クトゥルフの雨

海豹ノファン

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嘆きのマッドドクター

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バリンッ!!

ジュワワ…フラスコは割れ、中の液体は床に付着したが床は沸騰して溶けてしまう。

ヤバイ…こんなの皮膚に当たったら…。

「お母さんじゃない!妻だあ!!」

怒るポイントが違っているが…この人とは戦わなくてはならないようだ。
私は固唾を呑む。

「さあ潤実!変身よ!」
「うん!」

私は戦士《クトゥルフ》モードに変化した。
クトゥルフモードになれば戦闘能力が格段にアップし、魔法も使えるようになる。
ルルイエ人ならそのままでも使えるのだが、人間はクトゥルフに変身する必要がある。

クトゥルフに変身すると私の体は一旦水に包まれる。藍色の髪はそのままだが、服は脱げ、ビキニアーマーのような形の鱗か甲羅が纏い、耳は魚の尾びれのようになり、尻尾が生える。

三矛の槍が現れ、それを手を掴む。

後はサキュラの教えて貰った通り、魔斗と戦うのだ!

…でもこの格好、かなり恥ずかしい。
そんな私の思惑を他所にサキュラは言ってきた。

「戦い方は覚えているわね!?」
「う、うん!」

サキュラは戦わんのかい!って話になるがサキュラは憑依する特技はある代わりに生身で戦う事は出来ない。

別に特殊な能力があるらしいが機密事項と言って教えてくれないのだ。

サキュラのようなクトゥルフはイレギュラーらしい。

とりあえず私はまだ初心とは言え戦える、と言うか戦わざるを得ないので今病院内で暴れている魔斗と言うマッドサイエンティスト風の男の人と戦わなくてはならない。

私は武器であるトライデントを構える。

「やる気かいお嬢さん?」

魔斗は馬鹿にするように私に言う。
一目で戦い慣れてないとみられたか。

「馬鹿にしないで!これでも一通り訓練は受けてきたんだから!」

私は声を上げる。

「ほう?ならば確かめてやろうか!!」

魔斗は液体入りのフラスコを私めがけて投げつけてきた。

「ウォーターバリア!!!」

私は手のひらから水の膜を作り、その膜を体全体に覆った。

水がフラスコから私の身を守ってくれる。

とりあえずウォーターバリアを張るのは成功した…しかし成功した事に喜んではいけない、これは実戦なのだ!

そこから攻撃を放てばベストなんだけど…水の膜から向こうは水が早く流れるように身を守っているのでこちらから向こう側は見え難い。

どこに魔斗はいるんだ?
バリアを解くべきか?
しかし解いた所でどこから魔斗の攻撃が飛んでくるかわからない。

私は考えた挙句破れかぶれで攻撃を繰り出す事にした。

「メイルストローム!!」

渦潮が放射状となって放たれる。


「ふはは!どこを狙っている!!」

あれ?私の攻撃は外れた!?
そして向こう側から「ぎゃあぁ!!」と言う無関係な人の悲鳴が響いてきた。

しまった!と私は思った。

「人を巻き込むなんてとんだ失態だねえ君♪」

魔斗は私を責め出した。

ああ、私は駄目だ…。
私は自信を喪失してしまう。

「何やってるの潤実!気にしないで戦いなさい!!」

サキュラは叫ぶ。

でも私…人を巻き込んじゃって…。

「君のせいで何人かやられちゃってるよ!骨折しているみたいだな、頭から血出てる子もいるみたいだぞ、可哀想になあ♪」

魔斗は責め続ける。

「潤実!こいつと私の言葉どっちを信用しているの!?敵の言う事を真に受けないで!戦いなさい!!」

サキュラは魔斗に負けず発破をかける。
…そうだ…魔斗は敵…ワザワザ真に受ける必要など無い!

サキュラの言葉で私は戦意を取り戻した。
いち早く魔斗を倒して平和を取り戻さなくては!
しかしウォーターバリアは今の所邪魔だ。

私はウォーターバリアを解いた。

ウォーターバリアを解いた刹那、早速フラスコが飛んで来た。

「ひゃっ!」

バリン!!

フラスコを私はトライデントを奮ってかち割った。
中身の液体は飛び散る。

中身の液体は院内の所々に飛び散り、ジュワワとただれる。

トライデントは魔力が効いているためか、何とも無いようだ。

しかし問題は魔斗のフラスコ攻撃だ。

メイルストロームは有効的な技だが発動に時間がかかるし使う時に大きな隙を作ってしまう。

ウォーターバリアを張ってその上で放って見せれば良いが今の私にはその芸当は無理そうだ。

フラスコをトライデントで割っていく…これも下手すれば身体に付着してしまう危険がある。

フラスコがまた飛んで来た!
次は2、3個だ!

「ウォーターバリア!!」

私はフラスコ攻撃をウォーターバリアで防いだ。

「ちいっ」

魔斗の舌打ちする声。
これだ!

私は魔斗との戦法を思いついた!
一時隙を作り、奴がフラスコを投げて来た時にバリアで身を防ぎ、また解いて…その繰り返しでいけばなんとか!

名付けてだるまさんが転んだ作戦!

私はまたバリアを解いてみる。
そして私はトライデントを構えて駆け出す!
奴がまたフラスコを投げてくる。
私はそれをバリアでまた防ぐ!

よし!

「あ!しまった!!」

魔斗が白衣を手探りして慌てだす。
どうやらフラスコを使いきったみたいだ。

この勝負、勝てる!

「でやあああ!!」

私は勢い勇んで魔斗をトライデントで一思いに突き刺そうとした。

「…てなんてな♪」

その時魔斗はニヤッと口元を上げ、フラスコとは別の、鋭利そうな小刀を二つ手に持った。

「手術《メス》!!!」

そして魔斗は目にも止まらぬ速さで私の身を切り刻んでしまった。
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