クトゥルフの雨

海豹ノファン

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風と地の祟り

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かまいたちが私のウォーターバリアを弾く音が向こう側からするが大丈夫、私に傷はいってない。

「戦う気になったか海溝潤実!」

戦うというより貴女達が私を殺す気でいるんだから変身するしかないでしょう!

…というような言葉も思考も出来ない私はウォーターバリアからメイルストロームを放ち、奴らから逃れるというシュミレーションを展開させていた…が…。

「地割噴出砕《じわれふんしゅつさい》!!!」

チクはその前に大槌で大地を地鳴りが轟く程に叩き
、そこから地割れが私めがけて走りだし、地割れから出来た幾メートルかある深い谷底に私を落とした。

「キャアァ!??」

私はチクの大槌からの地割れで出来た谷底に落ちる。

どこまで落ちるのっと思った所で全身を強く打った。

クトゥルフに変身しているから致命傷には至っていないが脳しんとうでも起こすんじゃないかと思うほどの衝撃を受けた。

気がつくとそこは暗く、天上から光が差し込む程度
、幅は2メートル程だが深さはざっと建物の3階分はありそうである。

「ハハハ!文字通り地獄に落ちたな!しかしこれから本当の地獄を見せてやる!!」

上からチクとシンナが顔をだし私を罵る。
声は深く響き渡り聞こえ方は地上にいる時とはまるで違う。

勿論そんな悠長な事考えられる事態では無いが。

その時、地割れが狭まりだす。

「フハハハハ!この地割れは時間が経てば確実に閉ざされる構造に出来ている!お前はこのまま生き埋めになるのだ!!」

「お前は姉御、そして親友の葛子を殺したんだ!それなりの報いは受けて貰わないとな!!」

二人は事実無根な事を言いたい放題罵る。

「違います!私は殺していません!!」

「自分が助かりたいからって嘘こいてんじゃねえ!!」

私は潔白を訴えるが二人は聞く耳持たない。

「ゆ、許して…許してよ!私は殺してません…助けてぇ!!」

必死の命乞い、濡れ衣を着せられ死ぬ間際のどうしようもない心境に私は泣いてでもプライドを捨てざるを得なかった。

そうしている間にも地上はゴゴゴと音を立て狭くなっていく。

どうしようどうしよう…!

私は焦る。

その時、首にかけられている奈照さんの石が白い光をたたえていた。

奈照さんっ!

私は地に膝をつき、奈照さんの魔力石を握り、祈った。

奈照さんっ!
私を助けて…!

その時だった。
私の脳裏に奈照さんがワルキューレ姿で現れる。

(奈照さん!)

『潤実ちゃん!とんだ濡れ衣着せられてるわね、でも大丈夫!私が助けてあげるわ!』

奈照さん…!
こんな私にも味方はいる…!

私は奈照さんの暖かい声に励まされる。

その時、私の背中に白く輝く鳥のような羽根が生え出した。

「な、何だあれは!?」

二人の呆気に取られたような声が放たれる。

これは…奈照さん…!?
奈照さんの魔力石から出せるのは傷を癒す力だけだと思ってた…翼まで出せるんだ!

その時、私の脳に羽根の羽ばたかせ方、空の飛び方がインプットされだした。

奈照さんが助けてくれるんだ!
凄い!私の頭に奈照さんが羽ばたく姿が映し出される。

私は見よう見まねで翼を羽ばたかせる。
すると私は宙に浮きだした。

『さあ私についてきて!!』

奈照さんが空を飛びながら私を誘う。

「奈照さんっ!」

私は奈照さんの後を追うように空を舞う。
大地は閉ざされたが私はこうして何とか脱出出来た。

後はここから逃げるだけ…!
私は命を狙う二人組から逃げようと翼を羽ばたかせ空の上を進む。

「あいつ…姉御だけでなく奈照さんまで…!」

一方、二人はワナワナと更に怒りを増幅させている。

シンナが日本刀で空を羽根を斬るように斬り、空の上にいる私めがけてかまいたちを放った。

ザンッ!

私の背中の翼が斬られる。
すると地の重力が働き、私は地上に落下した。

「きゃあああ!!」

私の悲鳴は虚しく響く。

ドサリ!!

翼を裂かれた私は地に崩れ落ちる。
クトゥルフだから軽い傷程度だが生身なら少なくとも骨折はしているだろう。

しかし翼をもがれた今走って逃げなくては…!

私は震える足を立たせて走ろうと地を蹴る。
しかし私の腕に大きな手が掴まれた。

「ヒヒヒ、逃がさねえぞ!」

後ろにはチクとシンナがにやにやと笑いながら私を地獄に引きずり込もうとしていた。

心臓が止まるんじゃないかという程の恐怖が私を襲う。

ピカライオン、助けて!

その願いも虚しく私は思い切りチクに引き寄せられたかと思うと抱きしめられる、いや締め付けられる。

これは抱きしめると言った形上はそれだが、体が圧迫され、握り潰されてしまう程の痛みと苦痛が伴う。

「ガガガ…や、やめて…!」

私はチクに締め上げられ、もがく。

「ヒヒヒチクはこうして何人もの不届き者を締め上げ、病院送りにしてきたのだ!」

ご親切にシンナが説明をする。

グリグリグリ!!

イ…イタイイタイイタイ!!!

体が締め上げられ私の口からは泡が出始め、目は上を向き殺すなら早くしてくれと思うようになる…丁度そんな時…。

「いつまでやってんだ!」

シンナがチクの足を蹴り、私を締め付け地獄から解放してくれる。

チクから手を離された私は地に崩れる。
しかし私は助かった。
シンナさんが救いの神に見えてしまったがそれもまた私の間違いだった。

「おらっ!地面に這いつくばれ!」

私はシンナに足で蹴られ、仰向けに地に転がった。
仰向けになった私にはシンナとチクの地獄の鬼と思わせるような姿が見えた。

「ドスッ!」

チクは私の両手を広げた形で押さえつけ身動き出来なくする。

シンナは何と日本刀を私の腹に突きつけるような形で立っている。

刀の先のチクリとした感触が私の腹に襲いかかる。
これはこの人らの拷問法の一つなんだろうか?

「奈照さんまで殺してやがったとは…これからジワジワとなぶり殺しにしてやる!!」

シンナは私の下から上を刀で線を入れようとしている。

「ち、違います私は殺してない殺してない!!」

「うるさい黙れ!姉御も奈照さんも殺した罪はただじゃ気が済まねえ!!」

駄目だ何言っても通じやしない。

「やめてやめてやめて!!」

日本刀が私の腹から上に線を入れようとする所にシンナのポケットの携帯の音が鳴り出した。

「良いところだったのに、何?」

電話に出るシンナ。

『いつまで遊んでいる、海溝潤実という女を可園神社にまで連れて来い!!』

男性の声だった。

「わかったよ!」

電話を切る。

「命拾いしたな後は神主様に可愛がってもらえ!」

「お前は二度の罪を犯したんだ5回死ぬほどの罰を受けて反省しているんだな!」

「だだからあれは…」

ドスンッ!

思いきり腹に拳を入れられる私。

「人殺しが安易に口聞いてんじゃねえよ!」

「は…はい…」

とりつく島もなく何も言えない私を二人は乱暴に自分達の車に乗せ、可園神社にまで走らせた。

可園神社…?神主…?まさか…。
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