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第3章:コープ=フルール
第7話:コープの娘
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ロック=イートとセイ=レ・カンコーの2人が中庭で三日後の試合に向けて調整を行っている。かれこれ15分ほどミット打ちを続けていると、2人に向かって、うるさいとばかりに文句をつけに来た客人が現れたのであった。
「あんたたちっ! いったい、誰の許可をもらって、こんなところでうるさい音を立てているかしらっ!」
いきなり文句を言われて、つい、ロック=イートたちは手を止めてしまうことになる。文句をつけてきたのは金髪碧眼の半兎半人の小娘であった。しかしながら、真っ白な肌に、それを包み込むような桜色のワンピース。そして、汗臭くなってしまった中庭を洗い流すような可憐な秋桜のような匂いがその娘から発せられる。ロック=イートが手を止めたのは、文句を言われたからというより、その彼女の存在感に圧倒されたほうが正しいと言えるのであった。
「え、えっと……。俺たちはコープ=フルール様に三日後に試合に出てもらうって言われたから、それに向けて調整しているわけで」
「お父様? それに調整? 何を言っているのか全然、話が繋がらなくてよっ! 大体、良い大人が上半身裸で、うちの家の中庭で何しているの? って聞いてるわけ、わかる?」
半兎半人の小娘がロック=イートに向かって、右腕をまっすぐ伸ばして、さらに人差し指でロック=イートを指さしてくる。ロック=イートはどうしたものかと思うわけだが、まず、この女性が誰なのかもわからない。お父様と言っている以上はコープ=フルールの娘であろうことは想像できるのだが、それでも確認は怠ってはいけないだろうと、ロック=イートはまずは名前を尋ねることとする。
「あの、すいません。俺たちのほうもよくわかってなくて。とりあえず、俺の名前はロック=イート。1週間ほど前にここのご主人であるコープ=フルール様に買われた使用人……ってところであってるのかな?」
「なんでそこで疑問符なのかしら? まあ、自分から名前を名乗るだけはまだ紳士であることは認めますわ」
明らかに上から目線で話しかけてくる小娘に、少しだけムッとするロック=イートである。だが、ここで言い争いをしていても何も解決しないのは明白だ。だからこそ、彼は彼女に名前を教えてほしいと願い出る。彼女は、ハンッ! と鼻を鳴らす。ロック=イートはやっぱり文句をつけておくべきだったかと後悔するが、何か言う前に彼女が口を開き
「わたくしの名前はリリー=フルールですわ。コープ=フルールはわたくの父でございます。他に聞きたいことはありまして?」
あくまでも挑発的な態度を崩さないんだなとロック=イートは思うが、自分の主人であるコープ=フルールの娘が相手なら、あまり波風立てないようにすべきだと思うことは思うのだが、鼻もちならぬ小娘に下手に出るのも面白くない。だからこそ、ロック=イートは一計を案じ
「はいはい、リリー=フルールお嬢様ですね。名前を教えてくれてありがとう。じゃあ、向こうに行っててくれないか? 俺たちは貴女のお父様に喜んでもらわなきゃならないんでな?」
ロック=イートはまるで犬を追い払うかのようにグローブをつけたままの右手でシッシッ! と追い払うような仕草をする。そうされたことで、カチンと来たのか、リリー=フルールは白い頬をほんのりと紅潮させて、ガミガミと文句を言い出すのであった。ロック=イートとセイ=レ・カンコーは両手でそれぞれ狼耳と猫耳を塞ぎ、彼女の雨あられのように続く文句を聞き流そうとする。リリー=フルールの登場により、中庭が騒がしくなったために屋敷の使用人たちがどうしたとばかりに、その中庭に集まりだす。彼らが中庭に足を踏み入れると、リリー=フルール嬢が知らない男たちに向かって、躍起になって吠えたてている現場に出くわすこととなる。
「リリーお嬢様。どうかなされましたかな? ロック=イートとセイ=レ・カンコーが何か不手際を行いましたかな?」
