47 / 61
第2章 何故、わたくしを!?
47
しおりを挟む
「ポピーが着替えとタオルを⁈」
「はい。私の事、心配されてシェリーに内緒で持ってきてくれたのです」
「事前に知っていたから助けようとした訳か?」
「はい。ポピー様はシェリーの動きを把握されてます。その上で危険を顧みず、この様な行動をなさるとはシェリーの虐めに嫌悪感を示してる証拠ですね」
「うん、そうだな」
これは思いもよらぬ展開だ。そうか、ポピーは自らの判断でその様な行動を取っていたのか…。よし、これで彼女と接触する口実が出来たぞ。
「ポピーを呼んできてくれ」
僕は取り巻きに彼女を連れてくる様、指示した。味方になって貰うようお願いする為に…。
***
花壇の水やりをしてるポピーに取り巻きが声をかけ、生徒会室へ呼んだのは暫く経っての事だった。シェリー一派に気付かれない様、最新の注意を払っていたから少し遅くなったのだ。その間、ミーアは陰険な虐めを受け続けている。最早、一刻の猶予も許さない状況だ。
「やあ、用務員さん。毎日見かけるけど話したことは無かったね」
「お、お、王子様、き、恐縮です!!」
ああ、こうして君と正面から話が出来る日が来るとは。…いや、正確には一度話をしてるか。初めて会った時、公爵邸の玄関口で僕はシェリーと間違えて声を掛けたっけ。
「いつもミーアを影ながらフォローしてくれてありがとう。感謝する」
「あ…」
「用務員さん、私からエリオット様にご報告しました」
「そう…なのですか」
「さて、本題に入ろう…」
僕はこれまでポピーに関して調査した内容を伝えた。シェリー付き使用人の彼女は、没落寸前の伯爵の出で借金のカタに公爵家へ売られた可哀想な令嬢だった事、そして推測ではあるが、今の境遇が辛くてどうにかしたいと願っている事などだ。
「そこでどうだろう? 僕の味方になってくれないか?」
「お、お味方⁈ 王子様の⁈」
「僕はシェリーと婚約破棄したいんだ。君に協力して欲しい」
「なんと!! でも、協力とは一体…?」
「いずれ婚約破棄を宣言する。…が、いきなり宣言しても納得されないだろうから、事前にある程度の覚悟をして貰っときたい」
「えーと、どの様に伝えれば良いのでしょうか?」
「ミーアが生徒会室へ入ったのを見た…と言うんだ。そしてシェリーから虐められてると訴え、それを聞いた王子は婚約を考え直すと大層怒っている…とね」
「なるほど、早速言ってみます」
「ありがとう。婚約破棄が成立した暁には、君を公爵家から解放するよう取り計らうつもりだ。だから宜しく頼む」
「はい! ぜひぜひ協力します!」
よし、上手くいった。好きな人に謀略の片棒を担がせて申し訳ないと思ってる。他にシェリーへ伝えられるのはエミリーしかいないが、彼女は使えない。皇室が送り込んでるスパイと接触するのは危険だからだ。バトラーからも注意されている。
それに婚約破棄の決め手はポピーが影武者をしていた事実を世にバラす事だ。如何にして盛大にバラすか、それにはポピーの協力が不可欠なのだ。幾ら証拠を並び立ててもシラを切れば逃げられるだろうからな。
ーー僕は鬼になる!
