悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本物に『ざまぁ』した結果→彼女は嵌められてた!本当の悪役は、まさかっ!?

鼻血の親分

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第2章 何故、わたくしを!?

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「ポピーが着替えとタオルを⁈」

「はい。私の事、心配されてシェリーに内緒で持ってきてくれたのです」

「事前に知っていたから助けようとした訳か?」

「はい。ポピー様はシェリーの動きを把握されてます。その上で危険を顧みず、この様な行動をなさるとはシェリーの虐めに嫌悪感を示してる証拠ですね」

「うん、そうだな」

 これは思いもよらぬ展開だ。そうか、ポピーは自らの判断でその様な行動を取っていたのか…。よし、これで彼女と接触する口実が出来たぞ。

「ポピーを呼んできてくれ」

 僕は取り巻きに彼女を連れてくる様、指示した。味方になって貰うようお願いする為に…。


 ***
 
 
 花壇の水やりをしてるポピーに取り巻きが声をかけ、生徒会室へ呼んだのは暫く経っての事だった。シェリー一派に気付かれない様、最新の注意を払っていたから少し遅くなったのだ。その間、ミーアは陰険な虐めを受け続けている。最早、一刻の猶予も許さない状況だ。

「やあ、用務員さん。毎日見かけるけど話したことは無かったね」

「お、お、王子様、き、恐縮です!!」

 ああ、こうして君と正面から話が出来る日が来るとは。…いや、正確には一度話をしてるか。初めて会った時、公爵邸の玄関口で僕はシェリーと間違えて声を掛けたっけ。

「いつもミーアを影ながらフォローしてくれてありがとう。感謝する」

「あ…」

「用務員さん、私からエリオット様にご報告しました」

「そう…なのですか」

「さて、本題に入ろう…」

 僕はこれまでポピーに関して調査した内容を伝えた。シェリー付き使用人の彼女は、没落寸前の伯爵の出で借金のカタに公爵家へ売られた可哀想な令嬢だった事、そして推測ではあるが、今の境遇が辛くてどうにかしたいと願っている事などだ。

「そこでどうだろう? 僕の味方になってくれないか?」

「お、お味方⁈ 王子様の⁈」

「僕はシェリーとしたいんだ。君に協力して欲しい」

「なんと!! でも、協力とは一体…?」

「いずれ婚約破棄を宣言する。…が、いきなり宣言しても納得されないだろうから、事前にある程度の覚悟をして貰っときたい」

「えーと、どの様に伝えれば良いのでしょうか?」

「ミーアが生徒会室へ入ったのを見た…と言うんだ。そしてシェリーから虐められてると訴え、それを聞いた王子はと大層怒っている…とね」

「なるほど、早速言ってみます」

「ありがとう。婚約破棄が成立した暁には、君を公爵家から解放するよう取り計らうつもりだ。だから宜しく頼む」

「はい! ぜひぜひ協力します!」

 よし、上手くいった。好きな人に謀略の片棒を担がせて申し訳ないと思ってる。他にシェリーへ伝えられるのはエミリーしかいないが、彼女は使えない。皇室が送り込んでるスパイと接触するのは危険だからだ。バトラーからも注意されている。

 それに婚約破棄の決め手はポピーが影武者をしていた事実を世にバラす事だ。如何にして盛大にバラすか、それにはポピーの協力が不可欠なのだ。幾ら証拠を並び立ててもシラを切れば逃げられるだろうからな。

 ーー僕は鬼になる!

 そう決めたんだ。例え、愛するポピーを使ってでも自分の我儘を通す。もう後には引けない。










 







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