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第2章:命の価値
第1話:7大悪魔の置き土産
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(7大悪魔!? 嘘でしょ!? ジ・アース自体に張られている魔術障壁を突破してきた!? その前に天界には星皇やミカエル=アンジェロ様がいるのよ??)
ベル=ラプソティは7大悪魔と称する巨人たちがその口から吐く言葉を耳に入れ、そのような感想を抱く。ソロモン88柱と呼ばれる悪魔のひとり、怨霊の軍勢が聖地を襲い、さらには聖地に隣接するようにそびえ立つ福音の塔を半壊させたと言えども、まだ天界では星皇たちが戦っている真っ最中のはずである。
それゆえにベル=ラプソティは雲にまで頭が届きそうな巨人たちが物体として、地上界に降り立っているわけではないと断言するに至る。そして、口から泡を飛ばすが如くに皆に激を飛ばす。
「あらら? ワタクシたちが写し身であることがあっさりばれましたことヨ」
「なかなかに聡い逸材がジ・アースには居るっ! 我、昂るっ!」
「いやあ、こんなにあっさりばれるとは思わなったなあ。脅しだけで絶命させようとしたのだけどなあ?」
悪魔はヒトに囁き戦術を取ってくるのは周知の事実であった。それゆえにベル=ラプソティは皆に気を確かに持つようにと声を張り上げたのである。そして、企みを看破された巨人たちは満足気な笑みを浮かべながら、その存在感を希薄にさせていく。
しかしながら、7人の巨人たちは置き土産を置いていくという不気味な台詞を残す。7人の巨人が完全に消え去ると同時に、分厚くて真っ黒な雲が聖地全体に影を落とす。それと同時に地中からボコッボコッ! という音が鳴り響き、その地中から何かが出てくるのをベル=ラプソティたちに容易に想像させるのであった。
「なんじゃ? なんじゃ? 何かが地中から出てくるぞぉぉぉ!? 皆、下馬せよっ! 馬ごと持っていかれるでないぞぉぉぉ!!」
凱旋王ことディート=コンチェルト国主は皆にそう告げながらも、自分は蒼いタテガミが象徴の馬を巧みに操り、決して、馬から振り落とされることはなかった。そして、地中から這い出てきた怪物に対して、一番槍はもらったとばかりに馬を走らせる。
「見た目は豚ニンゲンに近しいが、頭は牛。これは地獄の番人か!?」
魔物の中には2本足で立ち上がり、ニンゲン同様、武器を手に持ち、それを振り回す知性を幾分か感じさせるモノが居た。しかしながら、凱旋王が突っ込んでいった相手は豚ニンゲンの2倍の伸長を持ち、手に持っているのは棍棒では無く。とてつもない大きさと重量を持つ戦斧であった。
「あれは牛頭鬼なのですゥ! いくら凱旋王様でも、ひとりでは無理なのですゥ!」
カナリア=ソナタはベル様に凱旋王へ助成するように促す。しかしながら、空中から見る限り、凱旋王は馬を巧みに操り、牛頭鬼が振るう戦斧を回避しまくっている。それだけではない。凱旋王は馬上槍を振り回し、散々に牛頭鬼の身体を傷つけまくっている。そんな彼に助成がいるのかと不思議に思ってしまうベル=ラプソティであった。
しかし、ベル=ラプソティは失念していた。地獄の番人は2人と1匹いることを。牛頭鬼が出てくるのであれば、それとセットに馬の頭をした悪魔が出てきて当然であることをすっかり忘れていた。そうなったのも仕方ないほどに、凱旋王ことディート=コンチェルトが牛頭鬼相手に真向から良い勝負をしていたからである。
カナリア=ソナタの忠言を受けて、考えを改め直したベル=ラプソティはコッシロー=ネヅに騎乗したまま、地上をじっくりと観察する。馬の頭を持つ悪魔。『馬頭鬼』が機を伺っているはずだと感じていたからだ。ベル=ラプソティは背中に背負っている銀色の棒を一本、手に取り、それを右手で力強く握り込む。銀色の棒はそれ自体の太さと長さを増すだけでなく、大剣のような大きさを持つ光刃をその先端に現す。
「そこよっ!」
ベル=ラプソティは空中から大剣の大きさを持つ光刃付きの槍を地面のある一か所に向けてぶん投げる。光槍が地面を穿ち、地面が大きく爆ぜるが、それより前にその箇所を爆ぜさせた存在が居た。それこそ馬頭鬼そのものであり、彼奴は光刃付きの槍に刺しぬかれる前に、地表へと飛び出したのである。
「ちっ! もう一体居やがったってかっ! 牛頭のほうは親父に任せときゃ良い! 俺たちはこっちの馬頭の方に対処するぞっ! 決して教皇様に指一本触れさせるんじゃねえっ!」
