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第一章
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『聖マリア女学院』は全寮制の学校だ。
門から見える建物が校舎。その奥に寮があり、その二つは一階の廊下で繋がっている。
(礼拝堂……?)
道すがら窓の外に目をやると、花や緑に囲まれて建物が建っていた。尖った三角屋根の下に十字架が掲げれらている。白い建物が一瞬血のように真っ赤に見えたのは夕陽があたっていたからだろう。
「ここからが寮ですよ――申し遅れましたが、わたくしは寮の管理を任されております、綾部と申します」
礼拝堂を見たことから、ひょっとしたら本当にシスターなのかもと思った。
彼女は美しく装飾彫をされた扉を開けた。入ってすぐのところが玄関ホール。特に靴箱らしきものはなく、ホテルや海外の邸宅のように下足のまま入って良いらしい。
玄関ホールの近くに管理室。普段綾部はここにいるということだ。それから、談話室。図書室、食堂と順番に案内される。
「各部屋にシャワーはついていますが、一階には寮生が使えるバスルームもあります」
つい最近まで通っていたところも贅を尽されていたが、洗練された近代的な学校であるのに対して、ここは由緒あるホテルのような雰囲気がある。
一階を簡単に案内されると二階へと上がった。長い廊下の両側に一定の間隔で扉が並んでいる。ここが寮の個室だということが想像できる。
「この階から寮の部屋になります。ほとんどが二人部屋です。それぞれの部屋にはシャワーとトイレが完備されています。消灯は九時。それ以降は部屋の外には出ないように。一階のバスルームの使用もそれまでに終えてください」
絨毯の敷き詰められた長い廊下を靴音もさせずに歩きながら軽く説明をする。廊下は両側に部屋がある為窓はなく、日中でも灯りが灯っているのだろう。
(消灯九時……早くない? その後は部屋の外には出ちゃいけないんだ)
この寮での生活は案外厳しそうだ。
「朝食は六時半から七時半の間、夕食は六時から七時の間。慣れるまで同室の方に付き添って貰うといいですよ」
話しているうちにどんどん奥まで進んで行く。
そしてある部屋の前で立ち止まり、扉に向き合った。
「さあ、ここが貴女のお部屋です」
綾部はトントンと軽くノックする。「はい」と声が聞こえてきた。
「同室は――黒染さんですね」
扉の横のネームプレートに自分の名前の上に『黒染涼』という文字を確認した。
(くろぞめ……りょうさん?)
そう考えているうちに扉は開かれた。
「シスターアンナ」
「黒染さん、今日から同室になる方をお連れしましたよ。百瀬華さんです」
綾部は身体を少しずらし然りげ無く華を促した。
「百瀬華です」
門から見える建物が校舎。その奥に寮があり、その二つは一階の廊下で繋がっている。
(礼拝堂……?)
道すがら窓の外に目をやると、花や緑に囲まれて建物が建っていた。尖った三角屋根の下に十字架が掲げれらている。白い建物が一瞬血のように真っ赤に見えたのは夕陽があたっていたからだろう。
「ここからが寮ですよ――申し遅れましたが、わたくしは寮の管理を任されております、綾部と申します」
礼拝堂を見たことから、ひょっとしたら本当にシスターなのかもと思った。
彼女は美しく装飾彫をされた扉を開けた。入ってすぐのところが玄関ホール。特に靴箱らしきものはなく、ホテルや海外の邸宅のように下足のまま入って良いらしい。
玄関ホールの近くに管理室。普段綾部はここにいるということだ。それから、談話室。図書室、食堂と順番に案内される。
「各部屋にシャワーはついていますが、一階には寮生が使えるバスルームもあります」
つい最近まで通っていたところも贅を尽されていたが、洗練された近代的な学校であるのに対して、ここは由緒あるホテルのような雰囲気がある。
一階を簡単に案内されると二階へと上がった。長い廊下の両側に一定の間隔で扉が並んでいる。ここが寮の個室だということが想像できる。
「この階から寮の部屋になります。ほとんどが二人部屋です。それぞれの部屋にはシャワーとトイレが完備されています。消灯は九時。それ以降は部屋の外には出ないように。一階のバスルームの使用もそれまでに終えてください」
絨毯の敷き詰められた長い廊下を靴音もさせずに歩きながら軽く説明をする。廊下は両側に部屋がある為窓はなく、日中でも灯りが灯っているのだろう。
(消灯九時……早くない? その後は部屋の外には出ちゃいけないんだ)
この寮での生活は案外厳しそうだ。
「朝食は六時半から七時半の間、夕食は六時から七時の間。慣れるまで同室の方に付き添って貰うといいですよ」
話しているうちにどんどん奥まで進んで行く。
そしてある部屋の前で立ち止まり、扉に向き合った。
「さあ、ここが貴女のお部屋です」
綾部はトントンと軽くノックする。「はい」と声が聞こえてきた。
「同室は――黒染さんですね」
扉の横のネームプレートに自分の名前の上に『黒染涼』という文字を確認した。
(くろぞめ……りょうさん?)
そう考えているうちに扉は開かれた。
「シスターアンナ」
「黒染さん、今日から同室になる方をお連れしましたよ。百瀬華さんです」
綾部は身体を少しずらし然りげ無く華を促した。
「百瀬華です」
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