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第三部
24. お手つきの巻⑦
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私は強制的に入浴させられた後、何人かの髪結いやお化粧屋さんに囲まれて、これでもかとメイクを施された。それから高価な宝石がちりばめられたナイトドレスを着飾って、王子の元へ参る事になったのです。
「ポピー、これは正式な御夜伽ですからね」
私はアメリアに連れられて後宮の御夜伽部屋と言う謎の場所へ向かっている。
「あー、ご婦人を案内するのは久しぶりですわ。まさか、貴女だとは思いもよらなかったけどね」
「御夜伽?何かの儀式ですか?」
「ポピー様、皇太子様の御指名で一夜を共にするのです。これほど名誉な事はありませんよ!」
後ろを歩く私の女官兼侍女のエミリーは、かなり興奮した様子です。
ふん!何が名誉よ、超迷惑な!文句言ったらとっとと帰るからね。一夜なんか共にしないし!
後宮の最上階にその一室があった。小階段の手前で女官と離れ、ここからは一人で参る。
扉の前で深呼吸して「いざ出陣!」です。力強く扉を叩くと直ぐに殿下が出迎えてくれました。
「やあ、ポピー。逢いたかったよ」
ラフだけど品のある宮廷衣のエリオット様が屈託のない笑顔を向ける。私は笑顔になれません。つか、彼は何事も無かったかの様な笑顔をよく私に見せるもんです。
「キース様、貴方が皇太子様とはつゆ知らず、大変ご無礼致しました」
わざとキース様とお呼びします。
「あ、すまない、ポピー。騙した訳じゃないんだ。ただ、言いづらかったんだ」
言いづらい?
「なぜ、仰ってくれなかったのですか?私はてっきり護衛兵のお偉いさんかと思っておりました」
「うん……身分を言うと君との関係が壊れると思って言えなかった。だってポピーは本音で僕に語りかけてくれる唯一の存在だから、失いたく無かったんだよ……」
「まあ、殿下と知ってたら身を任せませんでしたから仰る通りかもしれませんけど、でもお手つきになって大変嫌な思いをしています」
「嫌な思い?」
「はい。私は牧場へ帰りたいのです。それが12年も延びたし、入りたくもない派閥に属して毎日宮廷行列の練習させられて、馬鹿にされて嫌味ったらしい態度取られて、踏んだり蹴ったりですわ!」
「そんなに苦労してるとは思わなかった。申し訳ない、ポピー」
「皇太子様、私をお手つきから解放してください。私は元々、姉の侍女として後宮へ参ったのです。それが自分が婦人に、しかもお手つきになるなんて想像もしてませんでしたから」
王子は私の手を握りながら頭を下げました。何度も「すまない、すまない」と詫びるのです。流石にちょっと悪い気も致しました。
あー、殿下にこんなに謝られてもねえ。もう謝らないで良いから、ただ私を解放してくれれば良いのよ。
「ポピー、責任は取るつもりだ。君を一生大切にする。だから僕の側にいつも居てくれないか?」
「はいっ?」
えーっと、何でそうなるのかしら?
不意に王子に抱きしめられました。苦しいくらいに……。
ち、ちょっといきなり何⁉︎びっくりするじゃんかっ⁉︎ああ、そんなに強く抱きしめないでよ!
