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18話 干し草OL、PC破壊の陰謀に遭う(が、まさかの味方にドン引き中)。
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「あなたたち、一体どういうおつもりなの~?」
給湯室の隙間から、こっそりと絵梨花グループのミーティングを覗き見る。
私を庇ったあの男性陣が、とんでもない目に遭わなきゃいいけど……と少し心配しつつ、ちゃっかり盗撮スタート。
「いやぁ、なんか……空気の感じが、ねぇ先輩」
「ああ。周りの視線が、前とちょっと違う気がしてさ」
ガッシャーン!!
自販機コーナーに、空き缶を叩きつける爆音が響く。お局の一撃だ。
「皆んな仕事に集中してたのよ!そういうタイミングってあるでしょーが!」
こ、こわっ。男性陣、ビビってるのが遠目でも分かる。頑張って……。
「まあいいわ。それより、干し女のPC、なんとかアクセスできないの?」
「ちょっと、IT担当。どうにかしなさい!」
後輩モブ男子がロックオンされていた。合掌。
「パ、パスワードが分からないと無理ですよ……」
「そこをなんとかするのよ!あのPCには盗撮データがあるのよ。いや、きっとそれだけじゃない。絵梨花様の画像も保存されてるに違いないの!」
「ほんっと困るわ~。あんなのバラ撒かれたら、わたくしの好感度が地に落ちちゃう~!」
……やっぱり、絵梨花は怪文書のことをかなり気にしてるっぽい。
だから最近、一輪の花が悪戯されなくなってたのね。なるほど、警戒してたのか。
「じゃあ、こっそりPCぶっ壊すとか~?」
「……いや、バックアップ取ってたら意味なくないですか」
「共有サーバーにもファイルなかったのよね~?」
「はい。全てチェック済みです。なので可能性としては、自宅のPCかスマホが考えられます」
「てか池園さん、そもそも本当に彼女が犯人なんですか?あの人がそこまで大胆なことするとは思えないんですけど……」
──お、同期男子が論点ずらした!
「おいおい、それじゃあこのフロアに〝有志一同〟とか名乗る、絵梨花様の敵が他にもいるってのか?」
「い、いや、そこまでは……」
お局怖いな……頑張れ、男子陣!
「やっぱり、破壊しかないわね~」
「いや、マジで言ってます?」
「あのね~?社内画像を自宅PCに保存したら、それだけで〝機密情報漏洩〟でアウトなのよ?就業規則違反なの、わかる~?もちろん、スマホもね」
「絵梨花様の言う通り。あの真面目な干し女がそんなマネをするはずがない。つまり、PCさえ壊しちゃえば全部チャラよ!」
「いい?干し女には社用外出ってことで出て行ってもらうから、その間にサクッと済ませちゃいなさい~」
──カランッ。絵梨花が空き缶を放り捨てて、満足げにその場を後にする。
残された男性陣、明らかに納得してない顔。でも、立場的に反論は難しいよね……。
さて。私も急いで対処しなければ……!
絵梨花の言う通り、倫理違反なのは重々承知。でも、自宅PCにもデータは保存済み。だから、たとえ壊されても消えることはない。
……それより問題なのは、通常業務への支障。外付けHDは禁止されてるし、必要なファイルはメールで自宅に送るしか手段がない。まぁ、それもアウトなんだけど。とにかく時間がない。──あ、絵梨花から早速メールが来た。
⸻
件名:RE: ご依頼の件
綾坂さん、今からビンゴゲームの機材をレンタルして社内に持ち込みなさい。あなたはIT関係の荷物で大変でしょうから、機材は私たちが運びます。
それと、有休の取得が進んでいないので明日はお休みを取ってください。よろしいですね?
池園 絵梨花
⸻
ったく、有休取れないのは、あなたが仕事を山ほど振ってくるからでしょうが。……まあ、どうせ明日はPCが使えないと踏んで、仕事を押し付けられないと思ってるのね。
……ん?またメール?今度は何よ?
⸻
件名:業務連絡
綾坂さん、共有サーバーの容量を増やしました。大至急、必要ファイルを保存してください。池園さんの命令で、綾坂さんのPCは〝破壊される予定〟です。
あ、実際には壊しません。壊すフリです。ただ、バレた時のために念のためバックアップは推奨します。
有志一同
⸻
RE: 業務連絡
追伸。
まず、社内に戻ったら、僕に「PCに不具合がある」と申告してください。明日、IT本部に持ち込んで初期化するフリをして、元に戻します。
有志一同
⸻
……はい?差出人は後輩モブ男子、CCには同期男子。いや馬鹿なの?でも、味方……してくれてる?それとも罠?どっち……?
迷う。でも、時間がない。
私は一瞬だけ悩んで、すぐに腹を括った。複雑な心境ではあるけれど、彼らに賭けることにした。急いで、指定されたフォルダにファイル一式を保存。もちろん、パスワード付きで。
⸻
件名:RE: 業務連絡
IT担当者各位
池園さんを業務妨害で訴えたい気分ですが、あなたたちの勇気ある告発に免じて、今回は保留といたします。
お言葉に甘え、業務上必要かつ最低限のファイルのみ、一時的にサーバーに保管いたしました。どうか、私のPCを無事に守ってください。
綾坂 花
⸻
BCCには上司の名前を入れて──はい、送信完了。
給湯室の隙間から、こっそりと絵梨花グループのミーティングを覗き見る。
私を庇ったあの男性陣が、とんでもない目に遭わなきゃいいけど……と少し心配しつつ、ちゃっかり盗撮スタート。
「いやぁ、なんか……空気の感じが、ねぇ先輩」
「ああ。周りの視線が、前とちょっと違う気がしてさ」
ガッシャーン!!
