悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本物に『ざまぁ』した結果→彼女は嵌められてた!本当の悪役は、まさかっ!?

鼻血の親分

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第3章 逆転ざまぁだーー!!

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「お父様? お話というのは…?」

 私は屋敷の執務室へ呼ばれた。父は何やら深刻な面持ちだ。

「今日な、宮廷で陛下の謁見を受けてな…」

「処分が下ったのですか?」

「まあ…」

 父の話では、

 一、貴族院理事長の解任
 二、領地の半分没収
 三、エリオット王子御成婚の後に引退

 と言う厳しいものだった。確か王子はシェリーの貴族院卒業取り消しとポピーの卒業認定、それに公爵家の養女にして改めて結婚する事で罪は不問にすると言ってた筈…。陛下はそれをお認めにならなかったと言う訳か? 納得しかねる。

「仕方ない…あとはお前に任せた。お前は幸い皇室の評判が良い。王子にも信頼されている。どうか落ち込んだシュルケン家を繁栄されてくれ」

「私には荷が重すぎます。それに…」

 皇室の陰謀を父に言おうとしたがやめた。まだ推測の段階だ。混乱するだけだろう。

「何かあるのか?」

「いえ、ところでエミリーですが、此処を辞める意思が強い様で…あ、シェリーが寂しがるので」

「ああ、彼女はポピーについて行くらしい」

「は?」

「どう言うやり取りしたのか知らんが、皇室に引っ張られたのだ」

「で、では女官か何かに?」

「そうだろうな…随分と出世した様だ」

 これは益々怪しい。私は彼女に尋問しようか迷っていた。聞いたところで諜報員が簡単に口を割るとは思えない。しかし何とかして尻尾を掴みたいのだ。


 そう考えるうちに数日が経過し、私は王子から宮廷へ呼ばれてしまった。会いたくはないが探りを入れるチャンスでもある。 

「ジャック、明日公爵邸へ行こうと思ってる。同行して貰いたい。あ、今は屋敷に住んでるのか…だったら…」

「いえ、王子様。お迎えに上がります」

「うむ、そうか、ありがとう。ところでポピーとあれから何か話したか?」

「挨拶程度で特には…と言うか王子様、私は彼女を避けておりました」

「それは?」

「ポピーからの質問に怯えていました。『何故、影武者を知ったの?』と聞かれれば、どう答えるのが正解なのか分からなかったのです」

「そうだな。だから今日は打ち合わせをする必要があってお前を呼んだんだ」

「打ち合わせ…ですか?」

「僕はお前を信用している。シュルケン公爵と違って身分をわきまえた行動を取る人物だ。我々に逆らうなんて無茶な事は考えないだろう。だから言うが。もう言わなくても分かるだろう?」

 な、何と⁈…王子の口からあっさり真相を言うとは…。それほど私をコケにしてるのか⁈ 私が刃向かわないとでも思ってるのか⁈ 

「ポピーにはエミリーから聞いたと言うんだ。但し、皇室のスパイだったとは絶対に言うな。分かったな?」

「はい、かしこまりました」

「うん、それからお前が影武者の事を僕に進言したからこそ、卒業パーティーで婚約破棄する決心がついたと言う話にしよう。もし、聞かれたらな」

「はい」

「まあ、ポピーと面談する目的は、僕の気持ちをはっきりと伝える為だ。彼女は何故自分が選ばれたのか不思議に思ってるだろうからね」


 …それから間もなく王子と私はポピーと面談した。やはり彼女は影武者が露呈した経緯や自分が選ばれた理由を聞いてきたが、打ち合わせ通りに話を合わせた。最も、王子の気持ちはあまり理解された様では無かったが。

 そして結婚披露宴が迫っていた。私は最後の賭けに出る事にする。












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