クトゥルフの雨

海豹ノファン

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ルルイエから徳島へ

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ーーー数日後

「ガニメル兄さん、ここから逃げましょう!」

やがて、寝ている時にサキュラがこう切り出す。

「え?」

「私は予知したの、ずっとこんな所にいたらいつかガニメル兄さんと私は離れ離れになる」

!!!

なんとサキュラには予知能力があった。
僕自身ずっとここにいたら自分自身が壊れるかもと思っていた。

「でも…無理だよ」

とは言えその時の僕はずっとここにいて、洗脳されてきたからか出る事は不可能だと思っていた。

「無理じゃないよ!」

サキュラは僕を真っ直ぐ見て叱咤をかける。

「貴方、ラムシといういじめのリーダー達と喧嘩して負かしたんでしょ!?その気概があれば逃げられる!だからっ!!」

僕はサキュラを見ると何でも出来る気がした。

「ありがとう、君が一緒なら…」

その時「貴様、何他の女と喋っている!」と半魚人が襲いかかってきた。

僕は咄嗟にトライデントを出してしまう。
半魚人は逆にそれを掴む。

「何の真似かなこれは?」

半魚人は僕の槍を掴み詰め寄ってくる。
その時サキュラが棒を半魚人に振るった。

「お兄ちゃんに手は出させない!」
「うるさいっ!」

半魚人はもう片方の手でサキュラを殴り飛ばしてしまう。
サキュラは仰向けに倒れ棒は弾かれカランコロンと軽い音を立て床に落ちた。
僕は咄嗟に殺気が湧き、メイルストロームを半魚人に放った。

「半魚シールド」

半魚人はシールドでメイルストロームを防ぐ。

「甘い!水竜槍!!」

僕は空高く跳ねてトライデントを真下に構え半魚人を頭上から一思いに突き刺した。

「グギョオォ!!」

半魚人は頭から噴き出し倒れた。

僕はサキュラを抱き起す。

「サキュラ!しっかりしろ!」
「お兄ちゃん…」

僕はサキュラを抱き抱えて宮殿から抜け出した。
そしてペガサスを駆りて地上に降りる。

しかし地上に降りた所で僕はお尋ね者とされ追われる事になるだろう。

宮殿に戻る事も出来ない、地上に帰る事も出来ない。
僕に残された道は人の知れない所で静かに暮らす事だった。

僕はこうして濃い緑色の洞窟を発見してサキュラを抱き抱えたまま潜った。

想像以上に広い洞窟で淡い光を放つサンゴ礁がそこらかしこに茂っている。

不思議な空間だ。
そしてここは今は海の中で神々が空気を作り、出来上がった「ルルイエ」と言う地下の国だが遥か昔は陸地だった所で、今で言うムー大陸の人々が建物として利用していた場所である事がわかった。

