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第七章『やっぱり『触れ合いたい』の『好き』でした』
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しおりを挟む恋人としたい◯か条。
『キスをする』
これはしたい……して欲しいと思った、陸郎に抱きしめられた時。
そして。
ノートに書いてぐちゃぐちゃと黒く塗りつぶした。
『セックスをする』
(あの時は『ごっこ』だし、ないないって思ったんだよね。でも今は……?)
僕は改めてノートに綴った。
『セックスをする』
* *
少しの間イルミネーションで彩られた並木道を手を繫いで歩いた。
慰めか、同情か。それとも……。
陸郎の真意はわからない。
カフェラテと一緒。
甘く、そしてほろ苦い時間だった。
「今日はこんなとこにいた」
あの時間から休みが明けて月曜日。今日は陸郎は休みだ。
今度会ったらどんな顔をすればいいんだろうか。
もう好きじゃない振りなんてできないんじゃないだろうか。『ごっこ』じゃなくて、本当の『恋人』になりたいと思っていることを隠し通せるだろうか。
そう思うと今日陸郎が休みということにほっとしてしまう。
なので今声をかけてきたのは当然陸郎ではない。
「こんにちは、三瀬さん」
棒読みのような調子で挨拶をする。
「相変わらずひどいなぁ。あの人と一緒の時とは大違い」
別に洸のことが嫌いなわけではない。どちらかといえば好きなほう。気安く話せるからこそこういう態度を取ることもできる。
洸はきょろきょろと周りを見渡した。
「今日はあの人いないんだな」
そう言いながらベンチイスの僕の隣に座る。手には白いレジ袋。小さいながらも中味はぱんぱんな様子。
「今日はお休みですよ……ってか、よくこんなとこで遭遇しますね! 偶然ですか?」
がさごそと袋からおにぎりを出したながら。
「偶然だよ~、ここって一番売店に近い休憩スペースだからね」
今日は独りなのでカフェでも学食でもなく、売店で買って休憩スペースで食べていた。陸郎のいない時はだいたいそんな感じ。
「そうですか、まぁどっちでもいいですけど」
僕もおにぎりを買っていたが洸が来る前に食べていて、デザートがわりの甘い系のパンを齧り始めた。
「ところでさ、どうだった? 土曜日」
聞かれたくないことを聞いてきたなと思ったが、顔には出さない。
「とても素敵なお店でした。お洒落だし、料理も美味しかったし。三瀬さん、さすがですよ~」
余り突っこんで欲しくないので軽く流すように答えた。
「そう? それは良かった」
褒められて満更でもなさそうな笑顔を見せる。
(頼むからそれ以上は聞かないでよ)
「で、あの人はどうだった? 喜んでくれた?」
「あ~~」とだだ下がった声を思わず出しそうになったがどうにか食い止めた。
「え? どうしたの?」
でもだだ下がった気持ちは顔に出てしまっていたようだ。
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