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第7章:淫蕩の王
第7話:受け入れる者たち
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一団がインキュバス、女性淫魔の大軍に襲われている中、ただ一人、歓喜の涙を流している人物が居た。それは教皇:ヨン=ジューロであった。宗教に深く関わる人物の悪癖のひとつとして、立ち向かうことすら困難なことに出くわした時、それは『神が与えた試練』と捉えることである。そして、教皇:ヨン=ジューロは創造主:Y.O.N.Nから受けていた言葉通りに、ベル=ラプソティが七大悪魔のひとりに襲われ、さらには一団の皆が低級の悪魔の襲撃に会い、驚天動乱の渦へと巻きこまれた。
順番はどうあれ、教皇:ヨン=ジューロにとって、これこそ、神から与えれた試練そのものであり、皆がそれぞれに奮起し、悪魔からの誘惑を振り切るべきだと声高に宣言する。しかし、教皇の周りに集まる神官たちは、教皇を狂言者だと罵り、教皇を護ろうともせずに、乗っていた箱馬車から飛び降り、蜘蛛の子を散らすかのように逃げ惑うことになる。
「ああ、我が弟子たちは創造主:Y.O.N.N様の言葉を信じぬ者ばかりであったか。しかし、私は逃げも隠れもせぬよ。悪魔を一匹でも多く、我が身に引きつけておこうではないか」
教皇は逃げ惑う神官たちの背中に慈悲溢れる視線を送っていた。そして、自分の周りにベル=ラプソティの姿そのものをした女性淫魔たちが現れても、決して動揺することはなかった。ただ一言
「ははっ。私は枯れても男という証拠か。性欲などとうの昔に捨ててきたと思っていたが、ベル様の御姿を望んでいたようだ……」
ベル=ラプソティの姿をした半裸の女性淫魔たちは、眼を閉じ、ハラハラと涙を流し続ける教皇の頬に軽く接吻をする。そして、べろりと紫色の舌で教皇のほっぺたを舐めまくったあと、顎、喉、胸、みぞおち、そして、下側へと唇と舌を這わせていく。教皇は為したいように為せば良いと女性淫魔たちに自分の身体を弄ばせるのであった。
教皇がインキュバス。女性淫魔の大軍に襲われることを『是』としながらも、それに抗い続ける人物が一団の中に居た。その筆頭が凱旋王の長子こと、クォール=コンチェルト第1王子であった。彼は右手に持つ銀色に輝く長剣でバッサバッサとインキュバスと女性淫魔たちを斬り伏せていく。しかしながら、圧倒的な物量で襲い掛かってくる女性淫魔たちに対して、クォール=コンチェルト第1王子が握っている長剣はたちまちのうちに刃こぼれし、さらには中ほどでボキリと折れてしまう。
「ええぃ! 斬っても斬ってもキリがないっ! 次の武器を俺に寄越せっ!」
「殿下っ! これ以上は持ちませぬっ! グリーンフォレスト国の兵士たちも女性淫魔の誘惑に負ける者たちで溢れ返っておりますぞっ!」
こちらもこちらで、ほとんどの兵士たちがベル=ラプソティ、カナリア=ソナタ、ヨーコ=タマモの姿に似せた女性淫魔の大軍に馬乗りにされて、荒れた地面の上で押し倒されていた。彼女たちは兵士たちの鎧を秒で脱がし、さらにはパンツをずり降ろしてしまう。この世のイキ地獄を無理やりに味わうことになる兵士ばかりである。
そんな情けない自国の兵士たちに憤慨しそうになるクォール=コンチェルト第1王子であったが、自分たちを囲むようにじりじりと包囲網を狭めてくる女性淫魔の軍団に槍を馳走するほうがよっぽど先決であった。
クォール=コンチェルト第1王子が今の今まで斬り伏せた女性淫魔の数は100人に達成する。これが後の世に間違って語り継がれることになるとは、クォール=コンチェルト第1王子はこの時点では気づきもしなかった。ただただ、彼は一団を飲み込もうとするインキュバスと女性淫魔に抗おうとしただけなのだ。
決して、女性淫魔相手にベッドの上で100人斬りしたわけではない。しかるべき時にしかるべきことをしたまでなのだ。
それは置いておいてだ。クォール=コンチェルト第1王子は女性淫魔に馬乗りにされている兵士の腰から長剣を奪い取り、女性淫魔を撫で斬りにしていく。だが、いくら低級の悪魔と言えども、ただの半狼半人に命まで取られるような女性淫魔は居なかった。
