婚約破棄された悪役令嬢は、階段から突き落とされ記憶を失う。気がつけば召使いに〜。

鼻血の親分

文字の大きさ
21 / 25

第21話 ご婚約おめでとうございます!!

しおりを挟む
 あー、長かったよー、辛かったわー!

 さあて、これからどうしましょう⁈


***


 ここに1通の招待状がある。シンクリア王子とモモシャリーの婚約パーティー兼同窓会の招待状だ。以前、わたくしがここへ立ち寄った際に置き忘れたものだけど、これって同級生だったわたくしのだよね? 1枚余ったから処分しろってサラーニャが言ってたけど。

 つか、ゼアス家はお咎め受けるのかしら? だとしたら婚約パーティーってやるのかな⁈

「如何されましたか? ララコスティさま」
「爺……このパーティー行くべきなのかな。中止にならないの?」
「パーティーは明日ですよ。中止の連絡など来ておりません。ララコスティさま、シンクリア王子の元婚約者として行きづらいのは理解できますが、同級生の慶事ごと。お辛いでしょうがお祝いしなくてはなりませんよ」
「お祝いねえ……」

 お祝いどころか沸々と怒りが湧いてくるわ。労役とは言え、このわたくしに対して数々の無礼な振る舞い。このままでは済まさないわっ、復讐よ!

「爺、わたくしなりのお祝いしようかしら」
「と、仰いますと?」

 ふん、知れたこと。モモシャリーとサラーニャを1発殴って祝福するのよー!

「ちょっと考えてみますわ」
「ねえ、僕も宮殿の前まで一緒に行くよ!」
「うん、うん、アプレンもおいで。うふふ」


 そして当日を迎えた。

「お姉さま、綺麗ー!」
「アヤーナ、ちょっと派手じゃなーい⁈」
「いいの、いいの。主役を食っちゃえー!」

 うふっ、悪くはなくてよ。このドレスに似合うアクセサリーもモモシャリーに負けないわ!

「ララコスティさま、馬車の用意が整いました。それと、騎士団が護衛するとのことでお待ちになられています」
「騎士団が?」
「団長の命令だそうですよ」

 まぁ、タカフミィーニさまったら、わたくしのこと御心配なされてー。

「今、参りますわ!」

 わたくしはアプレンと馬車に乗り宮殿へと向かう。その馬車を前後する形で団員が周りを固めていた。やがて宮殿に到着したが、わたくしは馬車から降りようとはしない。

「ララコスティさま? 遅刻しますよ」
「う、うん。何だか怖くて」
「労役は解かれてます。何も怖がることはないですよ。あー、僕も会場まで入れたらなー」
「念のため、我々が護衛につくよう団長から指示されてますので何の心配もございません」
「ありがとう。もう少しだけ気持ちを整えてから行くわ」
「ララコスティさま……震えてるの?」
「大丈夫よ」

 皆さん、ごめんなさい。怖くて震えてるんじゃないの。武者震いってヤツなの。それとね、少し遅刻するくらいがちょうど良いのよ。


 その頃、会場では婚約パーティーが盛大に行われていた。

「えー、それではシンクリア第1王子さまと筆頭公爵家ご令嬢、モモシャリーさまの婚約パーティーを開催致します!」

 華やかなパーティー会場で貴族院の同級生たちが祝福の拍手を喝采している。そして王子の挨拶になると、そのお言葉を傾聴しようと会場が静かになった。

 ──とその時、わたくしは扉を開けた。

 ギィィ……バーンッ!

「えっ、なに⁈」
「誰なの⁈ あの派手な御方は⁈」
「ああっ、ラ、ララコスティだ!」

 皆さんがわたくしに注目する。

「ご婚約おめでとうございます。心よりお喜び申し上げます」

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

「婚約破棄だ」と叫ぶ殿下、国の実務は私ですが大丈夫ですか?〜私は冷徹宰相補佐と幸せになります〜

万里戸千波
恋愛
公爵令嬢リリエンは卒業パーティーの最中、突然婚約者のジェラルド王子から婚約破棄を申し渡された

悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜

咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。 もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。 一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…? ※これはかなり人を選ぶ作品です。 感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。 それでも大丈夫って方は、ぜひ。

婚約破棄されましたが、おかげで聖女になりました

瀬崎由美
恋愛
「アイラ・ロックウェル、君との婚約は無かったことにしよう」そう婚約者のセドリックから言い放たれたのは、通っていた学園の卒業パーティー。婚約破棄の理由には身に覚えはなかったけれど、世間体を気にした両親からはほとぼりが冷めるまでの聖地巡礼——世界樹の参拝を言い渡され……。仕方なく朝夕の参拝を真面目に行っていたら、落ちてきた世界樹の実に頭を直撃。気を失って目が覚めた時、私は神官達に囲まれ、横たえていた胸の上には実から生まれたという聖獣が乗っかっていた。どうやら私は聖獣に見初められた聖女らしい。 そして、その場に偶然居合わせていた第三王子から求婚される。問題児だという噂の第三王子、パトリック。聖女と婚約すれば神殿からの後ろ盾が得られると明け透けに語る王子に、私は逆に清々しさを覚えた。

【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます

なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。 過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。 魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。 そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。 これはシナリオなのかバグなのか? その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。 【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】

お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!

にのまえ
恋愛
 すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。  公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。  家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。  だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、  舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。

お母様!その方はわたくしの婚約者です

バオバブの実
恋愛
マーガレット・フリーマン侯爵夫人は齢42歳にして初めて恋をした。それはなんと一人娘ダリアの婚約者ロベルト・グリーンウッド侯爵令息 その事で平和だったフリーマン侯爵家はたいへんな騒ぎとなるが…

[異世界恋愛短編集]お望み通り、悪役令嬢とやらになりましたわ。ご満足いただけたかしら?

石河 翠
恋愛
公爵令嬢レイラは、王太子の婚約者である。しかし王太子は男爵令嬢にうつつをぬかして、彼女のことを「悪役令嬢」と敵視する。さらに妃教育という名目で離宮に幽閉されてしまった。 面倒な仕事を王太子から押し付けられたレイラは、やがて王族をはじめとする国の要人たちから誰にも言えない愚痴や秘密を打ち明けられるようになる。 そんなレイラの唯一の楽しみは、離宮の庭にある東屋でお茶をすること。ある時からお茶の時間に雨が降ると、顔馴染みの文官が雨宿りにやってくるようになって……。 どんな理不尽にも静かに耐えていたヒロインと、そんなヒロインの笑顔を見るためならどんな努力も惜しまないヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 「お望み通り、悪役令嬢とやらになりましたわ。ご満足いただけたかしら?」、その他5篇の異世界恋愛短編集です。 この作品は、他サイトにも投稿しております。表紙は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:32749945)をおかりしております。

婚約破棄、承りました!悪役令嬢は面倒なので認めます。

パリパリかぷちーの
恋愛
「ミイーシヤ! 貴様との婚約を破棄する!」 王城の夜会で、バカ王子アレクセイから婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢ミイーシヤ。 周囲は彼女が泣き崩れると思ったが――彼女は「承知いたしました(ガッツポーズ)」と即答!

処理中です...