悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本物に『ざまぁ』した結果→彼女は嵌められてた!本当の悪役は、まさかっ!?

鼻血の親分

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第2章 何故、わたくしを!?

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 帰りの馬車で王子様はシェリー様の不満を爆発させていた。

「あー、最悪だったー! 聞いてよバトラー!」

 何でも、シェリー様は自分のお絵かきより王子様のキャンパスに落書きして一枚目を台無しにした後、庭園の風景を描こうと提案され、ガーデンテラスで二枚目を描いてる最中に「カエルを描きたい」と捕獲に付き合わされたらしい。

 挙げ句の果てに捕まえたカエルをスケッチが終わるまで持たされて気分が悪くなった様だ。

「よ、よく、耐えましたね。お坊ちゃん」

 ぷっ…。も、申し訳ございません。私、想像したら吹き出しそうになりました。それにエミリーと長話してたので立ち会えなかったですね。本来なら私がそのお役目をしないといけないのに…。

「ああ、何度も何度も手を洗ったよ。まだ気持ち悪い。全く人生最悪の日だ。もう二度とアイツとは会いたくない!」

「お気持ちは察しますが、婚約者をアイツ呼ばわりするのは良くありませんよ」

「いや、既に我慢の限界を超えた、遥かに超えた! それよりどうなんだ? エミリーから報告はあったのか? それだけが楽しみなんだ」

「はあ…それが、まだ分からない様で」

「影武者になるところを見てないと言うのか?」

「はい。彼女は公爵家へ雇われて一月も経っておりません。先ずは怪しまれない様に務めるのが先決です。それにシェリー様にはライラと言う女官が仕えており、中々探るのはまだ困難だと…」

「そ、そうか…思ったより難しいものなんだな。ではシェリーの日常を垣間見て、何か気づく事はなかったのか?」

「はい。単にまだ幼き少女だと。ただ、専属の家庭教師の元で勉学に励んでおられたり、ダンスのレッスンを熱心にお受けされてる姿を見たらしいです」

「つまり、ふざけたハイテンションの時と真面目に務めてる二面性の姿を見た…と」

「今のところはそう言う結論ですな」

「何だ…残念だ。あー、残念だ! 先月宮廷で会ったのは…一緒にダンスしたのはポピーではなかったのかっ?」

 かなり落胆されているご様子。誠に申し訳ありません。しかし、これで良いのだ。今、真実をお話するのはまだ早い。

「いずれにせよ、エミリーには暫く探らせますから」

「…ああ、よろしく頼む」

 どうもポピーと言う少女を気にされてる様だな。確かに二人はよく似ている。実際に影武者を演じてるからな。王子様のお気持ちも分からなくもない。

 さて、私はどのタイミングで陛下に報告すべきなのか。それにはもっと決定打が欲しい。その為の指示は出したつもりだが…。


「エミリー、ポピーがいつ、何処で、何の為に影武者を演じているのか、それとシュルケン公爵は本当に関与してないのか、またその時シェリー様は何をしてるのか、どう思ってるのか? 出来るだけ詳細に調べるんだ。いいな?」

「かしこまりました、バトラー様」




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