凱旋王の息子であるクォール=コンチェルト第1王子は下馬して、教皇が乗る幌付き荷馬車を護衛していた。そして、馬頭鬼は教皇の匂いを地中から嗅ぎ分けており、地中から幌付き荷馬車を下から突き上げようとしたのである。馬頭鬼は馬頭でありながらも、バイコーンも裸足で逃げ出すほどの立派な2本の捻じり角を持っていた。もし、ベル=ラプソティが空中から彼奴の位置を補足出来ていなければ、教皇の命は紙吹雪のように散らされていたに違いない。
牛頭鬼を凱旋王ひとりが受け持ち、クォール=コンチェルト第1王子が1軍を率いて馬頭鬼を相手にしていた。戦線が膠着したことで、今のうちに教皇と聖地に住まう住人を戦場から避難させようと思うベル=ラプソティであった。
彼女はコッシロー=ネヅに騎乗したまま、空中から教皇が乗る幌付き荷馬車を安全な位置に移動させるための案内役を買って出る。ベル=ラプソティの後ろ側に乗っているカナリア=ソナタが戦場をくまなく目配りし、比較的安全であろう場所をベル様に指し示す。
ベル=ラプソティはコクリと頷き、空中から幌付き馬車の御者台に座る人物に声をかける。
「ここから南東に向かってっ!」
「合点承知の介っ! 教皇様、しっかりと掴まっていてくだせぇっ!」
御者役は幌付き荷馬車を引く馬4頭に鞭を入れて、ベル=ラプソティの指示通りの行動に移る。しかしながら、ベル=ラプソティは未だ緊張下に置かれていた。『地獄の番人は2人と1匹』居るからである。牛頭鬼、馬頭鬼が地表に現れたが、もう1匹の所在がまだ不明だったからだ。
ベル=ラプソティはカナリア=ソナタと共にその1匹の所在を明らかにしようと、空中から地上を睨み続けていた。そんな彼女らの不意を衝くように、残りの一匹が姿を現す。最後の一匹はニヤリと口の端を歪ませて、鋭い歯をその口の隙間からうかがわせていた。そして、大きく顎を開き、ベル=ラプソティたちをひと飲みにしてしまおうと襲い掛かる。
しかし、地獄の番犬の企みを阻止しようとする存在が居た。彼女は真っ直ぐに分厚くて黒い雲のとある一点をオープン型フルフェイス・ヘルメット越しに凝視していたのである。
「エールストライク・エンジェルモード発動デス。ベル様には指一本、触れさせまセン」
ベル=ラプソティは7大悪魔と称する巨人たちがその口から吐く言葉を耳に入れ、そのような感想を抱く。ソロモン88柱と呼ばれる悪魔のひとり、怨霊の軍勢が聖地を襲い、さらには聖地に隣接するようにそびえ立つ福音の塔を半壊させたと言えども、まだ天界では星皇たちが戦っている真っ最中のはずである。
それゆえにベル=ラプソティは雲にまで頭が届きそうな巨人たちが物体として、地上界に降り立っているわけではないと断言するに至る。そして、口から泡を飛ばすが如くに皆に激を飛ばす。
「あらら? ワタクシたちが写し身であることがあっさりばれましたことヨ」
「なかなかに聡い逸材がジ・アースには居るっ! 我、昂るっ!」
「いやあ、こんなにあっさりばれるとは思わなったなあ。脅しだけで絶命させようとしたのだけどなあ?」
悪魔はヒトに囁き戦術を取ってくるのは周知の事実であった。それゆえにベル=ラプソティは皆に気を確かに持つようにと声を張り上げたのである。そして、企みを看破された巨人たちは満足気な笑みを浮かべながら、その存在感を希薄にさせていく。
しかしながら、7人の巨人たちは置き土産を置いていくという不気味な台詞を残す。7人の巨人が完全に消え去ると同時に、分厚くて真っ黒な雲が聖地全体に影を落とす。それと同時に地中からボコッボコッ! という音が鳴り響き、その地中から何かが出てくるのをベル=ラプソティたちに容易に想像させるのであった。
「なんじゃ? なんじゃ? 何かが地中から出てくるぞぉぉぉ!? 皆、下馬せよっ! 馬ごと持っていかれるでないぞぉぉぉ!!」
凱旋王ことディート=コンチェルト国主は皆にそう告げながらも、自分は蒼いタテガミが象徴の馬を巧みに操り、決して、馬から振り落とされることはなかった。そして、地中から這い出てきた怪物に対して、一番槍はもらったとばかりに馬を走らせる。
「見た目は豚ニンゲンに近しいが、頭は牛。これは地獄の番人か!?」
魔物の中には2本足で立ち上がり、ニンゲン同様、武器を手に持ち、それを振り回す知性を幾分か感じさせるモノが居た。しかしながら、凱旋王が突っ込んでいった相手は豚ニンゲンの2倍の伸長を持ち、手に持っているのは棍棒では無く。とてつもない大きさと重量を持つ戦斧であった。
