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第14章;レオのかつての親友
第4話:ジルバ=フリューゲル
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レオナルト=ヴィッダーは自分の身体の正面に振り下ろされてくる雷光が走る大剣を、身体を前へと回転させることで、お尻の辺りから生えている黒い刃で構成された2本の尻尾ではじき返す。
ジルバ=フリューゲルは器用なもんだと感心せざるをえない。ヒトはあくまでもヒトである。レオナルト=ヴィッダーの動きはヒトを越えて、獣の動きと同化している。そして、そんな獣の動きを続ければ、人体に計り知れない負荷がかかるのは当然だ。レオナルト=ヴィッダーが2本の尻尾で自分の大剣を弾く度に、奴の身体からは紅い血が凶風で吹きさらされて舞い散る花弁のように散乱されていく。
ジルバ=フリューゲルの身体を包んでいる黄金色の全身鎧にも、レオナルト=ヴィッダーがまき散らす血が付着する。しかしながら、ジルバ=フリューゲルの身体を包む黄金色の全身鎧自体にも高電圧の電流が流れており、レオナルト=ヴィッダーの血が付着しようとも、一瞬で焼き焦げ、蒸発してしまう。
ジルバ=フリューゲルは思う。レオナルト=ヴィッダーはこのまま自滅するだけだと。ヒトの身では到底、耐えきれぬ動きをし続けるのは不可能なのだ。自分から攻撃を繰り出し、それをレオナルト=ヴィッダーに防御させるだけで、自分は勝てると踏んでいた。そして、ジルバ=フリューゲルの予想通り、レオナルト=ヴィッダーの動きはどんどんと鈍っていく。
しかし、自滅させるのは面白くないと感じたジルバ=フリューゲルは振り回す大剣の速度を速めていく。彼の大剣には雷光が走り、大剣自体の振られる速度を加速させることが出来る。
(ダークエルフの薔薇騎士は俺様の動きに対応してきたが、限界を迎えようとしているてめえには無理筋だっ!!)
ジルバ=フリューゲルは因縁の相手と決着を付けれる間際まで来たことで、ほくそ笑むこととなる。そもそもとして、ジルバ=フリューゲルは眼の前で血反吐と流血を繰り返すレオナルト=ヴィッダーからアイリス=クレープスを寝取ってやろうと考えていた。
それゆえに、真摯かつ紳士にレオナルト=ヴィッダーの恋愛相談を聞いてきた。それはあくまでもアイリス=クレープスの情報をレオナルト=ヴィッダーから聞き出すことが目的であった。しかし、アイリス=クレープスはジルバ=フリューゲルが思っていた以上に軽率な行動に出た。それにより、ジルバ=フリューゲルは寝取り計画を大幅に変更せざるをえなくなる。
アイリス=クレープスとレオナルト=ヴィッダーの密会場所へ、兵を伴って乱入する。そして、彼女らを物理的に離すことは成功したものの、アイリス=クレープスは2年間の軟禁状態になる。こうなっては、ジルバ=フリューゲルがアイリス=クレープス相手に慰め役となることも出来ない。
ジルバ=フリューゲルには野望がある。王族とのつながりを持ち、自分は国における重鎮となることであった。そして、その野望はそこで止まることではない。ジルバ=フリューゲルはもっと先のことまでをも考えていた。しかし、ハメたはずのレオナルト=ヴィッダーは戦地から生きて帰ってきた。そして、ウィーゼ国の国王はアイリス=クレープスとの婚約に無理難題を突き付けてきた。
ジルバ=フリューゲルは運良く、国王であるロータス=クレープスが助力を差し伸べてくれることになったが、それでも、レオナルト=ヴィッダーの存在が邪魔でしょうがない。遠い昔、とある人物から手渡された『束縛を生み出す運命』を用いて、レオナルト=ヴィッダーたちに魔物をけしかけてきた。しかし、それでもレオナルト=ヴィッダーたちを倒すにまで至らない。
ついにジルバ=フリューゲルは100体近くの魔物を引き連れて、決戦に挑む。まずはレオナルト=ヴィッダーの周りにいる人物たちを疲弊させた。次にレオナルト=ヴィッダーを暴走させた。そして、レオナルト=ヴィッダーを護るためにフィルフェン第1王子が護衛につけたダークエルフの女騎士を圧倒せしめた。