「僕は君に惚れた様だ。君を側妃にしたい!」
「側妃って」
「牧場も用意しよう。君は後宮で好きな様に過ごせばいいし、今まで通り僕に遠慮なく何でも言って欲しい」
「あの、キース様?」
「エリオットだよ」
「エリオット様、私は淑女とは程遠い女ですよ。ただの『おてんば婦人』ですけど本当に良いのですか?」
「ああ、自然体の君がいいんだ」
どうやら王子は本気の様です。私は言葉を失った。そして殿下にお姫様抱っこされ、そのまま寝室へ連れて行かれる。
お父様どうしましょう?やっぱり私はどこかでキース様、いえエリオット様が好きなのでしょうか?このまま寵愛受けても大丈夫ですか?後悔しないの?もう判断出来ません。つか、すでに遅し⁉︎
「ポピー、これは正式な御夜伽ですからね」
私はアメリアに連れられて後宮の御夜伽部屋と言う謎の場所へ向かっている。
「あー、ご婦人を案内するのは久しぶりですわ。まさか、貴女だとは思いもよらなかったけどね」
「御夜伽?何かの儀式ですか?」
「ポピー様、皇太子様の御指名で一夜を共にするのです。これほど名誉な事はありませんよ!」
後ろを歩く私の女官兼侍女のエミリーは、かなり興奮した様子です。
ふん!何が名誉よ、超迷惑な!文句言ったらとっとと帰るからね。一夜なんか共にしないし!
後宮の最上階にその一室があった。小階段の手前で女官と離れ、ここからは一人で参る。
扉の前で深呼吸して「いざ出陣!」です。力強く扉を叩くと直ぐに殿下が出迎えてくれました。
「やあ、ポピー。逢いたかったよ」
ラフだけど品のある宮廷衣のエリオット様が屈託のない笑顔を向ける。私は笑顔になれません。つか、彼は何事も無かったかの様な笑顔をよく私に見せるもんです。
「キース様、貴方が皇太子様とはつゆ知らず、大変ご無礼致しました」
わざとキース様とお呼びします。
「あ、すまない、ポピー。騙した訳じゃないんだ。ただ、言いづらかったんだ」
言いづらい?
「なぜ、仰ってくれなかったのですか?私はてっきり護衛兵のお偉いさんかと思っておりました」
「うん……身分を言うと君との関係が壊れると思って言えなかった。だってポピーは本音で僕に語りかけてくれる唯一の存在だから、失いたく無かったんだよ……」
「まあ、殿下と知ってたら身を任せませんでしたから仰る通りかもしれませんけど、でもお手つきになって大変嫌な思いをしています」
「嫌な思い?」
「はい。私は牧場へ帰りたいのです。それが12年も延びたし、入りたくもない派閥に属して毎日宮廷行列の練習させられて、馬鹿にされて嫌味ったらしい態度取られて、踏んだり蹴ったりですわ!」
「そんなに苦労してるとは思わなかった。申し訳ない、ポピー」
「皇太子様、私をお手つきから解放してください。私は元々、姉の侍女として後宮へ参ったのです。それが自分が婦人に、しかもお手つきになるなんて想像もしてませんでしたから」
王子は私の手を握りながら頭を下げました。何度も「すまない、すまない」と詫びるのです。流石にちょっと悪い気も致しました。
あー、殿下にこんなに謝られてもねえ。もう謝らないで良いから、ただ私を解放してくれれば良いのよ。
「ポピー、責任は取るつもりだ。君を一生大切にする。だから僕の側にいつも居てくれないか?」
「はいっ?」
えーっと、何でそうなるのかしら?
不意に王子に抱きしめられました。苦しいくらいに……。
ち、ちょっといきなり何⁉︎びっくりするじゃんかっ⁉︎ああ、そんなに強く抱きしめないでよ!
「僕は君に惚れた様だ。君を側妃にしたい!」
「側妃って」
「牧場も用意しよう。君は後宮で好きな様に過ごせばいいし、今まで通り僕に遠慮なく何でも言って欲しい」
「あの、キース様?」
「エリオットだよ」
「エリオット様、私は淑女とは程遠い女ですよ。ただの『おてんば婦人』ですけど本当に良いのですか?」
「ああ、自然体の君がいいんだ」
どうやら王子は本気の様です。私は言葉を失った。そして殿下にお姫様抱っこされ、そのまま寝室へ連れて行かれる。
お父様どうしましょう?やっぱり私はどこかでキース様、いえエリオット様が好きなのでしょうか?このまま寵愛受けても大丈夫ですか?後悔しないの?もう判断出来ません。つか、すでに遅し⁉︎
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