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怪しい
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名前を尋ねられた私はいったん口を閉ざして思考に耽る。
私はこれから、この脳みそに下半身が詰まった性欲の権化を地獄に叩き落とす。
具体的な案はまだ出てこないけど、まあ適当に誑かして口外厳禁な情報でも口走ってもらおうか。
信頼を失えば現王の後継者争いからは外されるだろうし、私を裏切った罰としてはちょうどいい。
その分慎重に名乗らないとなあ。バレたらマジの打首モノだ。
「もしかして警戒してる?」
「別に、そういうわけでは……」
「いいよいいよ。こんな出会い方じゃちょっとは怖いよね」
「そんな、怖いわけじゃないんです……」
私はわざと身をすくませて上目遣いをエドモンドにくれてやった。この人の好みは嫌というほど知っている。
芯のある強い女ではなく、簡単に言うことを聞いてくれそうな、自分より明確に弱そうな女が好きなのだ。
「ほら怖がってるじゃん」
案の定、エドモンドは喜色を含む笑みを浮かべてきた。にこにこと、その内面を知らなければ絆されてしまいそうな表情。
「ま、気にしなくていいよ。むしろ疑い深い人で安心したかな」
こちらに一切の非を背負わせないイケメンコメント。けどむかつくなあこいつ。ナンパ男が女側にまともな貞操観念求めんなや引っこ抜くぞ。
「そうですか」
「うん。名前はまた今度でもいいや。あ、これどうぞ」
しれっと次も会うことをほのめかしつつ、コースターやカトラリー類をこちらに渡してくるエドモンド。やはりイケメンで紳士的だ。
渡されたそれを左手で受け取ると、脳みそチンチンははっとして口を開いた。
「へえ、左利きなんだ」
「珍しいですよね」
「うん。そっか、左利きか。隣同士で座る時は僕が右側に行かなきゃだね。忘れないようにメモしておかないと」
「ッ!!」
私はコロっと落ちそうになる心を死にものぐるいで食い止める。顔には万力のような力がこもっていることだろう。そうしなければきっとニヤニヤが止まらない。
いくらうざいとはいえ、裏切られたとはいえ、ついさっきまで大好きで好みど真ん中だったエドモンドに優しくされれば、やっぱり嬉しくないわけがないのだ。
ひっっじょーーーにムカつくけど。クソが、もっといい男見つけて吹っ切ってやる。
どうせこうやって数多の女を引っ掛けてきたに違いない。
こいつ、私とデートしてた時は一度もこんな優しさ見せなかったくせに、ワンナイトの女にはするのか、、。
「そういえばーー」
エドモンドが優しく話しかけてくる。私はにやけるものかと全神経を表情筋に寄せてそれを受けーーこうしてナンパ男VS復讐女のバトルは始まった。
◯
エドモンドの誘いを断りつつ会話をするのは、意外と簡単なことであった。何せ私は何年も彼だけを見てきた訳で、彼が好むものは当然全て知っている。
なのでそれを実践するだけで、気持ちよさそうに色々と話してくれた。
勿論、彼が王族であると分かる証拠を話すようなボロはないが、こんなにも口が軽いのかと驚いてしまったものだ。
「そうだなぁ、好きな女性か」
今はお互いの異性の好みについて話している。男女の会話としては定番中の定番だけど、この脳みそチンチン男が何をいうかは気になるところだ。
ちなみに私は誠実な人と答えた。いや本当に。顔とかお金とか地位、それらはあればあるだけ素敵だとは思うけど、一番は誠実さだと思います。
誠実な王子様とかいないかな。
話がずれた。
「自我のある女性がいいかな。僕の言う事をなんでもはいはい聞いたり、一緒にいて主張をしてこない人はお人形さんみたいで嫌だね」
それを言うエドモンドの表情は、間違いなく本心を語る時のそれであった。そしてたぶん、というかほぼ間違いなく、お人形さんとは私のことなのだろう。
確かに次期国王候補を立てるために、私は影のように振る舞うことが多かったけど。それがエドモンドにとっては苦痛だったのかもしれない。
ーーまあ、全ては過去の話だ。
あの婚約破棄に私の落ち度があったとして、それと現状、つまりエドモンドの女癖の悪さは繋がらない。
ふうん。エドモンドはそういう人も好きなんだ。じゃあ少しは見返してやろうかな。好みの女に寄せて、好意を持たせて、それで思い切り振ってやりたい。
「今まで付き合った中にそういう人がいたんですか?」
「そうだね。あんまり自己主張をしない人だったかな。まあ最近別れられたんだけど」
「……ならよかったじゃないですか」
「よかったけど、ホント別れるのが大変でさ。ちょっと色々としがらみがあったから簡単に別れられなくてね」
「へえ、そうなんですね。しがらみって?」
「まあ色んな人付き合いかな。その人と別れると色々と大変になるって感じ。だからそのへんの根回しは友達に協力してもらったんだよね」
ーーへえ。友達かあ。
エドモンドの周りも調べたほうがいいのかな?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
面白い、続きが気になると思っていただけたら、小説のフォローや感想をお願いします!やる気に繋がりますので!!
