悪役令嬢の影武者を嫌々演じて十年、憎っくき本物に『ざまぁ』した結果→彼女は嵌められてた!本当の悪役は、まさかっ!?

鼻血の親分

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第3章 逆転ざまぁだーー!!

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「ポピー、内緒の話をしていいか?」

 彼女の耳元でそっと囁く。

 宮廷のミニホールでポピーとダンスの練習をしている最中だった。披露宴で王子と踊る「慣し」の為か、彼女からレッスンを頼まれたのだ。

 このチャンスを逃したくない。

 ポピーには常にエミリーがついており、二人っきりになる機会は皆無だった。しかもエミリーは皇室のスパイだ。きっと私は監視されているだろう。

 幸いダンスのレッスン中、彼女は近くに居ない。遠巻きに眺めているだけだ。私は慎重に話を進めた。

「何ですか、ジャック様…いえ、お兄様」

「怪しまれるから手短に話する。…私はこの結婚に反対だ」

「えっ⁈」

「これは長年に亘り皇室が王子が、我が公爵家に仕掛けた陰謀だったのだ。いいか、エミリーは皇室のスパイだ。彼女はシェリーの理解者のふりして、アルコール依存症へ導いた張本人だったのだ」

「そんな…信じられません」

 短時間で多くの情報を流しても戸惑うだけかもしれない。しかし今しか伝えるタイミングはない。

「王子は公爵家を陥れる為に犯罪を誘発した。我々はそれに引っ掛かかってしまった。無論、影武者を仕立てた我らにも責任はある。しかし、これだけは言える。王子は腹黒くて汚いヤツだ。この結婚はよくよく考えろ!」

「い、今更、わたくしに断る権利などございませんよ?」

「お前も分かっている筈だ。王子の想いは単にシェリーの性格が気にいらなくて、そっくりで良識のあるお前に幻想を抱いたに過ぎない」

「そうだとしても…」

「お前もシェリーも被害者なのだ。このままヤツの思い通りにさせるべきではない」

「お兄様、実はわたくしもこの結婚に疑問を持っていました。王子様は憧れでもあり婚求は嬉しかったけど、心から納得はしていません。でも、断れないでしょう?」

「いや、お前さえ良ければ私が反対の意を唱える。たとえ公爵家がどうなろうと私はポピーとシェリーを守るつもりだ。お前らは大切なだからな」

「…わたくし、シェリーと話がしてみたい」

「なに⁈ しかしエミリーの目を盗む事が出来るのか?」

「いつも一緒とは限りません。それにシェリーとは同じお屋敷に住んでるのですよ。深夜に抜け出して会うことは可能ですわ」

「会ったとして何を話すんだ?」

「確認したい事がございます。今夜、こっそり行こうと思います。お兄様も来てください。でないとシェリーが不安がりますから」

 それは危険な行為だと思った。屋敷の中とは言え、エミリーやポピー付きの使用人も住んでいる。まさか四六時中見張ってるとは思わないが、奴らは侮れない。

 それに「確認したい事」とは一体何だ?

 あまり気が進まないな。心とカラダの傷が癒えてきたシェリーがポピーと会って、おかしくならないだろうか…。

「では、お兄様…」

 しかしそれでポピーが納得してくれればと思い、私はシェリーの部屋に行く事を了承した。

 















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