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幸せを届けに
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「はい、と言う事で早速明日から……いや、もう今日からやりますか!」
「いきなり!?さっきから突然すぎるんだけど!」
「善は急げっていうでしょ?」
「またことわざかよ!そもそもコレが善かどうか怪しいけどね?ひょっとしたら悪かも知れないからね?」
「ほら、早く着替えて!不幸な人間を探しに行くぞー!」
「無視かーい!」
やたら気合の入ったクニハルを尻目に、ふと、時計を見た。針は午後七時を指していた。正直、この時間から人探しの為に外に出るのは面倒だった。
重い体を動かして、俺は仕方なくタンスを開けた。
「早くしないと日が暮れちゃうよ!」
クニハルが言う。最も、もうとっくに日なんて暮れているのだが。
俺は、ネイビーの長ズボンにグレーのパーカーというシンプルな服装に着替えを済ませ、嫌々ながら外に出る準備を早々に終えた。
「おぉ……何というか、モノトーンな人なんだね」
「それ褒めてんの?ちょっと馬鹿にしてるよね?」
「イヤだなぁ、褒めてるに決まってるじゃん!ヒューヒュー!オシャレー!」
「思いっきり馬鹿にしてんじゃねーかよ!」
「してないって。さぁ行くよ!蜂谷君のファッションセンスが落ちる前に!」
「どういう意味!?やっぱり馬鹿にしてるよね!そもそも、お前も同じ様な格好してる癖に!」
「そりゃそうだよ。僕は自動的に君と同じ様な服装になってしまうんだから」
僕は君だからね。とクニハルが笑った。こいつはあと何回この台詞を言うのだろうか。
なんて、どうでもいい疑問を抱きながら、俺たちは外に出た。
「で、何処に行けば不幸な人に会えるの?やっぱ人が多い所?」
「いや、ただ単に人が沢山いる場所に行くのは逆効果なんだ。人が多すぎると、返って不幸な人間を見つけ辛くなるからね」
「なるほど……そうなると何処に行くべきなんだ?」
得意げな表情を浮かべて、クニハルが言った。
「ずばり、橋だね」
「橋?なんでだ?」
「そこに一番集まりやすいからだよ」
「不幸な人がか?」
「そうだよ。よく手すりにもたれかかって黄昏てる人いるでしょ?あれ不幸な人だよ」
「扱いが雑だな……まぁ、たまにいるけどね。川とか空とか見てる人」
実際、つい最近にも欄干に寄り掛かってボーッとしている人を見かけたので、容易に想像することが出来た。
俺は、そういう人を見かける度に、今どんな心境なんだろう、何を思っているんだろうと気になっていたのだ。
「特に、今から深夜に掛けての時間は狙い目だよ。仕事終わりのサラリーマンとか現れてくるからね」
「なるほどねぇ……よく考えてるんだか適当なのか……」
「ははは、策士と言ってくれよ」
死んだ魚の様な目をする俺とは対照的に、クニハルはご機嫌そうに笑った。
「と言うわけで、今から橋に向かうよ。幸せ届けに行くよ!」
「分かったよ……」
はぁ、と一つ大きな溜め息を吐きながらも、靴を履いて外に出た。家の鍵は、クニハルが閉めてくれた。
こうして、鍵が閉まった事を確認した俺達は、幸福屋として夜の街に現れるのだった。
「いきなり!?さっきから突然すぎるんだけど!」
「善は急げっていうでしょ?」
「またことわざかよ!そもそもコレが善かどうか怪しいけどね?ひょっとしたら悪かも知れないからね?」
「ほら、早く着替えて!不幸な人間を探しに行くぞー!」
「無視かーい!」
やたら気合の入ったクニハルを尻目に、ふと、時計を見た。針は午後七時を指していた。正直、この時間から人探しの為に外に出るのは面倒だった。
重い体を動かして、俺は仕方なくタンスを開けた。
「早くしないと日が暮れちゃうよ!」
クニハルが言う。最も、もうとっくに日なんて暮れているのだが。
俺は、ネイビーの長ズボンにグレーのパーカーというシンプルな服装に着替えを済ませ、嫌々ながら外に出る準備を早々に終えた。
「おぉ……何というか、モノトーンな人なんだね」
「それ褒めてんの?ちょっと馬鹿にしてるよね?」
「イヤだなぁ、褒めてるに決まってるじゃん!ヒューヒュー!オシャレー!」
「思いっきり馬鹿にしてんじゃねーかよ!」
「してないって。さぁ行くよ!蜂谷君のファッションセンスが落ちる前に!」
「どういう意味!?やっぱり馬鹿にしてるよね!そもそも、お前も同じ様な格好してる癖に!」
「そりゃそうだよ。僕は自動的に君と同じ様な服装になってしまうんだから」
僕は君だからね。とクニハルが笑った。こいつはあと何回この台詞を言うのだろうか。
なんて、どうでもいい疑問を抱きながら、俺たちは外に出た。
「で、何処に行けば不幸な人に会えるの?やっぱ人が多い所?」
「いや、ただ単に人が沢山いる場所に行くのは逆効果なんだ。人が多すぎると、返って不幸な人間を見つけ辛くなるからね」
「なるほど……そうなると何処に行くべきなんだ?」
得意げな表情を浮かべて、クニハルが言った。
「ずばり、橋だね」
「橋?なんでだ?」
「そこに一番集まりやすいからだよ」
「不幸な人がか?」
「そうだよ。よく手すりにもたれかかって黄昏てる人いるでしょ?あれ不幸な人だよ」
「扱いが雑だな……まぁ、たまにいるけどね。川とか空とか見てる人」
実際、つい最近にも欄干に寄り掛かってボーッとしている人を見かけたので、容易に想像することが出来た。
俺は、そういう人を見かける度に、今どんな心境なんだろう、何を思っているんだろうと気になっていたのだ。
「特に、今から深夜に掛けての時間は狙い目だよ。仕事終わりのサラリーマンとか現れてくるからね」
「なるほどねぇ……よく考えてるんだか適当なのか……」
「ははは、策士と言ってくれよ」
死んだ魚の様な目をする俺とは対照的に、クニハルはご機嫌そうに笑った。
「と言うわけで、今から橋に向かうよ。幸せ届けに行くよ!」
「分かったよ……」
はぁ、と一つ大きな溜め息を吐きながらも、靴を履いて外に出た。家の鍵は、クニハルが閉めてくれた。
こうして、鍵が閉まった事を確認した俺達は、幸福屋として夜の街に現れるのだった。
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