「あれは牛頭鬼なのですゥ! いくら凱旋王様でも、ひとりでは無理なのですゥ!」
カナリア=ソナタはベル様に凱旋王へ助成するように促す。しかしながら、空中から見る限り、凱旋王は馬を巧みに操り、牛頭鬼が振るう戦斧を回避しまくっている。それだけではない。凱旋王は馬上槍を振り回し、散々に牛頭鬼の身体を傷つけまくっている。そんな彼に助成がいるのかと不思議に思ってしまうベル=ラプソティであった。
しかし、ベル=ラプソティは失念していた。地獄の番人は2人と1匹いることを。牛頭鬼が出てくるのであれば、それとセットに馬の頭をした悪魔が出てきて当然であることをすっかり忘れていた。そうなったのも仕方ないほどに、凱旋王ことディート=コンチェルトが牛頭鬼相手に真向から良い勝負をしていたからである。
カナリア=ソナタの忠言を受けて、考えを改め直したベル=ラプソティはコッシロー=ネヅに騎乗したまま、地上をじっくりと観察する。馬の頭を持つ悪魔。『馬頭鬼』が機を伺っているはずだと感じていたからだ。ベル=ラプソティは背中に背負っている銀色の棒を一本、手に取り、それを右手で力強く握り込む。銀色の棒はそれ自体の太さと長さを増すだけでなく、大剣のような大きさを持つ光刃をその先端に現す。
「そこよっ!」
ベル=ラプソティは空中から大剣の大きさを持つ光刃付きの槍を地面のある一か所に向けてぶん投げる。光槍が地面を穿ち、地面が大きく爆ぜるが、それより前にその箇所を爆ぜさせた存在が居た。それこそ馬頭鬼そのものであり、彼奴は光刃付きの槍に刺しぬかれる前に、地表へと飛び出したのである。
「ちっ! もう一体居やがったってかっ! 牛頭のほうは親父に任せときゃ良い! 俺たちはこっちの馬頭の方に対処するぞっ! 決して教皇様に指一本触れさせるんじゃねえっ!」
凱旋王の息子であるクォール=コンチェルト第1王子は下馬して、教皇が乗る幌付き荷馬車を護衛していた。そして、馬頭鬼は教皇の匂いを地中から嗅ぎ分けており、地中から幌付き荷馬車を下から突き上げようとしたのである。馬頭鬼は馬頭でありながらも、バイコーンも裸足で逃げ出すほどの立派な2本の捻じり角を持っていた。もし、ベル=ラプソティが空中から彼奴の位置を補足出来ていなければ、教皇の命は紙吹雪のように散らされていたに違いない。
牛頭鬼を凱旋王ひとりが受け持ち、クォール=コンチェルト第1王子が1軍を率いて馬頭鬼を相手にしていた。戦線が膠着したことで、今のうちに教皇と聖地に住まう住人を戦場から避難させようと思うベル=ラプソティであった。
彼女はコッシロー=ネヅに騎乗したまま、空中から教皇が乗る幌付き荷馬車を安全な位置に移動させるための案内役を買って出る。ベル=ラプソティの後ろ側に乗っているカナリア=ソナタが戦場をくまなく目配りし、比較的安全であろう場所をベル様に指し示す。
ベル=ラプソティはコクリと頷き、空中から幌付き馬車の御者台に座る人物に声をかける。
「ここから南東に向かってっ!」
「合点承知の介っ! 教皇様、しっかりと掴まっていてくだせぇっ!」
御者役は幌付き荷馬車を引く馬4頭に鞭を入れて、ベル=ラプソティの指示通りの行動に移る。しかしながら、ベル=ラプソティは未だ緊張下に置かれていた。『地獄の番人は2人と1匹』居るからである。牛頭鬼、馬頭鬼が地表に現れたが、もう1匹の所在がまだ不明だったからだ。
ベル=ラプソティはカナリア=ソナタと共にその1匹の所在を明らかにしようと、空中から地上を睨み続けていた。そんな彼女らの不意を衝くように、残りの一匹が姿を現す。最後の一匹はニヤリと口の端を歪ませて、鋭い歯をその口の隙間からうかがわせていた。そして、大きく顎を開き、ベル=ラプソティたちをひと飲みにしてしまおうと襲い掛かる。
しかし、地獄の番犬の企みを阻止しようとする存在が居た。彼女は真っ直ぐに分厚くて黒い雲のとある一点をオープン型フルフェイス・ヘルメット越しに凝視していたのである。
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無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
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