クォール=コンチェルト第1王子に。一度、斬られた女性淫魔たちはしばらくした後、幽鬼のようにのっそりと立ち上がり、瞳孔が開ききった瞳でクォール=コンチェルト第1王子たちを取り囲む。女性淫魔の眼が怪しい光を放つと同時に、クォール=コンチェルト第1王子を護るように展開していた数少ない近衛兵たちも『淫蕩』に心を奪われることになる。
クォール=コンチェルト第1王子はグヌヌ……と唸るが、女性淫魔の豊満なおっぱいに顔を埋めていく近衛兵たちを背中から斬り伏せるわけにはいかない。
「クソッ……。俺の抗いもここまでか。ベル殿、カナリア殿。後は頼み申した」
クォール=コンチェルト第1王子はこれ以上、ベル=ラプソティやカナリア=ソナタ、そして、マリーヤ=ポルヤノフの姿をした女性淫魔を斬り伏せたいとは思わなくなっていた。いくら自分の性的指向が男の娘に向いていようが、女性を傷つけるのは本望ではない。そして、自分のやってきたことに対して、晴れやかな部分もあるが、後ろめたい気持ちを持ちつつ、クォール=コンチェルトもまた、女性淫魔に弄ばれる道を選ぶ。
教皇とクォール=コンチェルトが女性淫魔に弄ばれることになった今、一団を護る者など、誰ひとりとて居ないと思われた。だが、一団の指揮を執る者たちが居なくても、旅の一座たちは懸命に戦いを続けていた。
「ほぉれ。インキュバスの一本釣りじゃてっ! おい、こいつは神聖セントラルフラワー帝国で高く売れるから、しっかり捕獲しておくんじゃぞ!」
「へいっ、マリーヤ姐さん。いやあ、デーモン密売人の俺たちにとっちゃ、濡れ手に粟とはこのことですなぁ! この一団に付き纏うと決めたマリーヤ姐さんの慧眼には惚れ惚れしますわぁ!」
髭面のガラの悪い半虎半人の男が旅の一座の長であるマリーヤ=ポルヤノフを褒め称える。マリーヤ=ポルヤノフは鼻を高くして、そんなに褒めるでないぞよと返事をする。そもそも、マリーヤ=ポルヤノフが率いるのは芸能達者な者たちが集まるただの一座では無い。
ニンゲンは天使と共存関係を築くと共に、悪魔とも共存関係を築ける特殊すぎる生物であった。闇稼業として世間一般に認知されているデーモン狩人たちは害を与えるだけの悪魔を街から追放し、その裏ではニンゲンに益を与える悪魔を捕らえる。そして、その数少ないデーモン狩人のひとりであるマリーヤ=ポルヤノフは、今が書き入れ時とばかりにインキュバスのみを狙ったのだ。
順番はどうあれ、教皇:ヨン=ジューロにとって、これこそ、神から与えれた試練そのものであり、皆がそれぞれに奮起し、悪魔からの誘惑を振り切るべきだと声高に宣言する。しかし、教皇の周りに集まる神官たちは、教皇を狂言者だと罵り、教皇を護ろうともせずに、乗っていた箱馬車から飛び降り、蜘蛛の子を散らすかのように逃げ惑うことになる。
「ああ、我が弟子たちは創造主:Y.O.N.N様の言葉を信じぬ者ばかりであったか。しかし、私は逃げも隠れもせぬよ。悪魔を一匹でも多く、我が身に引きつけておこうではないか」
教皇は逃げ惑う神官たちの背中に慈悲溢れる視線を送っていた。そして、自分の周りにベル=ラプソティの姿そのものをした女性淫魔たちが現れても、決して動揺することはなかった。ただ一言
「ははっ。私は枯れても男という証拠か。性欲などとうの昔に捨ててきたと思っていたが、ベル様の御姿を望んでいたようだ……」
ベル=ラプソティの姿をした半裸の女性淫魔たちは、眼を閉じ、ハラハラと涙を流し続ける教皇の頬に軽く接吻をする。そして、べろりと紫色の舌で教皇のほっぺたを舐めまくったあと、顎、喉、胸、みぞおち、そして、下側へと唇と舌を這わせていく。教皇は為したいように為せば良いと女性淫魔たちに自分の身体を弄ばせるのであった。
教皇がインキュバス。女性淫魔の大軍に襲われることを『是』としながらも、それに抗い続ける人物が一団の中に居た。その筆頭が凱旋王の長子こと、クォール=コンチェルト第1王子であった。彼は右手に持つ銀色に輝く長剣でバッサバッサとインキュバスと女性淫魔たちを斬り伏せていく。しかしながら、圧倒的な物量で襲い掛かってくる女性淫魔たちに対して、クォール=コンチェルト第1王子が握っている長剣はたちまちのうちに刃こぼれし、さらには中ほどでボキリと折れてしまう。
