白銀(ぎん)のたてがみ

さくら乃

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 耳許で甘く囁く。

 ズボンの上からを軽く撫でられた。
 吃驚して「あ」と小さく声を上げたが、それだけでは済まされなかった。
 イオの手は器用に腰で結ばれていた紐を緩め、下衣ごと少し下げられてしまう。
 それと同時に耳許にあった美しい顔は離れていく。


 見てる……っ。
 

「やっ」
 イオが何を見ているのか。
 月光に晒された、自分の昂りだと分かり、自由になった両手で隠そうとする。しかし、それよりも早く、彼の手が直にそれを遮った。
 にイオの体温を感じる。
 両の手で包み込み、ゆうるりと上下に何度もき来させる。

「!」

 どうしたらいいのかわからず、ぎゅっと眼を瞑った。
 何もかもが初めてだった。
 それでも肉体からだは反応する。

 全身がざわざわしてくるような。
 腹の辺りが甘く痺れるような。

 そんなものを感じていると、自分の昂りから何かが滲み出た。
 それを塗りつけるようにイオが擦る。
 くちゅくちゅっと。音がトールの耳にも届く。
 それに煽られたように。

「ふ……っ……ぁ……」

 自分の口から甘い吐息が溢れるのも恥ずかしい。トールは両手で口を塞いだ。

「……口、押さえないで」

 イオは言うが、眼を瞑ったままトールは首を横に振った。

 すると。

 に触れる感触が変わった。
 手ではない。


 え……なに……。


 もっと湿った温かいものに包まれている。
 そおっと眼をひらいて見ると、イオを口に納めていた。

「や、イオ、やだ」

 涙目になって訴えた。イオが口を離してくれたので、ほっと胸を撫で下ろす。
 しかし、それもつかの間。
 舌を出し、獣のようにぺろぺろと舐め始めた。
 トールに見せつけるように。
「イ……オ……っやぁ……あぁ」
 視覚と触覚で攻められ、拒む言葉も喘ぎに変わる。

「はぁ……んん……っ」

 トールが快楽に身を委ねたのを感じ、イオの眼が満足げに細められる。
 もう一度、それを口に含んだ。軽く噛んだり、強く吸い上げたり、口にしたまま愛撫する。
「いおぉ、なんか……なんか、へん……なんか、でる」
 自分の身体の変化に気づいた。
「子種だ──私の口のなかへ」
 少しの刺激も耐えられないのに、そこで喋られては堪らない。
「あぁぁっんんっっ」
 高い声と共に、イオの口のなかへと吐き出した。
「はぁはぁ」
 全て吐き出して、荒い呼吸を繰り返す。
 イオの喉許が動いているのが見えた。を嚥下しているのだ。
「う~~~」
 言葉にはできないが、その眼がイオを責めていた。
 無論、本人は動じない。

「お前のものは全て私のものだ」
 
    
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