私はこれから、この脳みそに下半身が詰まった性欲の権化を地獄に叩き落とす。
具体的な案はまだ出てこないけど、まあ適当に誑かして口外厳禁な情報でも口走ってもらおうか。
信頼を失えば現王の後継者争いからは外されるだろうし、私を裏切った罰としてはちょうどいい。
その分慎重に名乗らないとなあ。バレたらマジの打首モノだ。
「もしかして警戒してる?」
「別に、そういうわけでは……」
「いいよいいよ。こんな出会い方じゃちょっとは怖いよね」
「そんな、怖いわけじゃないんです……」
私はわざと身をすくませて上目遣いをエドモンドにくれてやった。この人の好みは嫌というほど知っている。
芯のある強い女ではなく、簡単に言うことを聞いてくれそうな、自分より明確に弱そうな女が好きなのだ。
「ほら怖がってるじゃん」
案の定、エドモンドは喜色を含む笑みを浮かべてきた。にこにこと、その内面を知らなければ絆されてしまいそうな表情。
「ま、気にしなくていいよ。むしろ疑い深い人で安心したかな」
こちらに一切の非を背負わせないイケメンコメント。けどむかつくなあこいつ。ナンパ男が女側にまともな貞操観念求めんなや引っこ抜くぞ。
「そうですか」
「うん。名前はまた今度でもいいや。あ、これどうぞ」
しれっと次も会うことをほのめかしつつ、コースターやカトラリー類をこちらに渡してくるエドモンド。やはりイケメンで紳士的だ。
渡されたそれを左手で受け取ると、脳みそチンチンははっとして口を開いた。
「へえ、左利きなんだ」
「珍しいですよね」
「うん。そっか、左利きか。隣同士で座る時は僕が右側に行かなきゃだね。忘れないようにメモしておかないと」
「ッ!!」
私はコロっと落ちそうになる心を死にものぐるいで食い止める。顔には万力のような力がこもっていることだろう。そうしなければきっとニヤニヤが止まらない。
いくらうざいとはいえ、裏切られたとはいえ、ついさっきまで大好きで好みど真ん中だったエドモンドに優しくされれば、やっぱり嬉しくないわけがないのだ。
ひっっじょーーーにムカつくけど。クソが、もっといい男見つけて吹っ切ってやる。
どうせこうやって数多の女を引っ掛けてきたに違いない。
こいつ、私とデートしてた時は一度もこんな優しさ見せなかったくせに、ワンナイトの女にはするのか、、。
「そういえばーー」
エドモンドが優しく話しかけてくる。私はにやけるものかと全神経を表情筋に寄せてそれを受けーーこうしてナンパ男VS復讐女のバトルは始まった。
◯
エドモンドの誘いを断りつつ会話をするのは、意外と簡単なことであった。何せ私は何年も彼だけを見てきた訳で、彼が好むものは当然全て知っている。
なのでそれを実践するだけで、気持ちよさそうに色々と話してくれた。
勿論、彼が王族であると分かる証拠を話すようなボロはないが、こんなにも口が軽いのかと驚いてしまったものだ。
「そうだなぁ、好きな女性か」
今はお互いの異性の好みについて話している。男女の会話としては定番中の定番だけど、この脳みそチンチン男が何をいうかは気になるところだ。
ちなみに私は誠実な人と答えた。いや本当に。顔とかお金とか地位、それらはあればあるだけ素敵だとは思うけど、一番は誠実さだと思います。
誠実な王子様とかいないかな。
話がずれた。
「自我のある女性がいいかな。僕の言う事をなんでもはいはい聞いたり、一緒にいて主張をしてこない人はお人形さんみたいで嫌だね」
それを言うエドモンドの表情は、間違いなく本心を語る時のそれであった。そしてたぶん、というかほぼ間違いなく、お人形さんとは私のことなのだろう。
確かに次期国王候補を立てるために、私は影のように振る舞うことが多かったけど。それがエドモンドにとっては苦痛だったのかもしれない。
ーーまあ、全ては過去の話だ。
あの婚約破棄に私の落ち度があったとして、それと現状、つまりエドモンドの女癖の悪さは繋がらない。
ふうん。エドモンドはそういう人も好きなんだ。じゃあ少しは見返してやろうかな。好みの女に寄せて、好意を持たせて、それで思い切り振ってやりたい。
「今まで付き合った中にそういう人がいたんですか?」
「そうだね。あんまり自己主張をしない人だったかな。まあ最近別れられたんだけど」
「……ならよかったじゃないですか」
「よかったけど、ホント別れるのが大変でさ。ちょっと色々としがらみがあったから簡単に別れられなくてね」
「へえ、そうなんですね。しがらみって?」
「まあ色んな人付き合いかな。その人と別れると色々と大変になるって感じ。だからそのへんの根回しは友達に協力してもらったんだよね」
ーーへえ。友達かあ。
エドモンドの周りも調べたほうがいいのかな?
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