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しおりを挟む今日は十一月の終わりにしては暖かだったが、川沿いはやはり寒い。天音のことを考えていたら気持ちが沈んで、余計に寒さを感じる。
「やっぱ寒いな」
そんな気持ちを振り払うように、殊更明るく言う。
すると、少し空いていたふたりの隙間を、ハルが埋めてくれた。腕を触れ合わせ、するりと自分の指をオレの指に絡める。
それだけで、オレの胸は、ポッと温かくなる。
「おまえ、天音くんに値踏みされてたな。朱音ちゃんにも」
軽口を言うと、ハルはちょっと困ったような顔をした。
その顔が可愛くて。
( 好きだな、こいつ…… )
急にそんな気持ちが込み上げてきた。
「おまえ、オレのこと捨てたら、酷い目に合うぞ」
「え、酷い目って。え、捨てるって」
理解が追いつかなくて、あわあわしている。
オレはふふんっと笑って、更にハルの身体に自分の身体を寄せた。
気持ちはもう、溢れ出そうだが、今はこれだけ。
いつか、ちゃんと告白しよう。
オレたちはぎゅっと手を握り合って、駅へと向かう橋の袂まで、ゆっくりと歩んだ。
**
手を繋ぎながら川辺を歩いた日を境に、ハルは急に忙しくなった。
会えない日々が続く。
ハルに会えないと寂しく感じるようになった。一目だけでも顔を見たいと思うようになった。オレの心は、もうすっかりハルに向いているのを、そんなところでも確認する。
忙しい中でも時間を見つけ、電話やLINEで連絡をくれるのが嬉しかった。
年明けまでそれは続き、その間にオレは曲を完成させた。
『春ノクルオト』
オレはこの曲にそうタイトルをつけた。ハルを想い、何度も何度も弾き続けた。
いつか、これをハルに聴いて貰おう。それはきっと、そう遠くない筈。オレのこの想いをハルは受け止めてくれるだろうか。
曲を完成させ、自分の中にあるハルへの想いを確認してから、オレはある決意をした。
(もう一度、カメラを持とう)
初めはスマホで。
撮った写真は、LINEでハルに送った。最初は全く思うように行かなかったが、そんな駄目なものも全部送った。迷惑かとも思ったが、オレは自分の全てを彼に見届けて欲しかった。
冬馬への想いを昇華させ、立ち直って行く自分。そして、新たな想いを着実にこの胸で育てている自分を。
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