【完結】冷徹宰相と淫紋Hで死亡フラグを『神』回避!? ~鬱エロゲー溺愛ルート開発~

愛染乃唯

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「エレナ」

 ヴィンセントが驚いて私を見る。
 
「ヴィンセント様がいいです。あの……」

 これ以上、言ってもいいんだろうか。
 これ以上、本当のことを言って、嫌がられないだろうか。
 でも、もう、全然待てない。
 治療なんかどうでもいい。
 この場で、めちゃくちゃに抱いてほしい。
 そんなことを言ったら、ヴィンセントは私を軽蔑しないだろうか。
 思考がぐるぐる回って、結論が出ないまま体のほうがヒートアップしてしまう。

 それともいっそ……ポケットの中にある、硬いボタン。
 これを押したら、この人は私を抱いてくれるだろうか。

「エレナ……」

 ヴィンセントの声のトーンが変わる。
 深みのある低音がお腹に響いて、それだけでびくんと震えてしまう。見下ろしてくるアイスブルーの瞳が光っている。肉食獣の目だ。私を食べ尽くしてくれるひとの目だ。
 彼の顔が近づいてくる。
 また、唇と唇が触れそうになる。
 ヴィンセントは囁く。

「しかし、エレナ……」

 抵抗しているのがわかる。自分の欲に抵抗する彼。
 それは、とても尊くて、ありがたいものだ。
 でも。…………でも。

 ――ごめんなさい!
 私はもう少しも待てません!

 私は理性を吹っ飛ばし、ポケットの中の♥ボタンを押した。

 次の瞬間。

 ……次の瞬間は、劇的な変化がなかった。
 ヴィンセントは間近で私を見たまま、固まっている。
 私も、ヴィンセントを見つめている。
 これは……まさかの、不発だろうか。そんなこともあるのだろうか。
 ものすごく残念なような、ほっとしたような、と思っていると、急に口づけられた。

「んっ……!」

 さっきみたいな優しさのない、むさぼるようなキス。
 食べ尽くされてしまいそうな勢いに、私はよろけ、廊下の大きな柱に寄りかかる形になってしまう。
 それでもヴィンセントは私を許さず、軍服の上からウェストを両手で掴んだ。
 エレナのウェストは、彼の大きな手でほとんど覆い尽くされそうなサイズだ。
 そのまま、強い力でぐっと腰を引き寄せられる。

「ぁ……!」

 すり、と、今度は意図的に腰と腰がすりあわされた。はっきりと大きく、硬くなった彼のそれと、ズボンまでしっとりとした私の中心がふれあい、熱いしびれが全身を襲う。
 刺激が、ちょっと、強すぎる。私の肉芽もきっと硬くなってしまっているのだろう。布に擦れるのが苦しくて、私は必死に彼のキスから逃れた。

「ズボン……! 脱がせて、ください……!」

「……後ろを向け」

 ヴィンセントの体が少し離れ、私はくるりとひっくり返される。

「柱を抱いているように」

 耳元で、人に命じ慣れた声が囁く。とっさに従ったけれど、円柱はかなりの太さだ。抱くというよりは、すがりつくというか、寄りかかるというか、
 ヴィンセントは私の上着の下に手を入れ、器用にベルトを外した。
 ひと思いにズボンが剥かれ、足下にわだかまる。

「んっ」

 ひやっとした外気に触れただけで声が漏れ、尻を揺らしてしまった。
 むき出しになった尻にそっとヴィンセントの手がかかる。触れられるだけで跳ねそうな腰を、私は必死に押さえこもうとした。
 が、ヴィンセントの指はさらに、濡れそぼった白い下着の上を滑る。

「ひゃっ! やあっ……!」

 ちゅ、ちゅく、と、シルクめいた生地の上をヴィンセントの指が刺激していく。
 秘裂からは絶え間なく蜜がこぼれ、彼の指を濡らしていくのが見ないでもわかった。

「こんなになっていたのだな」

 背後から耳にかかるヴィンセントの声が、熱い。彼の吐息も燃えている。
 それ以上に、私の全身も熱い。もはや恥も外聞もなく尻を振り、私は悲鳴を上げた。

「ごめんなさいっ……! ひぃ、んっ!」

 彼の指が下着越しに硬くこごった場所を擦り、軽い快感が突き抜ける。
 私は崩れないよう、必死に柱にすがり、両足を突っ張った。
 ヴィンセントが熱いため息を吐き、上着を脱ぎ捨てる音がする。

「謝るのは私のほうだ。お前の甘い香りに心が乱れ、忌まわしき淫紋が発動している。逃げるのなら、今のうちだ」

 そうか。
 ヴィンセントはボタンじゃなくて、自分の心が淫紋を発動させたと思っているのか。
 ということは、彼も、私が欲しいんだ。
 そのことが、頭の中できらきらと輝く。
 幸せで、どうしようもなくて、最後の理性が吹っ飛んだ。

「逃げるのやだぁ! お願い、入れてくださいっ……!」

 子どもみたいな口調で叫び、私は片手を自分の尻に這わせた。
 今すぐ入れてくれないと、頭がおかしくなりそうだ。
 でも、そうか、まだ下着を履いてたっけ。

 それに、中にも――。

 ぐちゅん、と、水音が立つ。

「ひぐっ!?」

 熱い。猛烈に熱いものが、真っ直ぐに体の中に入ってくる。

「え、あ、う、そぉ」

 私は目を見開き、必死に後ろを向いた。
 ヴィンセントは私の腰と尻を掴み、耐える表情で目を伏せている。前が開かれたズボンから取り出された彼自身は、半ばまで、私の中にあった。
 なめらかな生地の下着の横をかきわけて、入れたのだ。
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