自販機コーナーに、空き缶を叩きつける爆音が響く。お局の一撃だ。
「皆んな仕事に集中してたのよ!そういうタイミングってあるでしょーが!」
こ、こわっ。男性陣、ビビってるのが遠目でも分かる。頑張って……。
「まあいいわ。それより、干し女のPC、なんとかアクセスできないの?」
「ちょっと、IT担当。どうにかしなさい!」
後輩モブ男子がロックオンされていた。合掌。
「パ、パスワードが分からないと無理ですよ……」
「そこをなんとかするのよ!あのPCには盗撮データがあるのよ。いや、きっとそれだけじゃない。絵梨花様の画像も保存されてるに違いないの!」
「ほんっと困るわ~。あんなのバラ撒かれたら、わたくしの好感度が地に落ちちゃう~!」
……やっぱり、絵梨花は怪文書のことをかなり気にしてるっぽい。
だから最近、一輪の花が悪戯されなくなってたのね。なるほど、警戒してたのか。
「じゃあ、こっそりPCぶっ壊すとか~?」
「……いや、バックアップ取ってたら意味なくないですか」
「共有サーバーにもファイルなかったのよね~?」
「はい。全てチェック済みです。なので可能性としては、自宅のPCかスマホが考えられます」
「てか池園さん、そもそも本当に彼女が犯人なんですか?あの人がそこまで大胆なことするとは思えないんですけど……」
──お、同期男子が論点ずらした!
「おいおい、それじゃあこのフロアに〝有志一同〟とか名乗る、絵梨花様の敵が他にもいるってのか?」
「い、いや、そこまでは……」
お局怖いな……頑張れ、男子陣!
「やっぱり、破壊しかないわね~」
「いや、マジで言ってます?」
「あのね~?社内画像を自宅PCに保存したら、それだけで〝機密情報漏洩〟でアウトなのよ?就業規則違反なの、わかる~?もちろん、スマホもね」
「絵梨花様の言う通り。あの真面目な干し女がそんなマネをするはずがない。つまり、PCさえ壊しちゃえば全部チャラよ!」
「いい?干し女には社用外出ってことで出て行ってもらうから、その間にサクッと済ませちゃいなさい~」
──カランッ。絵梨花が空き缶を放り捨てて、満足げにその場を後にする。
残された男性陣、明らかに納得してない顔。でも、立場的に反論は難しいよね……。
さて。私も急いで対処しなければ……!
絵梨花の言う通り、倫理違反なのは重々承知。でも、自宅PCにもデータは保存済み。だから、たとえ壊されても消えることはない。
……それより問題なのは、通常業務への支障。外付けHDは禁止されてるし、必要なファイルはメールで自宅に送るしか手段がない。まぁ、それもアウトなんだけど。とにかく時間がない。──あ、絵梨花から早速メールが来た。
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件名:RE: ご依頼の件
綾坂さん、今からビンゴゲームの機材をレンタルして社内に持ち込みなさい。あなたはIT関係の荷物で大変でしょうから、機材は私たちが運びます。
それと、有休の取得が進んでいないので明日はお休みを取ってください。よろしいですね?
池園 絵梨花
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ったく、有休取れないのは、あなたが仕事を山ほど振ってくるからでしょうが。……まあ、どうせ明日はPCが使えないと踏んで、仕事を押し付けられないと思ってるのね。
……ん?またメール?今度は何よ?
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件名:業務連絡
綾坂さん、共有サーバーの容量を増やしました。大至急、必要ファイルを保存してください。池園さんの命令で、綾坂さんのPCは〝破壊される予定〟です。
あ、実際には壊しません。壊すフリです。ただ、バレた時のために念のためバックアップは推奨します。
有志一同
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RE: 業務連絡
追伸。
まず、社内に戻ったら、僕に「PCに不具合がある」と申告してください。明日、IT本部に持ち込んで初期化するフリをして、元に戻します。
有志一同
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……はい?差出人は後輩モブ男子、CCには同期男子。いや馬鹿なの?でも、味方……してくれてる?それとも罠?どっち……?
迷う。でも、時間がない。
私は一瞬だけ悩んで、すぐに腹を括った。複雑な心境ではあるけれど、彼らに賭けることにした。急いで、指定されたフォルダにファイル一式を保存。もちろん、パスワード付きで。
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件名:RE: 業務連絡
IT担当者各位
池園さんを業務妨害で訴えたい気分ですが、あなたたちの勇気ある告発に免じて、今回は保留といたします。
お言葉に甘え、業務上必要かつ最低限のファイルのみ、一時的にサーバーに保管いたしました。どうか、私のPCを無事に守ってください。
綾坂 花
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BCCには上司の名前を入れて──はい、送信完了。
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