蒼星伝 ~マッチ売りの男の娘はチート改造され、片翼の天使と成り果て、地上に舞い降りる剣と化す~

ももちく

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第5章:襲撃者

第8話:罪作りなお尻愛

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「任務完了デス。これよりベル様の下へ帰ります。報酬は天界銀行へ振り込んでおいてくだサイ」

「うェ!? 有料なのですかァ!?」

「冗談デス。ボクもたまには冗談を言う事を知っておいてほしかっただけデス」

 感情の抑揚をあまり見せないアリス=ロンドが言う言葉をそのまま冗談だと受け取ることが難しいカナリア=ソナタであった。しかしながら、アリス様のおかげで巨大な湖が決壊することによる大洪水が起きる心配も無くなっていることから、アリス様に対して、感謝を伝える何かを贈ったほうが良いのでは? とも思ってしまうカナリア=ソナタであった。

「じゃあ、報酬は、あたしが焼いたクッキーなんてのはどうですゥ? 砂糖は今や贅沢品となってますなので、ちょっと甘さ控えめになりますけどォ」

「それは良いデスネ。それでは、星皇様にもそれを贈りたいので、星皇様の分もお願いしマス」

「え? 星皇様に届ける前にカビが生えてしまいますよォ?」

「安心してくだサイ。天界に届くようにランチャーストライク・エンジェルモードで届けますノデ」

 カナリア=ソナタは、これもアリス様なりの冗談なのかと思いかけたが、アリス様なら本気でやるだろうなァ……とも思ってしまう。自分に対しては冗談でも、星皇様に対して冗談を言うようには思えないのだ、アリス様は。愛を受け取れば、受け取った分の倍以上のお返しをしなければならないと思い込んでいるアリス様なら、きっとそうするのだろうと思ってしまうカナリア=ソナタであった。

「その時は、なるべく頑丈なケースに入れましょうねェ。大気圏を突破できるくらいの頑丈なのォ……」

「ハイ、お願いしマス。では、ボクはエネルギー節約モードに移りますので、コッシローさん、背中に乗せてくだサイ」

「お安い御用でッチュウ。僕の背中の乗り心地の良さで、眠ってしまっても良いでッチュウよ?」

 コッシロー=ネヅがアリス=ロンドを自分の背中に乗せると、アリス=ロンドは3分も経たずにウトウトと眠り始める。カナリア=ソナタは自分の背中に体重を預けてくる男の娘が可愛くてしょうがなかった。もし、この男の娘の所有権を有しているのが星皇様で無ければ、カナリア=ソナタはアリス=ロンドに性的なイタズラをしてしまっていたかもしれない。

「うゥ。我慢なのですゥ。アリス様は星皇様のモノ……。星皇様のモノ……」

「チュッチュッチュ。そういう時はアリス様を性的に見ずに、可愛い妹だと思えば良いのでッチュウ」

 カナリア=ソナタがぶつぶつと念仏のように唱えてる声を耳で拾ったコッシロー=ネヅは、カナリア=ソナタにそうアドバイスをする。しかし、カナリア=ソナタは身体を細かくブルブルと震えさせて

「こんな可愛い男の娘があたしの妹だったら、もっと性的にイタズラをしたくなっちゃうのですゥ!」

「だめだこりゃ。クォール様も結構な性癖の歪み方をしているでッチュウけど、ひとのことを言えないくらいにカナリアも歪んでいるでッチュウ」

 コッシロー=ネヅはやれやれと呆れながら、背中にカナリア=ソナタとアリス=ロンドを乗せたまま、ゆっくりとベル=ラプソティの下へと戻っていく。お疲れのアリス様にはゆっくり眠っていてほしいと思い、速度はあまり上げずにだ。そして、その空いた時間を有効活用するためにも、先ほど、自分たちの邪魔をしてきた死霊術師ネクロマンサーの『ゲラーシー=ジェコフ』について、カナリア=ソナタに聞くことになるコッシロー=ネヅであった。

崑崙山クンルンシャンの麓に広がる森林地帯の一部が『死霊の森』と呼ばれている理由は『ゲラーシー=ジェコフが封印されていた』ことなのですゥ」

死霊術師ネクロマンサーが封印されている墓があることは有名でッチュウけど、よくもまあ、本人の名前を知っていたなと思っていたのでッチュウ」

 神力ちから呪力ちからを持つ者の名はそれ自体が力の象徴となり、むやみやたらに本名を呼んではいけないというルールが存在する。それゆえに役職名的な言い方をすることが一般的である。本名を口にすれば、その本人が現れるとされ、良い事だけならまだしも、わざわいを呼んでしまうこともあるゆえにだ。

「あたしはラプソティ公爵邸にある端末で、暇があれば天界の大書庫にアクセスしてましたからァ」

「なんかいきなりきな臭い話になったのでッチュウ。禁書庫の情報じゃないでッチュウよね?」

「もちろん、禁書庫にもちょぉぉぉとだけ、お邪魔させてもらっていますゥ。これはベル様にも内緒なので、他言無用なのですゥ」

 コッシロー=ネヅはハァァァ……と深いため息をつくしかなかった。こんなことなら、話を振らなければよかっと思ったが、それは後の祭りであった。明らかにカナリア=ソナタは共犯者として、自分を名指ししてきていたのである。コッシロー=ネヅは巻き込まれ損になってしまったと思いながらも、いっそのこと、自分からさらに一歩、足を踏み入れることになる。

「その禁書庫には『今代の星皇様はお尻大好き好き好きずっぽし淫』のデータは無かったのでッチュウ?」

「なかったんですよねェ。これがまた不思議なのですゥ。そんなとんでもない秘密が星皇様にあることを事前に知っていれば、ベル様にも前もって忠告できていたのですがァ」

 カナリア=ソナタが首級くびを傾げながら、コッシロー=ネヅにそう言うのであった。カナリア=ソナタの予想では、ベル様のお尻があまりにも美しすぎたために、突然、星皇様の性癖がお尻方面で特化してしまったのではないのかという推測を立てる。

「ベル様が言っていたように、クォール様の性癖が捻じ曲がったのは、そうなる事象とアリス様という因果が結びついたのが原因だと言っていたように、星皇様もベル様のお尻でそうなったと思うのですゥ」

「なるほどなのでッチュウ。そして、お尻大好き好き好きずっぽし淫がアリス様という因果が結びついて、男の娘も愛でれるようになってしまったのでッチュウか。アリス様は恐ろしいのでッチュウ」

「女のあたしですら、アリス様には魂を持っていかれそうになりますからねェ。ベル様のお尻を性的にいじれない新婚生活の積み重ねが例え無かったとしても、星皇様はアリス様を側に置いたかもしれませんねェ」

 ベル様とアリス様が星皇様のお尻愛で繋がっていることは揺るがしようのない事実であった。アリス様は罪作りな男の娘であると同時に、ベル様のお尻の形の良すぎさも罪作りなのだろうと結論づけるカナリア=ソナタとコッシロー=ネヅであった。

 鶏が先か、卵が先か? という堂々巡りな推測大会をしている内に、コッシロー=ネヅたちはベル=ラプソティの下へとたどり着く。ベル=ラプソティは眼の前の地面に着地したコッシロー=ネヅにご苦労様と労いの言葉をかける。

「アリスは眠っちゃったのね。カナリア。アリスを落とさないように注意して、わたくしの背中にアリスを乗せてちょうだい」

「わかりましたのですゥ。でも、アリス様ってズルくないですゥ!? 背中で感じる限り、あたしよりもアリス様のほうが体重が軽そうなのですゥ!」
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