聖なる夜に馬鹿ふたり~ウケ狙いでサンタのエロコスプレをしたら親友に押し倒された

三崎

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「ただいまー」
 
 間延びした帰宅の挨拶と一緒に冷えた空気が流れこんできた。天気予報では、今日の深夜から明日の朝にかけて雪がちらつくらしい。明朝、窓の外には雪景色が広がっているかもしれない。
 
 俺はコンビニ帰りの貴弘を出迎えるべく立ち上がった。そして腰に手をあててポーズを作った。
 
「メリークリスマース! イエー!」
 
 靴を脱いだ貴弘は何事だろうと俺の方を見た。そして盛大に噴き出した。
 
「何でソレ着てんだよ!」
「クリスマスらしくていいだろ?」
 
 両手を広げてくるりと一回転すれば、真紅のスカートがバレリーナのように舞い上がる。
 今、俺が着ているのは貴弘が乙葉さんのために買ったエロコスプレ衣装。行き場をなくして捨てられるくらいなら、こうして笑いの種にしてしまうのも悪くない。
 
 案の定、貴弘は腹をかかえて大爆笑していた。
 
「あはははっ、似合わねぇ!」
「何でだよ。超、可愛いだろ」
「可愛くしたいならもう少し気合い入れろや。パンツ丸見えだし乳首モロ出し」
「マジ?」
 
 俺は姿見に自分の姿を映してみた。ひどい有様だった。ミニスカートのすそからはチェック柄のトランクスがはみだしているし、スカスカの胸元には乳首がふたつ。このまま外に出たらわいせつ物陳列罪で逮捕されそうだ。
 あまりに酷すぎて自分でも笑ってしまった。
 
 コンビニのビニール袋をこたつの上に置いて、貴弘は俺の方に手を伸ばした。
 
「せめて乳首は隠そうぜ。背中の紐、締めてやるよ」
「パンツは?」
「脱げ脱げ」
 
 俺は言われるがままパンツを脱いだ。普段の俺ならまずそんなことはしないが、酔っ払っていると何でもできてしまう気がするから不思議。貴弘も同じくらい酔っているのだからなお質が悪い。
 
 貴弘に背中の編み上げ紐を締めてもらい、主張の強かったトランクスを脱ぐと、そこそこ見られる姿になった。
 
「どう?」
「いーじゃん。まぁまぁ可愛い」
「まぁまぁかよ」
 
 中途半端な褒め言葉に多少不満を覚えながらも、可愛いと言われたことに悪い気はせず、俺はまた姿見を見た。貴弘の元カノである乙葉さんには遠く及ばなくとも、最低限、見られる姿にはなったかなという印象だ。
 
「光流」
「ん?」
「えーい」
 
 間の抜けたかけ声と同時に肩を押された。まさかそんなことをされるとは思ってもいなかったので、バランスを崩してベッドに倒れ込んだ。背中にひんやりとしたシーツの感触。
 
「何すんだよ!」
 
 思わず声を荒げるが、貴弘は悪びれた様子がない。それどころか楽しげに頬を緩めながら俺の手首をシーツに縫い止めた。
 まるで貴弘に押し倒されたような体勢だったので、俺は危機感を覚えて足をジタバタさせた。
 
「おいおいおい、ちょっと待て! この体勢は色々まずい!」
「何で?」
「間違いが起こっちゃったら困るだろ!」
「間違いかー。俺的には、間違ったら間違ったで構わないという気分になりつつあるというか」
「はぁ⁉」
 
 貴弘の声はまだ冗談めいた調子であるが、俺はこのままではろくなことにならないと直感した。
 
 気さくな性格で交友関係の広い貴弘は、男女関係や性関係に奔放な一面がある。告白されればよく知らない相手とでも付き合うし、フラれたら深追いするような真似はしない。
 交際関係にあるうちは相手とうまくやるのだが、それもある意味では執着のなさがなせる技というか。乙葉さんにフラれてもあまり傷ついた素振りを見せないのは、この奔放な性格が原因だ。
 
 そして貴弘のかつての交際相手の中には、ワンナイトラブから関係が始まったという女性もいる。そのような関係の始まり方が不適切だと文句を言いたいのではない。問題なのは、貴弘がワンナイトラブに抵抗がない部類の人間だということ。
 俺はウケ目的でエロコスプレ衣装を着てしまったことを後悔した。
 
「貴弘……マジで落ち着け……ちょ、待て……ひー」
 
 制止の言葉を気にもかけず、貴弘は俺の首筋に吸いついてきた。軽い吸い音を立てながら敏感な場所をなぞる。肌にかかる吐息は熱い。与えられた熱は快感を伴いながら脊椎をくだり、腹の内側の深いところに溜まっていく。
 
「光流、びくびくしてる。可愛い」
「可愛い言うな……」
「さっきは嬉しそうだったくせに」
「あれは服の話だからぁ……」
 
 貴弘は俺の手首を片手で器用にまとめあげると、空いた手で大胆にスカートの内側をまさぐりはじめた。そそのかされてパンツを脱いでしまったから、手のひらが直に肌に触れる。
 腰回りや内太ももを撫でられれば否応にも身体は反応してしまって、貴弘は楽しそうに口角をあげた。
 