しかし、歯車が狂い、ダークエルフの女騎士を殺すことが出来ず、さらには彼女に秘められた呪力が発動する。この時点でジルバ=フリューゲルは退く選択肢を選ばなければなからなかったのだが、下の下と見ているレオナルト=ヴィッダーが自分につっかかってきたために冷静さを失っていた。
そんなジルバ=フリューゲルを諫める人物が居た。
「よう、ジルバ様。少々、頭に血が昇っているんじゃないですかい?」
「だめよ、ジルバ様。貴方はいつでも冷静沈着に。かつ、非道に手を染めないと。熱くなると路傍の石にけつまづきますわよ?」
いつの間にか、丘の上には屈強なドワーフと妖艶な雰囲気を身に纏うエルフが現れる。そのふたりの内のひとりであるドワーフは長大な戦槌を振り回し、ジルバ=フリューゲルに纏わりつく黒い獣にそれを力いっぱいぶち当てる。
そして、紫色のまさに高位魔術師のローブを身に纏う女エルフは氷のつぶてを自分の前面に展開し、雨あられのように射出する。彼女がそうしたのは、レオナルト=ヴィッダーが屈強なドワーフにより、吹っ飛ばされた後、間髪入れずに戦いに介入してきたダークエルフの薔薇騎士の足を止めるためであった。
「ミットライト! ロビン! てめえら、俺様の戦いに介入する気かっ!!」
「ジルバ様よぉ。熱くなるなって言ってんだよぉ。100匹もの魔物を駆逐された時点で、この戦いは勝ち負け無しでっさ。レオナルトを暴走させた以上の戦果をもぎ取ろうとしてはダメだと、あんた自身が言っていたじゃあないですか」
「そうよ。レオナルト自身の手によって、レオナルト一行を壊滅させる。あなたが思い描いた絵図とはかけ離れているもの。そうなった時に、もし頭に血が昇ったら、止めてくれと言っていたのは、ジルバ様本人よ」
屈強なるドワーフの名はミットライト=リュッケシュルト。そして、高位魔術師のエルフの名はロビン=ブルースト。彼らはジルバ=フリューゲルの側近としての仕事を全うしようとしていただけであった。ジルバ=フリューゲルはベッ!! と盛大に血が混じった唾を吐く。
それと同時にジルバ=フリューゲルの身を包んでいた黄金色の光は、その色の強さと濃さを鎮めていく。ジルバ=フリューゲルの身を包んでいた黄金色の全身鎧は白銀色の部分鎧へと形を変える。
「レオナルト=ヴィッダー。ここでの戦いはここで終わりだ。しかしだ……。お前が安心して寝れる日は今日までだ。おい、ミットライト、ロビン。レオナルトの仲間のひとりを捕まえる作戦はどうなった?」
「それがね? 蝙蝠羽付きの白いネズミに邪魔されちゃってねぇ」
「こっそり、男の娘か半猫半人の貧乳娘をさらってこようとしたんだが、あの畜生、ジルバ様に注視しているかのように見えて、こっちにも気を向けてやがったぜ」
ジルバ=フリューゲルは器用なもんだと感心せざるをえない。ヒトはあくまでもヒトである。レオナルト=ヴィッダーの動きはヒトを越えて、獣の動きと同化している。そして、そんな獣の動きを続ければ、人体に計り知れない負荷がかかるのは当然だ。レオナルト=ヴィッダーが2本の尻尾で自分の大剣を弾く度に、奴の身体からは紅い血が凶風で吹きさらされて舞い散る花弁のように散乱されていく。
ジルバ=フリューゲルの身体を包んでいる黄金色の全身鎧にも、レオナルト=ヴィッダーがまき散らす血が付着する。しかしながら、ジルバ=フリューゲルの身体を包む黄金色の全身鎧自体にも高電圧の電流が流れており、レオナルト=ヴィッダーの血が付着しようとも、一瞬で焼き焦げ、蒸発してしまう。
ジルバ=フリューゲルは思う。レオナルト=ヴィッダーはこのまま自滅するだけだと。ヒトの身では到底、耐えきれぬ動きをし続けるのは不可能なのだ。自分から攻撃を繰り出し、それをレオナルト=ヴィッダーに防御させるだけで、自分は勝てると踏んでいた。そして、ジルバ=フリューゲルの予想通り、レオナルト=ヴィッダーの動きはどんどんと鈍っていく。
しかし、自滅させるのは面白くないと感じたジルバ=フリューゲルは振り回す大剣の速度を速めていく。彼の大剣には雷光が走り、大剣自体の振られる速度を加速させることが出来る。
(ダークエルフの薔薇騎士は俺様の動きに対応してきたが、限界を迎えようとしているてめえには無理筋だっ!!)
