18 / 37
18話 干し草OL、PC破壊の陰謀に遭う(が、まさかの味方にドン引き中)。
しおりを挟む
「あなたたち、一体どういうおつもりなの~?」
給湯室の隙間から、こっそりと絵梨花グループのミーティングを覗き見る。
私を庇ったあの男性陣が、とんでもない目に遭わなきゃいいけど……と少し心配しつつ、ちゃっかり盗撮スタート。
「いやぁ、なんか……空気の感じが、ねぇ先輩」
「ああ。周りの視線が、前とちょっと違う気がしてさ」
ガッシャーン!!
自販機コーナーに、空き缶を叩きつける爆音が響く。お局の一撃だ。
「皆んな仕事に集中してたのよ!そういうタイミングってあるでしょーが!」
こ、こわっ。男性陣、ビビってるのが遠目でも分かる。頑張って……。
「まあいいわ。それより、干し女のPC、なんとかアクセスできないの?」
「ちょっと、IT担当。どうにかしなさい!」
後輩モブ男子がロックオンされていた。合掌。
「パ、パスワードが分からないと無理ですよ……」
「そこをなんとかするのよ!あのPCには盗撮データがあるのよ。いや、きっとそれだけじゃない。絵梨花様の画像も保存されてるに違いないの!」
「ほんっと困るわ~。あんなのバラ撒かれたら、わたくしの好感度が地に落ちちゃう~!」
……やっぱり、絵梨花は怪文書のことをかなり気にしてるっぽい。
だから最近、一輪の花が悪戯されなくなってたのね。なるほど、警戒してたのか。
「じゃあ、こっそりPCぶっ壊すとか~?」
「……いや、バックアップ取ってたら意味なくないですか」
「共有サーバーにもファイルなかったのよね~?」
「はい。全てチェック済みです。なので可能性としては、自宅のPCかスマホが考えられます」
「てか池園さん、そもそも本当に彼女が犯人なんですか?あの人がそこまで大胆なことするとは思えないんですけど……」
──お、同期男子が論点ずらした!
「おいおい、それじゃあこのフロアに〝有志一同〟とか名乗る、絵梨花様の敵が他にもいるってのか?」
「い、いや、そこまでは……」
お局怖いな……頑張れ、男子陣!
「やっぱり、破壊しかないわね~」
「いや、マジで言ってます?」
「あのね~?社内画像を自宅PCに保存したら、それだけで〝機密情報漏洩〟でアウトなのよ?就業規則違反なの、わかる~?もちろん、スマホもね」
「絵梨花様の言う通り。あの真面目な干し女がそんなマネをするはずがない。つまり、PCさえ壊しちゃえば全部チャラよ!」
「いい?干し女には社用外出ってことで出て行ってもらうから、その間にサクッと済ませちゃいなさい~」
──カランッ。絵梨花が空き缶を放り捨てて、満足げにその場を後にする。
残された男性陣、明らかに納得してない顔。でも、立場的に反論は難しいよね……。
さて。私も急いで対処しなければ……!
絵梨花の言う通り、倫理違反なのは重々承知。でも、自宅PCにもデータは保存済み。だから、たとえ壊されても消えることはない。
……それより問題なのは、通常業務への支障。外付けHDは禁止されてるし、必要なファイルはメールで自宅に送るしか手段がない。まぁ、それもアウトなんだけど。とにかく時間がない。──あ、絵梨花から早速メールが来た。
⸻
件名:RE: ご依頼の件
綾坂さん、今からビンゴゲームの機材をレンタルして社内に持ち込みなさい。あなたはIT関係の荷物で大変でしょうから、機材は私たちが運びます。
それと、有休の取得が進んでいないので明日はお休みを取ってください。よろしいですね?
池園 絵梨花
⸻
ったく、有休取れないのは、あなたが仕事を山ほど振ってくるからでしょうが。……まあ、どうせ明日はPCが使えないと踏んで、仕事を押し付けられないと思ってるのね。
……ん?またメール?今度は何よ?
⸻
件名:業務連絡
綾坂さん、共有サーバーの容量を増やしました。大至急、必要ファイルを保存してください。池園さんの命令で、綾坂さんのPCは〝破壊される予定〟です。
あ、実際には壊しません。壊すフリです。ただ、バレた時のために念のためバックアップは推奨します。
有志一同
⸻
RE: 業務連絡
追伸。
まず、社内に戻ったら、僕に「PCに不具合がある」と申告してください。明日、IT本部に持ち込んで初期化するフリをして、元に戻します。
有志一同
⸻
……はい?差出人は後輩モブ男子、CCには同期男子。いや馬鹿なの?でも、味方……してくれてる?それとも罠?どっち……?
迷う。でも、時間がない。
私は一瞬だけ悩んで、すぐに腹を括った。複雑な心境ではあるけれど、彼らに賭けることにした。急いで、指定されたフォルダにファイル一式を保存。もちろん、パスワード付きで。
⸻
件名:RE: 業務連絡
IT担当者各位
池園さんを業務妨害で訴えたい気分ですが、あなたたちの勇気ある告発に免じて、今回は保留といたします。
お言葉に甘え、業務上必要かつ最低限のファイルのみ、一時的にサーバーに保管いたしました。どうか、私のPCを無事に守ってください。
綾坂 花
⸻
BCCには上司の名前を入れて──はい、送信完了。
給湯室の隙間から、こっそりと絵梨花グループのミーティングを覗き見る。
私を庇ったあの男性陣が、とんでもない目に遭わなきゃいいけど……と少し心配しつつ、ちゃっかり盗撮スタート。
「いやぁ、なんか……空気の感じが、ねぇ先輩」
「ああ。周りの視線が、前とちょっと違う気がしてさ」
ガッシャーン!!