そう決めたんだ。例え、愛するポピーを使ってでも自分の我儘を通す。もう後には引けない。
「はい。私の事、心配されてシェリーに内緒で持ってきてくれたのです」
「事前に知っていたから助けようとした訳か?」
「はい。ポピー様はシェリーの動きを把握されてます。その上で危険を顧みず、この様な行動をなさるとはシェリーの虐めに嫌悪感を示してる証拠ですね」
「うん、そうだな」
これは思いもよらぬ展開だ。そうか、ポピーは自らの判断でその様な行動を取っていたのか…。よし、これで彼女と接触する口実が出来たぞ。
「ポピーを呼んできてくれ」
僕は取り巻きに彼女を連れてくる様、指示した。味方になって貰うようお願いする為に…。
***
花壇の水やりをしてるポピーに取り巻きが声をかけ、生徒会室へ呼んだのは暫く経っての事だった。シェリー一派に気付かれない様、最新の注意を払っていたから少し遅くなったのだ。その間、ミーアは陰険な虐めを受け続けている。最早、一刻の猶予も許さない状況だ。
「やあ、用務員さん。毎日見かけるけど話したことは無かったね」
「お、お、王子様、き、恐縮です!!」
ああ、こうして君と正面から話が出来る日が来るとは。…いや、正確には一度話をしてるか。初めて会った時、公爵邸の玄関口で僕はシェリーと間違えて声を掛けたっけ。
「いつもミーアを影ながらフォローしてくれてありがとう。感謝する」
「あ…」
「用務員さん、私からエリオット様にご報告しました」
「そう…なのですか」
「さて、本題に入ろう…」
僕はこれまでポピーに関して調査した内容を伝えた。シェリー付き使用人の彼女は、没落寸前の伯爵の出で借金のカタに公爵家へ売られた可哀想な令嬢だった事、そして推測ではあるが、今の境遇が辛くてどうにかしたいと願っている事などだ。
「そこでどうだろう? 僕の味方になってくれないか?」
「お、お味方⁈ 王子様の⁈」
「僕はシェリーと婚約破棄したいんだ。君に協力して欲しい」
「なんと!! でも、協力とは一体…?」
「いずれ婚約破棄を宣言する。…が、いきなり宣言しても納得されないだろうから、事前にある程度の覚悟をして貰っときたい」
「えーと、どの様に伝えれば良いのでしょうか?」
「ミーアが生徒会室へ入ったのを見た…と言うんだ。そしてシェリーから虐められてると訴え、それを聞いた王子は婚約を考え直すと大層怒っている…とね」
「なるほど、早速言ってみます」
「ありがとう。婚約破棄が成立した暁には、君を公爵家から解放するよう取り計らうつもりだ。だから宜しく頼む」
「はい! ぜひぜひ協力します!」
よし、上手くいった。好きな人に謀略の片棒を担がせて申し訳ないと思ってる。他にシェリーへ伝えられるのはエミリーしかいないが、彼女は使えない。皇室が送り込んでるスパイと接触するのは危険だからだ。バトラーからも注意されている。
それに婚約破棄の決め手はポピーが影武者をしていた事実を世にバラす事だ。如何にして盛大にバラすか、それにはポピーの協力が不可欠なのだ。幾ら証拠を並び立ててもシラを切れば逃げられるだろうからな。
ーー僕は鬼になる!
そう決めたんだ。例え、愛するポピーを使ってでも自分の我儘を通す。もう後には引けない。
0
あなたにおすすめの小説
婚約者様への逆襲です。
有栖川灯里
恋愛
王太子との婚約を、一方的な断罪と共に破棄された令嬢・アンネリーゼ=フォン=アイゼナッハ。
理由は“聖女を妬んだ悪役”という、ありふれた台本。
だが彼女は涙ひとつ見せずに微笑み、ただ静かに言い残した。
――「さようなら、婚約者様。二度と戻りませんわ」
すべてを捨て、王宮を去った“悪役令嬢”が辿り着いたのは、沈黙と再生の修道院。
そこで出会ったのは、聖女の奇跡に疑問を抱く神官、情報を操る傭兵、そしてかつて見逃された“真実”。
これは、少女が嘘を暴き、誇りを取り戻し、自らの手で未来を選び取る物語。
断罪は終わりではなく、始まりだった。
“信仰”に支配された王国を、静かに揺るがす――悪役令嬢の逆襲。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
【完結】好きでもない私とは婚約解消してください
里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。
そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。
婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。
悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
過去に戻った筈の王
基本二度寝
恋愛
王太子は後悔した。
婚約者に婚約破棄を突きつけ、子爵令嬢と結ばれた。
しかし、甘い恋人の時間は終わる。
子爵令嬢は妃という重圧に耐えられなかった。
彼女だったなら、こうはならなかった。
婚約者と結婚し、子爵令嬢を側妃にしていれば。
後悔の日々だった。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる