!
「ふああぁぁぁぁ」
私の隣にドカッと座った仕立て屋さんは、眠たそうにあくびをします。
いや、だから……!
「あの、仕立て屋さん?」
「用があるんだろ?俺に?」
「はい⁉︎」
「ったく、俺がお尋ね者のジョーだよ!」
「な、なに、冗談言ってるんですか⁉︎」
「あれ?キース様からここへ来るよう言われたんだけど?」
「ま、まさか⁉︎」
「初めまして……じゃないけど。ジョー・ティラーだ。こう見えても一応、大宰相の一族だよ」
私は目をぱちくりとしたまま、固まってしまった。

こ、こ、この人が麗しのジョーなの⁉︎

「えーーーーーーーーーーーーーーっ!」
「おいおい、耳元で叫ぶな!」
「だ、だって……全然、麗しくないもん!」
「わ、悪かったな。麗しくなくて!」
「あ、ごめん。つか、私を騙してたのね!」
「まあな。でも俺の正体をバラす訳にはいかないんだ。陰で後宮を操ってるからな。でもポピーは特別さ。上官キース様の命令だからね」
「あの、キース様って⁉︎」
「それは知らない方がいい。……で、何の用だ?」
麗しくないジョーに私の処女を捧げるのか。でも仕方ないわ。(相手の気持ちはさておきね)
「ジョー、お願いがあるの。私を、その……抱いてください!」
「断る!」
「ええっ⁉︎」 
「俺にも選ぶ権利があるだろ」

 あ、あっさりとフラれた……。

「ひ、酷い!酷いわ!麗しくないジョーめ!乙女が勇気を出して告白したのにいいっ!」
「あ、あのなー、ポピーだって俺に抱かれたい訳じゃないんだろ?どうせ派閥に入れて貰う条件に侍女のカラダを差し出せとか、全く不名誉な噂が流れて迷惑してるんだよ!」
「違うの?」
「俺にはフィアンセが居る」
「そう……なんだ」
「ポピー、時間もないし本題に入ろう」
「はい」
「ハリエットを派閥に入れてやる」
おおっ!やりましたよ!お姉様!
「ありがとうございます!麗しのジョー様!」
「あ、ああ。……で、後宮には二大派閥があるのは知ってるよな」
「うん。以前、エミリーから聞いたことがある」
「さて、どっちにしようかな?現状は20人ずつなんだ。バランスが崩れるが仕方ない」
「お、お任せします。分からないし」
「うーん、一応希望を聞いてみようか」
「はあ……」
お姉様を派閥に入れてくれるという朗報に、私は大喜びです。これでお姉様も安心して後宮で暮らせるはずです。しかし、二大派閥の選択については私には分かりません。

「黒魔術のグレースと媚薬のライラ、どっちがいい?」
な、何、そのコードネームはっ⁉︎怖すぎ!黒魔術で呪い、媚薬は毒殺⁉︎いえ、どっちも勘弁してください!姉の命に関わります!
「どっちでもいいぞ。理由は何とかするからポピーが決めろ」

お、お父様、そう言われても困ります!どちらを選べばよいのでしょう⁉︎教えてください!



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