「ちょうど良いところに来てくれたわね、ゴーマ。彼らを中庭からだけでなく、我が家から追い出してほしいのよ」
騒ぎが大きくなったことで、フルール家の執事であるゴーマ=タールタルまでもが中庭にやってくることになる。彼としてはフルール家に所属する料理長との打ち合わせの真っ最中であり、それを邪魔されたことで、少しばかり不機嫌であった。なんといっても、さきほどリリーお嬢様には新入りが2名ほど、屋敷に配属されたことを伝えていたはずなのにだ。その時、リリーお嬢様は読書がてらにティータイムを楽しんでいたために、多分、話半分も聞いていなかったことは容易に想像できたのである。ゴーマ=タールタルは右眼にかけている片メガネを右手でわざとらしくいじり、その後、ごほんと咳払いをする。
「この2人は旦那様にとって、貴族たちと友好を深めるための大事な駒ですじゃ。それを追い出す権限は残念ながら、それがしは持ち合わせておりませぬ」
「あっ、そう。なら、お父様に直接、頼み込みますわ。我がフルール家にこんな野蛮人共は不似合いだと主張させてもらいますわよ?」
ロック=イートは初対面でここまで嫌われるモノかと逆に感心してしまう。ひとそれぞれに合う合わないはあるが、これはさすがにそんなことではなく、彼女から見て、自分たちのような下賤な輩とは折り合いをつける気がなさそうに感じたのである。確かに上半身真っ裸の男が両手にグローブをはめて、自分の家の中庭を占拠していたら、そう思うのは致し方ない部分はある。だが、これはコープ=フルールのためであり、しいてはそれがこの小娘のためになることくらいわからないのかと言いたい気持ちになってしまうロック=イートである。
「あのさぁ。俺たちはコープ=フルール様に命令されたからこそ、この中庭を借りているわけでだな?」
「あらそう? じゃあ、わたくしの許可も得なさいよ。確かにここはお父様の屋敷ですけど、同時にわたくしもこの屋敷の所有者なのですわよ?」
ああ言えば、こう言うの典型とはまさにこのことであった。ロック=イートは右手にグローブをはめたまま、頭をボリボリと掻いてしまう。一体、どうすれば、自分とまともに話し合うような態度を取ってくれるのかと思案するが、良い案が思い浮かぶ前に、彼女の父親が登場することになる……。
「リリー。そこまでにしておきなさい。パパは貴女をそんな聞き分けのない娘に育てた記憶はありませんよ?」
「あんたたちっ! いったい、誰の許可をもらって、こんなところでうるさい音を立てているかしらっ!」
いきなり文句を言われて、つい、ロック=イートたちは手を止めてしまうことになる。文句をつけてきたのは金髪碧眼の半兎半人の小娘であった。しかしながら、真っ白な肌に、それを包み込むような桜色のワンピース。そして、汗臭くなってしまった中庭を洗い流すような可憐な秋桜のような匂いがその娘から発せられる。ロック=イートが手を止めたのは、文句を言われたからというより、その彼女の存在感に圧倒されたほうが正しいと言えるのであった。
「え、えっと……。俺たちはコープ=フルール様に三日後に試合に出てもらうって言われたから、それに向けて調整しているわけで」
「お父様? それに調整? 何を言っているのか全然、話が繋がらなくてよっ! 大体、良い大人が上半身裸で、うちの家の中庭で何しているの? って聞いてるわけ、わかる?」
半兎半人の小娘がロック=イートに向かって、右腕をまっすぐ伸ばして、さらに人差し指でロック=イートを指さしてくる。ロック=イートはどうしたものかと思うわけだが、まず、この女性が誰なのかもわからない。お父様と言っている以上はコープ=フルールの娘であろうことは想像できるのだが、それでも確認は怠ってはいけないだろうと、ロック=イートはまずは名前を尋ねることとする。
「あの、すいません。俺たちのほうもよくわかってなくて。とりあえず、俺の名前はロック=イート。1週間ほど前にここのご主人であるコープ=フルール様に買われた使用人……ってところであってるのかな?」
「なんでそこで疑問符なのかしら? まあ、自分から名前を名乗るだけはまだ紳士であることは認めますわ」