その証拠にルルイエ文字でもない、不思議な丸と鍵穴のような記号の文字が立ち並んでいる。

「これはゼウス、ここに眠る」と書かれてるな…。

僕にはムーの古代文字が読めた。

僕はその奥深くへと潜り、そこを隠れ家とした。
「メイルストローム!!」僕は衝撃波で壁を掘り、部屋を作る。

「ガニメル兄さん…」

サキュラが起き上がった。

「サキュラ、安心をし、奴らからは逃げ切ったよ!」

僕がそう言って見せるとサキュラは優しい眼差しを僕に向けてくれた。


ガニメルSIDEーーー

ここで過ごしていくには食料配達もせねばならないし他こうした生活はずっとは続いていけない。

という事で僕らは「チジョウ」なる世界に出る事にした。

身を隠してチジョウ行きの列車に乗る僕とサキュラ。

周りの人は正体を隠してる僕らを若干訝しんでいたが僕とサキュラは一人では無かったので苦にはならなかった。

『どうして正体を隠している?』

駅員に聞かれたが「火傷してるんです」で誤魔化せた。
やがて「チジョウ」に上がる僕達。

「う!眩しい!」

チジョウは思ったより眩しかった。

「お兄ちゃん!凄いあそこにライトが点いてる!」

「あれは「タイヨウ」だね、地上の人達はタイヨウの恩恵を受けているから生活出来てるんだ」

「へえ、凄いね!」

サキュラも興奮していた。
どうやらチジョウは「トクシマ」と言う地名らしい。

その時肌色黒髪の男が僕らに聞いてくる。

「この人達何言ってるかわからない、何と言ってるの?」

「日本語だね、なんだお前たちはと言ってる」

僕は通訳する事にした。

「ルルイエ?なんだそれは」

「地下にある世界なのですが知らないみたいですね」

「それよりそんなカッコして暑苦しくないか?」

僕は遠慮し、暗に知ってるのか聞いてみたが男はルルイエの事は本当に何も知らないようだから脱いでみせた。

「うわっ、美男に美女!姿隠す事無いのに何で隠すんだい?実は芸能人とか?」

「ははっ違います…」

僕らは否定した。
ともあれ徳島《ここ》にはルルイエの事は何も知られてなくて安心した。

僕らはとりあえず生活物資を調達するが徳島が思ったより良い所なので段々と地上に興味が湧いてきた。

「徳島って良い所だね!私も徳島語習いたい!」

「ははっ、徳島語じゃなくて日本語だよ、君に教えるね!」

僕はサキュラに日本語を教えた。
サキュラは次々と日本語をモノにした。

そしてラノベ「ゼウむす」「交換日記」などを買いコミック「きらきらWNI」の娯楽本を買う。

そして地上の文化や技術を体得してルルイエに戻る僕ら。

居座ってもみたが大使館が許してはくれなかったのだ。

「居させてくれても良いのに…」

「海外の人が滞留するにはビザが必要なんだってさ…」

ルルイエに戻ると逃亡生活の続きをする事になるがそれはそれで作った無骨な隠れ家にデコレーションを加える事が出来て良かったと思う事にした。

僕は地上で得た技術で部屋を改変させた。
サキュラもそれに興味を持ち出したのか、更にデコレーションを加えた。

こうした逃亡生活はストレスがかかる。
息抜きの意味でもデコレーションはストレス解消にもなった。

「良いのが出来た!これからも逃亡生活するとしても私は辛くなんかないよ!だってお兄ちゃんがいるから!」

「僕もだよサキュラ、ずっと一緒にいよう!」

ーーールルイエ宮殿

デジェウスSIDEーーー

くっ、あのガキ儂に隠れて女と戯れるだけでなく逃げてしまいおって!

「あのガキはまだ見つからんのか!」

「はいっ、手分けして捜しているのですが…」

「何としてでも捜し出せ!」

儂は使いを差しむけガニメルと少女を捜させた。

「ご心配には及びません皇帝陛下」

「ハデックか何用じゃ?」

「実はサキュラと言う小娘には呪いにガニメル暗殺の異能を授けております」

黒いローブの顔の見えない男はそう答えた。
これでも儂の部下だ、怪しい術を使う以外は優秀な部下だ、と言うか儂は優秀な部下しか雇わん。

しかしガニメルと言うガキは見誤ったわ。
ガニメルよ、のうのうと過ごしていけるのも今のうちじゃぞ!

ガニメルSIDEーーー

「私も異能使えるようになりたい!」

サキュラは言い出した。

「異能かい?」
「お兄ちゃんやルルイエの人達は異能が使えるのになんで私は使えないの!?」

サキュラは泣きそうになってる。

「異能なんて無くても君には予知能力とかあるし頭も良い、それだけでも助かってるよ!」

「嫌だ!私も異能使いになりたい!ケイみたいに火使えるようになりたいしナツみたいに雷使えるようになりたい!!」

いつになくワガママなサキュラ、仕方がない、こう言う逃亡生活だと女の子にはストレスもかかるだろうしサキュラも何も出来ない自分に不甲斐なさを覚えてるんだ。

男は度量、彼女の意志は尊重してあげよう。
そもそも親としての責任であり、ネクロノミコン用いてでも側に居て欲しくて作った子なんだ。

「しょうがないな、ルルイエ神殿に行こう、そこで水を清めたら異能を身につけられるよ」

「ほんと?やったー!!」

機嫌が直った、サキュラにはずっとこういう笑顔でいて欲しい。

僕は姿を隠してルルイエ神殿に行き、サキュラに異能を身につけさせた。
サキュラは衣服を脱いで身を清める。

その間僕は見張りをしていた。

しかしサキュラに異能を覚えさせた事が後に悲劇を招くことになるとは、僕は思いも寄らなかった。
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