拳聖の一番弟子がぶっ放すロケットパンチ ~氷の悪役令嬢の心を一撃で砕いてチョロイン化~

ももちく

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第1章:ロック=イートの夢

第5話:年頃のロック

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「いや、えっと……。んんーーー。んんーーー!?」

 兄弟子である半猿半人ハーフ・ダ・ウキーのコタロー=サルガミと姉弟子である半犬半人ハーフ・ダ・ワンのサラ=ローランに同時にどちらが勝ったかを問われ、半狼半人ハーフ・ダ・ウルフらしからぬ歯切れの悪さであいまいな返事しかできないロック=イートであった。どっちもどっちと言えば、また戦いが始まるであろう。そうなる前に伝えるべきことは伝えておかなければならない。

「どっちが勝ったかと言われると、どっちもどっちだと思うけど。いや、それよりもお師匠様が夕暮れ16時頃に師匠が寝泊まりしている庵に皆で集まってほしいって言ってたよ」

 ロック=イートがそう2人に告げると、2人は怪訝な表情になり、いったいどんな用件だろうと話し始める。どうせ酒の肴にドラゴンの肉でも取って来てくれと、ロック=イートと同じことを言い合い始めるのであった。ロック=イートとしては、まだまだ水が冷たい4月だというのに、そんな川の中に居ないで、川岸に出てくればいいのに……と思ってしまう。

 ロック=イートのその想いが通じたのか、サラ=ローランだけは川岸に上がり、道着の裾を両手で絞って、水を絞り出し始めたのであった。だが、それにストップをかけたのはコタロー=サルガミであった。

「ウキッ!? 勝ち逃げとは卑怯だぞっ! 10本勝負の内、まだ3本目しか終わって無いんだっ! 今日はとことん付き合ってもらうって話だったろうがっ!」

「はいはい、言ってなさいよ。それよりもロックから詳しく話を聞きましょ?」

 未だ川の中に両足をつっこんだまま、早口でまくしたてるコタロー=サルガミであったが、サラ=ローランは意に介せず、今度は頭から尻の辺りまでをまるで犬が濡れた身体から水を飛ばすが如く、ブルブルッ! と細かく震えさせる。水しぶきが彼女の身体から噴き出し、近くに立っていたロック=イートはそれをまともに喰らってしまう。

「うわっぷ! ちょっと、サラ姐! 水が口に入っただろうがっ!」

「あら? 水もしたたる良い女の身体にへばりついていた水を飲めたのなら、ご褒美じゃないの。コタローだったら、平伏してくれるわよ?」

「どこがご褒美だよっ! あと、いかがわしいお店に足を運ぶのが好きなコタロー兄と一緒にしないでくれっ! 俺はまだまだ純心ピュアなんだよっ!」

 ロック=イートがそうサラ=ローランに反論するが、それがいけなかった。一言余計だったのである。ロック=イートの言いは。サラ=ローランはにんまりとした笑顔となり、わざと道着の上からDカップある胸を両腕で抱えるようにしながら

「あらあら? 18歳にもなって、純心ピュアなの? へー? ふーん? ほれほれ」

「あうあうあう……。サラ姐、谷間が見えているから……」

 彼女らが着ている道着は、大昔にカラテ着と呼ばれた厚手の白い道着であった。師範代ともなると、その道着を黒い帯、通称:ブラックベルトで固定している。サラ=ローランはその道着の下に黒いタンクトップとショーツを着込んでいるのだが、やはり、胸がDカップもあれば、いくらタンクトップと言えども、十分に胸の谷間が出来上がる。彼女はわざと前かがみになり、道着の首元からロック=イートが胸に注目できるような体勢を取っている。

 ロック=イートは眼のやりばに困りながらも、横眼でその谷間をちらちらと見てしまう。やはり年頃の18歳なのだ。おっぱい界における貧富の差に敏感な年頃なのである、ロック=イートは。彼は眼をそらしたくても、そうさせてくれないもうひとりの自分がいるのである。

 ロック=イートの反応に満足したのか、サラ=ローランは背筋をまっすぐにし、道着の襟を正す。ロック=イートが、あ……と残念そうに小さく嘆くがサラ=ローランとしても、これ以上、サービスする気もない。彼女はロック=イートより2つ年上の20歳である。思春期から抜け出した年齢で、大人としての余裕を持っている。しかしだ、ロック=イートに自分の胸を強調しておきがなら、同時に羞恥心も起きている。内心、彼女はやりすぎたと思っている。

(ちょっと、からかいすぎたわね……。あんまり男とか女とか、そういったモノを前に出さないほうが良いのはわかっているんだけど……。ちょっかいをかけたくなるのは何故なのかしら?)

 サラ=ローランとしても、何ゆえに、あんな恥ずかしいことをしてしまったのか、あまりわかっていなかった。こればかりは女性特有の可愛い男の子はからかってしまうさがを持っていると言った方が適切なのかもしれない。だが、孤児となった幼少時からタイガー・ホールで修行を積んできているサラ=ローランには、そんなことを親切丁寧に教えてくれる存在もいなかった。

 タイガー・ホールで修行を積む者たちは、自分から志願した者と、魔物モンスターの被害に会い、孤児となってしまった者、この二通りでだいたい構成されていた。サラ=ローランとコタロー=サルガミの両名は後者であり、ロック=イートはどっちつかずと言ったところだ。

 どちらにしても、3名とも魔物モンスターの被害に会ったことは事実であり、そんな過去を持っているからこそ、彼らは仲睦まじい間柄であったのだ。それぞれに得意とする分野は違うモノの、師匠である拳聖:キョーコ=モトカードを含め、4人で修練をおこなうことが多い。

 もちろん、キョーコ=モトカードは他の者の修練状況を見るためにも、余所に行く場合があるが、その時はロック=イート、サラ=ローラン、コタロー=サルガミの3人で、互いの技を磨いてきた。3人の時は師匠であるキョーコ=モトカードの教えをさらに発展させようと、自分にとって不利な地形をわざわざ選んで修練を積んでいる。その一環として、今日は滝つぼ近くの川の中でサラ=ローランとコタロー=サルガミが10本勝負をおこなっていたのであった。

「ウキー? ロック。師匠が言っていたのは、それだけなのか?」

「そうだよ、コタロー兄。詳しいことについては何も話してくれなかったよ……。さっさと何処かへ行っちゃったからね」

「ウッキー。師匠らしいと言えば師匠らしいな……。まあ、どうせたいしたことじゃないんだろうがなっ!」

 2人はロック=イートの伝言を聞き、はははっと笑いながら、いったいどんな用事を頼まれるのかと予想を膨らませながら談笑するのであった。しかし、3人が予想したことは全て外れる結果となる。夕暮れ16時過ぎに彼ら3人が師匠の下に集った時、彼らは自分の耳を疑うことになる。

「わしゃの後継者として、ロック=イートを指名する。異論があるなら、わしゃ自ら相手をするぞ?」
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