明らかに上から目線で話しかけてくる小娘に、少しだけムッとするロック=イートである。だが、ここで言い争いをしていても何も解決しないのは明白だ。だからこそ、彼は彼女に名前を教えてほしいと願い出る。彼女は、ハンッ! と鼻を鳴らす。ロック=イートはやっぱり文句をつけておくべきだったかと後悔するが、何か言う前に彼女が口を開き
「わたくしの名前はリリー=フルールですわ。コープ=フルールはわたくの父でございます。他に聞きたいことはありまして?」
あくまでも挑発的な態度を崩さないんだなとロック=イートは思うが、自分の主人であるコープ=フルールの娘が相手なら、あまり波風立てないようにすべきだと思うことは思うのだが、鼻もちならぬ小娘に下手に出るのも面白くない。だからこそ、ロック=イートは一計を案じ
「はいはい、リリー=フルールお嬢様ですね。名前を教えてくれてありがとう。じゃあ、向こうに行っててくれないか? 俺たちは貴女のお父様に喜んでもらわなきゃならないんでな?」
ロック=イートはまるで犬を追い払うかのようにグローブをつけたままの右手でシッシッ! と追い払うような仕草をする。そうされたことで、カチンと来たのか、リリー=フルールは白い頬をほんのりと紅潮させて、ガミガミと文句を言い出すのであった。ロック=イートとセイ=レ・カンコーは両手でそれぞれ狼耳と猫耳を塞ぎ、彼女の雨あられのように続く文句を聞き流そうとする。リリー=フルールの登場により、中庭が騒がしくなったために屋敷の使用人たちがどうしたとばかりに、その中庭に集まりだす。彼らが中庭に足を踏み入れると、リリー=フルール嬢が知らない男たちに向かって、躍起になって吠えたてている現場に出くわすこととなる。
「リリーお嬢様。どうかなされましたかな? ロック=イートとセイ=レ・カンコーが何か不手際を行いましたかな?」
「ちょうど良いところに来てくれたわね、ゴーマ。彼らを中庭からだけでなく、我が家から追い出してほしいのよ」
騒ぎが大きくなったことで、フルール家の執事であるゴーマ=タールタルまでもが中庭にやってくることになる。彼としてはフルール家に所属する料理長との打ち合わせの真っ最中であり、それを邪魔されたことで、少しばかり不機嫌であった。なんといっても、さきほどリリーお嬢様には新入りが2名ほど、屋敷に配属されたことを伝えていたはずなのにだ。その時、リリーお嬢様は読書がてらにティータイムを楽しんでいたために、多分、話半分も聞いていなかったことは容易に想像できたのである。ゴーマ=タールタルは右眼にかけている片メガネを右手でわざとらしくいじり、その後、ごほんと咳払いをする。
「この2人は旦那様にとって、貴族たちと友好を深めるための大事な駒ですじゃ。それを追い出す権限は残念ながら、それがしは持ち合わせておりませぬ」
「あっ、そう。なら、お父様に直接、頼み込みますわ。我がフルール家にこんな野蛮人共は不似合いだと主張させてもらいますわよ?」
ロック=イートは初対面でここまで嫌われるモノかと逆に感心してしまう。ひとそれぞれに合う合わないはあるが、これはさすがにそんなことではなく、彼女から見て、自分たちのような下賤な輩とは折り合いをつける気がなさそうに感じたのである。確かに上半身真っ裸の男が両手にグローブをはめて、自分の家の中庭を占拠していたら、そう思うのは致し方ない部分はある。だが、これはコープ=フルールのためであり、しいてはそれがこの小娘のためになることくらいわからないのかと言いたい気持ちになってしまうロック=イートである。
「あのさぁ。俺たちはコープ=フルール様に命令されたからこそ、この中庭を借りているわけでだな?」
「あらそう? じゃあ、わたくしの許可も得なさいよ。確かにここはお父様の屋敷ですけど、同時にわたくしもこの屋敷の所有者なのですわよ?」
ああ言えば、こう言うの典型とはまさにこのことであった。ロック=イートは右手にグローブをはめたまま、頭をボリボリと掻いてしまう。一体、どうすれば、自分とまともに話し合うような態度を取ってくれるのかと思案するが、良い案が思い浮かぶ前に、彼女の父親が登場することになる……。
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