「勃ってきた」
「うっさい」
 
 俺だって健全な男子大学生、やらしい触り方をされれば勃つに決まっている。女性経験が豊富な貴弘は、性感帯を熟知しているのだからなお質が悪い。
 
 一度気持ちよさを覚えてしまえばもう抗う気は起きなくて、沼地に落ちたように快楽に沈んでいく。熱を溜め込んだ場所を緩慢にしごかれれば、わずかに残された理性すら春雪のように溶けて消えた。
 そうしてその行為を受け入れるまでさほど時間はかからなかった。


 
 どれくらい時間が経っただろう。部屋の中には蜜壺を掻き回すような音が響いていた。
 
 貴弘の指は俺の中に深く入りこんで、快感をもたらす場所を執拗に撫でる。
 初めのうちこそ身体の内側に触れられることに違和感を覚えたが、今ではもっと欲しいとねだるように腰が揺れる。唇から放たれる嬌声は甘く蕩けていて、自分のものではない誰かの声を聞いているようだった。
 
「やぁ、あ……そこばっか触んなってぇ……」
「そう? まだ全然、足りなさそうだけどなー」
「そんなこと……やだやだ、そこやだ。ぐりぐりすんなぁぁ……」
 
 いやいやと首を振りながら貴弘の胸を叩くと、ようやく願いは聞き入れられた。2本の指が引き抜かれれば粘性の液体がこぷりと音を立てて溢れ出す。莉菜のためにと買ったローションが、まさか自分のために使われることになるなんて想像もしなかった。
 
 ぼんやりと余韻に浸る俺の目の前で、貴弘はズボンの前部をくつろげた。
 重力に逆らって勃ちあがるものは俺の想像よりもはるかに大きく、思わず息を止めて凝視してしまう。それで中を突かれることを想像すれば頭の芯がじんと痺れた。
 
「光流。入れてもいい?」
「い……いまさら入れないとか言われても困るんだけど……」
 
 恥ずかしさを感じながらも正直に答えれば、貴弘は嬉しそうに目を細めた。
 
「だよな。いまさら駄目とか言われたら俺も困るわ」
 
 俺の両脚を押し開き、先端を押し当ててきた。入念な愛撫により柔らかくなった場所は、拒むことなく熱の塊を飲み込んでいく。
 暴かれるべきではない場所を暴かれることに恐怖心はあれど、もたらされる快楽の方がはるかに大きく、酸素を求めて開いた口から悦ぶような声が漏れた。
 
「あ、あ、あ」
「光流……気持ちいい?」
「ん……すごくいい……」
 
 本当につながった場所から蕩けてしまいそうだった。蝋でできた身体が熱で溶かされたみたいに内側から柔らかくなっていく。溶けたもの同士が絡み合い、混じり合い、二度と元の形に戻れなくなってしまう。
 でもそうなることを幸福とさえ感じていた。
 
「やぁ、んっ、たかひろ……そこ、気持ちいいよぉ」
 
 快感を教え込まれた場所を執拗に突かれ、蜂蜜のような声が零れた。みずから脚を開いて快楽を拾えば、さも楽しそうな貴弘の声が聞こえる。
 
「奥が好きなのか?」
「ん、すき……」
「もっと欲しい?」
「ほしい……もっと奥、ついて……」
「っ……お前、後悔すんなよ!」
 
 貴弘は途端に余裕のない表情となって俺の両脚を抱えあげた。息つく間もなく深いところに熱を穿たれれば、瞼の裏に閃光がまたたく。汗ばんだ背中に爪を立てることでどうにか意識を繋ぎ止めた。
 
「たかひろ、も……イきそ」
 
 下肢を激しく揺さぶられながら息も絶え絶えに訴えれば、貴弘からは掠れた声が返ってきた。
 
「俺も」
 
 極限まで膨張したもので体内を突き乱される。与えられる快楽は受け止めるには大きすぎて、涙を零しながら絶頂へと上りつめていく。
 
「や、あぁー……」
 
 自分のものとは思えない甲高い嬌声を最後に熱が弾けた。今までに感じたことのない強烈なオーガズム。脳みそに電流を流されたみたいに五感が麻痺し、快感だけが鮮烈だ。
 最奥に震えるような鼓動を感じるのは、受け止める器官のないその場所に精を注ぎ込まれているからだ。
 
「光流」
 
 優しい声で名前を呼ばれたあと、唇にキスを落とされた。
 順番が違うだろと文句を言いたかったが震える喉ではままならず、目を閉じてそれを受け入れる。激しい行為とは打って変わって、ちょんちょんと啄むだけの優しいキスだ。
 
 しだいに抗いがたい眠気に襲われた。慣れない体勢を取り続けたために身体中のいたるところが疲弊していた。
 やがて貴弘の体温に包まれたまま、深い眠りに引き込まれていった。
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