ジルバ=フリューゲルは因縁の相手と決着を付けれる間際まで来たことで、ほくそ笑むこととなる。そもそもとして、ジルバ=フリューゲルは眼の前で血反吐と流血を繰り返すレオナルト=ヴィッダーからアイリス=クレープスを寝取ってやろうと考えていた。
それゆえに、真摯かつ紳士にレオナルト=ヴィッダーの恋愛相談を聞いてきた。それはあくまでもアイリス=クレープスの情報をレオナルト=ヴィッダーから聞き出すことが目的であった。しかし、アイリス=クレープスはジルバ=フリューゲルが思っていた以上に軽率な行動に出た。それにより、ジルバ=フリューゲルは寝取り計画を大幅に変更せざるをえなくなる。
アイリス=クレープスとレオナルト=ヴィッダーの密会場所へ、兵を伴って乱入する。そして、彼女らを物理的に離すことは成功したものの、アイリス=クレープスは2年間の軟禁状態になる。こうなっては、ジルバ=フリューゲルがアイリス=クレープス相手に慰め役となることも出来ない。
ジルバ=フリューゲルには野望がある。王族とのつながりを持ち、自分は国における重鎮となることであった。そして、その野望はそこで止まることではない。ジルバ=フリューゲルはもっと先のことまでをも考えていた。しかし、ハメたはずのレオナルト=ヴィッダーは戦地から生きて帰ってきた。そして、ウィーゼ国の国王はアイリス=クレープスとの婚約に無理難題を突き付けてきた。
ジルバ=フリューゲルは運良く、国王であるロータス=クレープスが助力を差し伸べてくれることになったが、それでも、レオナルト=ヴィッダーの存在が邪魔でしょうがない。遠い昔、とある人物から手渡された『束縛を生み出す運命』を用いて、レオナルト=ヴィッダーたちに魔物をけしかけてきた。しかし、それでもレオナルト=ヴィッダーたちを倒すにまで至らない。
ついにジルバ=フリューゲルは100体近くの魔物を引き連れて、決戦に挑む。まずはレオナルト=ヴィッダーの周りにいる人物たちを疲弊させた。次にレオナルト=ヴィッダーを暴走させた。そして、レオナルト=ヴィッダーを護るためにフィルフェン第1王子が護衛につけたダークエルフの女騎士を圧倒せしめた。
しかし、歯車が狂い、ダークエルフの女騎士を殺すことが出来ず、さらには彼女に秘められた呪力が発動する。この時点でジルバ=フリューゲルは退く選択肢を選ばなければなからなかったのだが、下の下と見ているレオナルト=ヴィッダーが自分につっかかってきたために冷静さを失っていた。
そんなジルバ=フリューゲルを諫める人物が居た。
「よう、ジルバ様。少々、頭に血が昇っているんじゃないですかい?」
「だめよ、ジルバ様。貴方はいつでも冷静沈着に。かつ、非道に手を染めないと。熱くなると路傍の石にけつまづきますわよ?」
いつの間にか、丘の上には屈強なドワーフと妖艶な雰囲気を身に纏うエルフが現れる。そのふたりの内のひとりであるドワーフは長大な戦槌を振り回し、ジルバ=フリューゲルに纏わりつく黒い獣にそれを力いっぱいぶち当てる。
そして、紫色のまさに高位魔術師のローブを身に纏う女エルフは氷のつぶてを自分の前面に展開し、雨あられのように射出する。彼女がそうしたのは、レオナルト=ヴィッダーが屈強なドワーフにより、吹っ飛ばされた後、間髪入れずに戦いに介入してきたダークエルフの薔薇騎士の足を止めるためであった。
「ミットライト! ロビン! てめえら、俺様の戦いに介入する気かっ!!」
「ジルバ様よぉ。熱くなるなって言ってんだよぉ。100匹もの魔物を駆逐された時点で、この戦いは勝ち負け無しでっさ。レオナルトを暴走させた以上の戦果をもぎ取ろうとしてはダメだと、あんた自身が言っていたじゃあないですか」
「そうよ。レオナルト自身の手によって、レオナルト一行を壊滅させる。あなたが思い描いた絵図とはかけ離れているもの。そうなった時に、もし頭に血が昇ったら、止めてくれと言っていたのは、ジルバ様本人よ」
屈強なるドワーフの名はミットライト=リュッケシュルト。そして、高位魔術師のエルフの名はロビン=ブルースト。彼らはジルバ=フリューゲルの側近としての仕事を全うしようとしていただけであった。ジルバ=フリューゲルはベッ!! と盛大に血が混じった唾を吐く。
それと同時にジルバ=フリューゲルの身を包んでいた黄金色の光は、その色の強さと濃さを鎮めていく。ジルバ=フリューゲルの身を包んでいた黄金色の全身鎧は白銀色の部分鎧へと形を変える。
「レオナルト=ヴィッダー。ここでの戦いはここで終わりだ。しかしだ……。お前が安心して寝れる日は今日までだ。おい、ミットライト、ロビン。レオナルトの仲間のひとりを捕まえる作戦はどうなった?」
「それがね? 蝙蝠羽付きの白いネズミに邪魔されちゃってねぇ」
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