ご主人様は若い女性が苦手なのです。

鼻血の親分

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第三章〜ご主人様を攻略致しますので〜

17. ご主人様は洗脳されるかな

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 お話は数日前に遡ります。

 わたくしは『安息玉』の改良を重ね試行錯誤の上、ついに豆粒大の生薬に成功したのです。単に六等分するだけと安易に考えておりましたが、均等に成分を分けるのに一苦労致しました。

「奥様、やりましたね!」
「ええ。手伝ってくれてありがとう」

 カトリーヌやアンナ、ウラリーも大活躍で皆んな笑みが溢れております。あとは綺麗な包みに入れ、箱をラッピングして完了。

 と、思ったけど取り扱いの注意書きを添えた方が良いわね。ご主人様にお手紙お書きするなんてちょっとドキドキだけどー。

 その便箋を置いた引き出しの中にアロマオイルがあって、お手紙そのものがアロマの香りに満ちておりました。

 なるほど。さり気なくアロマを洗脳させてみましょう。侍女長にお渡しすれば咎められるけど、執事殿がお受け取りなさるから大丈夫……かな?

 これで処方その一、『新・安息玉』が完成し、ついでに処方その二、『アロマのじわりじわり洗脳作戦』を思いついたので決行致します。

「奥様。これに何かお菓子でもお付けしますか」
「え、お菓子? そうか。生薬が物足りなかったら容量守って頂けないかもしれないわね。冴えてるわ。カトリーヌ!」

 するとアンナが張り切ってしまいました。

「お菓子ならアタシにお任せをー!」
「よーし。何かいい材料あるかな?」

 料理人の彼女はクッキー作りが得意みたいでテキパキと準備を進めていきます。

「ココアとバニラどっちがいいですか?」
「どちらも美味しそうね。沢山作って皆んなで試食しましょうか」
「わーい、やったね!」

 さて、問題は型抜きです。丸や四角が一般的ですがそれでは面白くありません。どうせなら可愛い動物とかにしたいです。

「ウキキッ」

 ふと、ウラリーが子猿のジョニーをあやしてる姿が目に映りました。

 さる。

 ご主人様の苦手なお猿さん。それが浮かんだのです。ですが。これはカケです。大いなるカケです。なので先ずは、ふんわりでゆるい感じで試してみたいと思います。

 バニラベースに周りをココア風味で色合いが違う生地を重ね、手と尻尾は長めにくるっと円を描く様に乗せていきます。

 うーむ。思ったよりかなりお猿さんっぽいわね。ふんわりな感じと言うより、モロか。

「お、奥様。流石にこれは……猿かと」
「バレちゃうかな。でも可愛いよねー」

 お菓子くらいなら気がついても目くじら立てないでしょう。それに処方その三、『苦手な生き物を克服する』その第一歩になればと思いました。
 
 そうなのです。これはわたくしからご主人様への挑戦。と言いますか、荒療治でございます。



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