自販機コーナーに、空き缶を叩きつける爆音が響く。お局の一撃だ。
「皆んな仕事に集中してたのよ!そういうタイミングってあるでしょーが!」
こ、こわっ。男性陣、ビビってるのが遠目でも分かる。頑張って……。
「まあいいわ。それより、干し女のPC、なんとかアクセスできないの?」
「ちょっと、IT担当。どうにかしなさい!」
後輩モブ男子がロックオンされていた。合掌。
「パ、パスワードが分からないと無理ですよ……」
「そこをなんとかするのよ!あのPCには盗撮データがあるのよ。いや、きっとそれだけじゃない。絵梨花様の画像も保存されてるに違いないの!」
「ほんっと困るわ~。あんなのバラ撒かれたら、わたくしの好感度が地に落ちちゃう~!」
……やっぱり、絵梨花は怪文書のことをかなり気にしてるっぽい。
だから最近、一輪の花が悪戯されなくなってたのね。なるほど、警戒してたのか。
「じゃあ、こっそりPCぶっ壊すとか~?」
「……いや、バックアップ取ってたら意味なくないですか」
「共有サーバーにもファイルなかったのよね~?」
「はい。全てチェック済みです。なので可能性としては、自宅のPCかスマホが考えられます」
「てか池園さん、そもそも本当に彼女が犯人なんですか?あの人がそこまで大胆なことするとは思えないんですけど……」
──お、同期男子が論点ずらした!
「おいおい、それじゃあこのフロアに〝有志一同〟とか名乗る、絵梨花様の敵が他にもいるってのか?」
「い、いや、そこまでは……」
お局怖いな……頑張れ、男子陣!
「やっぱり、破壊しかないわね~」
「いや、マジで言ってます?」
「あのね~?社内画像を自宅PCに保存したら、それだけで〝機密情報漏洩〟でアウトなのよ?就業規則違反なの、わかる~?もちろん、スマホもね」
「絵梨花様の言う通り。あの真面目な干し女がそんなマネをするはずがない。つまり、PCさえ壊しちゃえば全部チャラよ!」
「いい?干し女には社用外出ってことで出て行ってもらうから、その間にサクッと済ませちゃいなさい~」
──カランッ。絵梨花が空き缶を放り捨てて、満足げにその場を後にする。
残された男性陣、明らかに納得してない顔。でも、立場的に反論は難しいよね……。
さて。私も急いで対処しなければ……!
絵梨花の言う通り、倫理違反なのは重々承知。でも、自宅PCにもデータは保存済み。だから、たとえ壊されても消えることはない。
……それより問題なのは、通常業務への支障。外付けHDは禁止されてるし、必要なファイルはメールで自宅に送るしか手段がない。まぁ、それもアウトなんだけど。とにかく時間がない。──あ、絵梨花から早速メールが来た。
⸻
件名:RE: ご依頼の件
綾坂さん、今からビンゴゲームの機材をレンタルして社内に持ち込みなさい。あなたはIT関係の荷物で大変でしょうから、機材は私たちが運びます。
それと、有休の取得が進んでいないので明日はお休みを取ってください。よろしいですね?
池園 絵梨花
⸻
ったく、有休取れないのは、あなたが仕事を山ほど振ってくるからでしょうが。……まあ、どうせ明日はPCが使えないと踏んで、仕事を押し付けられないと思ってるのね。
……ん?またメール?今度は何よ?
⸻
件名:業務連絡
綾坂さん、共有サーバーの容量を増やしました。大至急、必要ファイルを保存してください。池園さんの命令で、綾坂さんのPCは〝破壊される予定〟です。
あ、実際には壊しません。壊すフリです。ただ、バレた時のために念のためバックアップは推奨します。
有志一同
⸻
RE: 業務連絡
追伸。
まず、社内に戻ったら、僕に「PCに不具合がある」と申告してください。明日、IT本部に持ち込んで初期化するフリをして、元に戻します。
有志一同
⸻
……はい?差出人は後輩モブ男子、CCには同期男子。いや馬鹿なの?でも、味方……してくれてる?それとも罠?どっち……?
迷う。でも、時間がない。
私は一瞬だけ悩んで、すぐに腹を括った。複雑な心境ではあるけれど、彼らに賭けることにした。急いで、指定されたフォルダにファイル一式を保存。もちろん、パスワード付きで。
⸻
件名:RE: 業務連絡
IT担当者各位
池園さんを業務妨害で訴えたい気分ですが、あなたたちの勇気ある告発に免じて、今回は保留といたします。
お言葉に甘え、業務上必要かつ最低限のファイルのみ、一時的にサーバーに保管いたしました。どうか、私のPCを無事に守ってください。
綾坂 花
⸻
BCCには上司の名前を入れて──はい、送信完了。
0
あなたにおすすめの小説
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~
阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」
婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。
けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。
セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。
「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。
――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
今さら泣きついても遅いので、どうかお静かに。
阿里
恋愛
「平民のくせに」「トロくて邪魔だ」──そう言われ続けてきた王宮の雑用係。地味で目立たない私のことなんて、誰も気にかけなかった。
特に伯爵令嬢のルナは、私の幸せを邪魔することばかり考えていた。
けれど、ある夜、怪我をした青年を助けたことで、私の運命は大きく動き出す。
彼の正体は、なんとこの国の若き国王陛下!
「君は私の光だ」と、陛下は私を誰よりも大切にしてくれる。
私を虐げ、利用した貴族たちは、今、悔し涙を流している。
【完結】私が愛されるのを見ていなさい
芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定)
公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。
絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。
ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。
完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。
立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる