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第4章:リリー=フルール
第7話:狂乱
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右足を抱えこまれたままのカラス天狗は必死の抵抗を見せる。両手の爪を一つ目入道の分厚い胸板に突き刺し、さらには引っ掻く。そして、自由な左足で連続の膝蹴りを奴の腹に散々に入れ続ける。だが、一つ目入道はまったくもって、体勢を崩すことは無く、徐々に力を込めながら右腕を高々と振り上げていく。そして、右手を力強く握りしめ、右腕を狙いすましたかのようにカラス天狗の頭頂部へと振り下ろす。まるで巨大な鉄槌がカラス天狗の頭を粉砕せしめんとしているイメージが観客席に集まる人々の脳裏に焼き付くのであった。
ゴシャリ! とまるで砂入りの壺を粉砕したかのような気持ちの良くない音が響き渡ると共に、カラス天狗の頭から首にかけて折りたたむかのように縮まることとなる。それと同時に頭蓋骨が粉砕され、カラス天狗の脳漿が砂地の地面にぶち撒かれることとなる。勝負は決まった。一つ目入道の圧倒的勝利である。観客席に座る貴族たちはワーワー! と興奮に染まった歓声をあげて、この惨劇を待ち望んでいたかのように一つ目入道を褒めたたえる。
(なんでこんな一方的な闘いに狂乱しているのかわからないのですわ……)
リリー=フルールはハンカーチで口元を隠し、嘔吐感を必死に抑えていた。なのに、同じテーブルに着いている者たちはまるでそこに彼女が存在していないかのように、試合の熱に浮かされている。こういうことがあるからリリー=フルールは裏武闘会に来るのが嫌なのだ。まるで忌避感を抱いている自分こそが間違っているとでも言われているかのように感じることがある。
「少しばかり席を立たせてもらいますわ」
「ああ、リリー。帰る前にトイレを済ませておくのかな? 私はもう少しルイ=ブルゲ様と歓談してから馬車に向かうから、身体を冷やさないようにしておいてくださいね?」
父親のまるで見当外れの気遣いにリリー=フルールは憤慨しそうになる。だが、胸くその悪いカラス天狗の最後をまじまじと見せつけられて、気分は最悪であった。嘔吐感のこともあり、怒りよりもさらなる気持ち悪さがこみ上げそうだったので、特に反論もせずに椅子から立ち上がり、そそくさとその場から立ち去るのであった。しかし、リリー=フルールが化粧室に向かっていこうとしている時に、会場にいる観客たちの歓声がいきなり悲鳴に変わってしまう。リリー=フルールは何が起きたのかしら!? と試合場の方に眼を向ける。
するとだ。先ほどまで勝利の雄叫びを上げていた一つ目入道が眼を真っ赤に染めている。それだけではない。手足に鎖付きの鉄球を枷として取り付けられていたというのに、その鎖を引きちぎり、試合場内で大暴れし始めたのであった。そのことにより、観客席に居た貴族たちは避難を開始し、観客席から外へと繋がっている狭い出入り口に殺到することとなる。
そして、その貴族たちに押し飛ばされて、リリー=フルールはその辺りにあったテーブルもろとも倒されてしまう。リリー=フルールは頭をテーブルの角にぶつけてしまい、めまいを起こす。頭の痛む部分を右手で押さえつつ、その頭を左右に振り、意識をはっきりさせようとする。だが、観客たちの悲鳴がひと際甲高くリリー=フルールの耳に突き刺さり、余計にリリー=フルールは頭痛を感じてしまう。
「一体、何事なのよ……。さっきまで歓声をあげてたくせに悲鳴ばかり……」
この時、リリー=フルールは状況を理解していなかった。まさか、試合場に施された逃走防止用の魔術障壁を一つ目入道が破壊したことなど気づいていなかったのだ。一つ目入道は自由になった両腕を振り回し、魔術障壁を散々に殴りつけていた。
しかしながら、そもそもとして、魔物が暴れても良いように試合場を覆う木の壁には魔結晶を用いた結界石が仕込まれている。その結界石が強固な魔術障壁を形成していたのだが、一つ目入道は破れぬソレを破壊するために鉄球を右手で持ち、投げつけたのである。一投目、二投目はどうにか魔術障壁は持ちこたえたが、続く三投目でついに破砕してしまう。
そして、破砕された魔術障壁はガラスが割れるような音と共に光の欠片を観客席にまき散らす。一つ目入道はニヤリと笑い、木の壁を乗り越えて、観客席に乗り込んできたのだ。それで貴族たちは恐慌状態に陥り、観客席から外に出るための出入り口に殺到したというわけであった。そして、リリー=フルールはその貴族たちに押し倒されて、テーブルの角に頭を打ち付けたという流れである。軽く失神している間に、一つ目入道が自分の手の届く距離にいることに今更ながらに気付くことになる。
「あ、あ……」
リリー=フルールは恐怖に心を支配されていた。一つ目入道の身体のあちこちは血で汚れていた。カラス天狗の鋭い爪により、身体の表面を傷つけられていたためにそこかしこから出血していたのである。土色に汚れた身体をさらに赤黒い色の線が走っている。その姿はあまりにも醜悪を極めており、リリー=フルールは失神できれば、そうしたいとすら思った。だが、あまりにもの恐怖が彼女を無理やりに覚醒させる。心の奥底から『生きろ』とでも言われているような気がする。だが、それでも恐怖は身体までをも蝕んでおり、指一本動かせない。
そんな彼女に対して、一つ目入道はズタズタの腰布をさらに引き裂くかのように男根を天井に向けて奮い立たせる。奴の眼には至上の御馳走がテーブルの上に乗せられているかのように見えたのだ。年頃の半兎半人は大層麗しく、その肉は柔らかそうで、一つ目入道は食欲だけでなく、性欲まで刺激させられることとなる。
リリー=フルールは殿方のいきり立つ男根を見るのはこれが産まれて初めてであった。それはまるで拷問官が持つ真っ赤に焼けた仕置き棒にも思えた。だが、そんなものがかわいいと思えるほどに凶悪なシロモノであった。その男根には赤黒い血管が浮き出ており、ドクンドクンと脈打っている。ソレの先端の突起部分はリリー=フルールの頭よりも大きく、彼女はこれが何のためにこのような形状をしているのかが理解できないでいた。
そして、彼女の理解が追い付く前に一つ目入道はリリー=フルールの鼻先に自分の男根の先端を押し付けようとするのであった……。
ゴシャリ! とまるで砂入りの壺を粉砕したかのような気持ちの良くない音が響き渡ると共に、カラス天狗の頭から首にかけて折りたたむかのように縮まることとなる。それと同時に頭蓋骨が粉砕され、カラス天狗の脳漿が砂地の地面にぶち撒かれることとなる。勝負は決まった。一つ目入道の圧倒的勝利である。観客席に座る貴族たちはワーワー! と興奮に染まった歓声をあげて、この惨劇を待ち望んでいたかのように一つ目入道を褒めたたえる。
(なんでこんな一方的な闘いに狂乱しているのかわからないのですわ……)
リリー=フルールはハンカーチで口元を隠し、嘔吐感を必死に抑えていた。なのに、同じテーブルに着いている者たちはまるでそこに彼女が存在していないかのように、試合の熱に浮かされている。こういうことがあるからリリー=フルールは裏武闘会に来るのが嫌なのだ。まるで忌避感を抱いている自分こそが間違っているとでも言われているかのように感じることがある。
「少しばかり席を立たせてもらいますわ」
「ああ、リリー。帰る前にトイレを済ませておくのかな? 私はもう少しルイ=ブルゲ様と歓談してから馬車に向かうから、身体を冷やさないようにしておいてくださいね?」
父親のまるで見当外れの気遣いにリリー=フルールは憤慨しそうになる。だが、胸くその悪いカラス天狗の最後をまじまじと見せつけられて、気分は最悪であった。嘔吐感のこともあり、怒りよりもさらなる気持ち悪さがこみ上げそうだったので、特に反論もせずに椅子から立ち上がり、そそくさとその場から立ち去るのであった。しかし、リリー=フルールが化粧室に向かっていこうとしている時に、会場にいる観客たちの歓声がいきなり悲鳴に変わってしまう。リリー=フルールは何が起きたのかしら!? と試合場の方に眼を向ける。
するとだ。先ほどまで勝利の雄叫びを上げていた一つ目入道が眼を真っ赤に染めている。それだけではない。手足に鎖付きの鉄球を枷として取り付けられていたというのに、その鎖を引きちぎり、試合場内で大暴れし始めたのであった。そのことにより、観客席に居た貴族たちは避難を開始し、観客席から外へと繋がっている狭い出入り口に殺到することとなる。
そして、その貴族たちに押し飛ばされて、リリー=フルールはその辺りにあったテーブルもろとも倒されてしまう。リリー=フルールは頭をテーブルの角にぶつけてしまい、めまいを起こす。頭の痛む部分を右手で押さえつつ、その頭を左右に振り、意識をはっきりさせようとする。だが、観客たちの悲鳴がひと際甲高くリリー=フルールの耳に突き刺さり、余計にリリー=フルールは頭痛を感じてしまう。
「一体、何事なのよ……。さっきまで歓声をあげてたくせに悲鳴ばかり……」
この時、リリー=フルールは状況を理解していなかった。まさか、試合場に施された逃走防止用の魔術障壁を一つ目入道が破壊したことなど気づいていなかったのだ。一つ目入道は自由になった両腕を振り回し、魔術障壁を散々に殴りつけていた。
しかしながら、そもそもとして、魔物が暴れても良いように試合場を覆う木の壁には魔結晶を用いた結界石が仕込まれている。その結界石が強固な魔術障壁を形成していたのだが、一つ目入道は破れぬソレを破壊するために鉄球を右手で持ち、投げつけたのである。一投目、二投目はどうにか魔術障壁は持ちこたえたが、続く三投目でついに破砕してしまう。
そして、破砕された魔術障壁はガラスが割れるような音と共に光の欠片を観客席にまき散らす。一つ目入道はニヤリと笑い、木の壁を乗り越えて、観客席に乗り込んできたのだ。それで貴族たちは恐慌状態に陥り、観客席から外に出るための出入り口に殺到したというわけであった。そして、リリー=フルールはその貴族たちに押し倒されて、テーブルの角に頭を打ち付けたという流れである。軽く失神している間に、一つ目入道が自分の手の届く距離にいることに今更ながらに気付くことになる。
「あ、あ……」
リリー=フルールは恐怖に心を支配されていた。一つ目入道の身体のあちこちは血で汚れていた。カラス天狗の鋭い爪により、身体の表面を傷つけられていたためにそこかしこから出血していたのである。土色に汚れた身体をさらに赤黒い色の線が走っている。その姿はあまりにも醜悪を極めており、リリー=フルールは失神できれば、そうしたいとすら思った。だが、あまりにもの恐怖が彼女を無理やりに覚醒させる。心の奥底から『生きろ』とでも言われているような気がする。だが、それでも恐怖は身体までをも蝕んでおり、指一本動かせない。
そんな彼女に対して、一つ目入道はズタズタの腰布をさらに引き裂くかのように男根を天井に向けて奮い立たせる。奴の眼には至上の御馳走がテーブルの上に乗せられているかのように見えたのだ。年頃の半兎半人は大層麗しく、その肉は柔らかそうで、一つ目入道は食欲だけでなく、性欲まで刺激させられることとなる。
リリー=フルールは殿方のいきり立つ男根を見るのはこれが産まれて初めてであった。それはまるで拷問官が持つ真っ赤に焼けた仕置き棒にも思えた。だが、そんなものがかわいいと思えるほどに凶悪なシロモノであった。その男根には赤黒い血管が浮き出ており、ドクンドクンと脈打っている。ソレの先端の突起部分はリリー=フルールの頭よりも大きく、彼女はこれが何のためにこのような形状をしているのかが理解できないでいた。
そして、彼女の理解が追い付く前に一つ目入道はリリー=フルールの鼻先に自分の男根の先端を押し付けようとするのであった……。
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