「ええぃ! 斬っても斬ってもキリがないっ! 次の武器を俺に寄越せっ!」
「殿下っ! これ以上は持ちませぬっ! グリーンフォレスト国の兵士たちも女性淫魔の誘惑に負ける者たちで溢れ返っておりますぞっ!」
こちらもこちらで、ほとんどの兵士たちがベル=ラプソティ、カナリア=ソナタ、ヨーコ=タマモの姿に似せた女性淫魔の大軍に馬乗りにされて、荒れた地面の上で押し倒されていた。彼女たちは兵士たちの鎧を秒で脱がし、さらにはパンツをずり降ろしてしまう。この世のイキ地獄を無理やりに味わうことになる兵士ばかりである。
そんな情けない自国の兵士たちに憤慨しそうになるクォール=コンチェルト第1王子であったが、自分たちを囲むようにじりじりと包囲網を狭めてくる女性淫魔の軍団に槍を馳走するほうがよっぽど先決であった。
クォール=コンチェルト第1王子が今の今まで斬り伏せた女性淫魔の数は100人に達成する。これが後の世に間違って語り継がれることになるとは、クォール=コンチェルト第1王子はこの時点では気づきもしなかった。ただただ、彼は一団を飲み込もうとするインキュバスと女性淫魔に抗おうとしただけなのだ。
決して、女性淫魔相手にベッドの上で100人斬りしたわけではない。しかるべき時にしかるべきことをしたまでなのだ。
それは置いておいてだ。クォール=コンチェルト第1王子は女性淫魔に馬乗りにされている兵士の腰から長剣を奪い取り、女性淫魔を撫で斬りにしていく。だが、いくら低級の悪魔と言えども、ただの半狼半人に命まで取られるような女性淫魔は居なかった。
クォール=コンチェルト第1王子に。一度、斬られた女性淫魔たちはしばらくした後、幽鬼のようにのっそりと立ち上がり、瞳孔が開ききった瞳でクォール=コンチェルト第1王子たちを取り囲む。女性淫魔の眼が怪しい光を放つと同時に、クォール=コンチェルト第1王子を護るように展開していた数少ない近衛兵たちも『淫蕩』に心を奪われることになる。
クォール=コンチェルト第1王子はグヌヌ……と唸るが、女性淫魔の豊満なおっぱいに顔を埋めていく近衛兵たちを背中から斬り伏せるわけにはいかない。
「クソッ……。俺の抗いもここまでか。ベル殿、カナリア殿。後は頼み申した」
クォール=コンチェルト第1王子はこれ以上、ベル=ラプソティやカナリア=ソナタ、そして、マリーヤ=ポルヤノフの姿をした女性淫魔を斬り伏せたいとは思わなくなっていた。いくら自分の性的指向が男の娘に向いていようが、女性を傷つけるのは本望ではない。そして、自分のやってきたことに対して、晴れやかな部分もあるが、後ろめたい気持ちを持ちつつ、クォール=コンチェルトもまた、女性淫魔に弄ばれる道を選ぶ。
教皇とクォール=コンチェルトが女性淫魔に弄ばれることになった今、一団を護る者など、誰ひとりとて居ないと思われた。だが、一団の指揮を執る者たちが居なくても、旅の一座たちは懸命に戦いを続けていた。
「ほぉれ。インキュバスの一本釣りじゃてっ! おい、こいつは神聖セントラルフラワー帝国で高く売れるから、しっかり捕獲しておくんじゃぞ!」
「へいっ、マリーヤ姐さん。いやあ、デーモン密売人の俺たちにとっちゃ、濡れ手に粟とはこのことですなぁ! この一団に付き纏うと決めたマリーヤ姐さんの慧眼には惚れ惚れしますわぁ!」
髭面のガラの悪い半虎半人の男が旅の一座の長であるマリーヤ=ポルヤノフを褒め称える。マリーヤ=ポルヤノフは鼻を高くして、そんなに褒めるでないぞよと返事をする。そもそも、マリーヤ=ポルヤノフが率いるのは芸能達者な者たちが集まるただの一座では無い。
ニンゲンは天使と共存関係を築くと共に、悪魔とも共存関係を築ける特殊すぎる生物であった。闇稼業として世間一般に認知されているデーモン狩人たちは害を与えるだけの悪魔を街から追放し、その裏ではニンゲンに益を与える悪魔を捕らえる。そして、その数少ないデーモン狩人のひとりであるマリーヤ=ポルヤノフは、今が書き入れ時とばかりにインキュバスのみを狙ったのだ。
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