クトゥルフの雨

海豹ノファン

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異能は愛ゆえに

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「出来た☆」

サキュラと僕は彫刻を掘り、僕とサキュラの姿をした像を完成させた。

「サキュラ、よく頑張ったな!」

「お兄ちゃんも!これで私達死んじゃった後もずっと一緒だね!」

「ああ、でも死ぬのは互いに年取ってからだぞ!」

「はーい♪」

そしていつものように湯に浸かり、夕食を済まし、歯を磨き、一緒の寝床に上がる僕ら。

「サキュラ、愛してんぜ…」

「ガニメル、私も愛してる…」

口付けを交わし体を互いに可愛がる。
服を互いに脱ぎあいまた体を味わう。
いつしかそれは日課となっていた。
サキナはどうしてるだろうか?

彼女はもう他の男と結婚して幸せになってると言ってた…。

「ねえガニメル…」

「え?」

「今他の子の事考えてたでしょ?」

ジト目で僕の顔を覗き込んでくるサキュラ。

「え?そんな事…」

僕は何故そんな事を知ってるんだと思い気恥ずかしくなる。

「嘘、顔に書いてあるもん」

ああそう言うことか…サキュラ、そんな言葉どこで覚えたんだ?

「ガニメル…私だけを見て、私にはガニメル兄ちゃんしかいない、そしてガニメル兄ちゃんにも私しかいないんだから!」

「サキュラ…」

そうだな、サキュラだけをずっと見ていよう!
サキュラ…これからもずっとずっとずっと一緒だ!!!

海溝潤実SIDEーーー

「あれ…?今の…」

私は確かに見た…ガニメルとサキュラがどう出会ったのかを。

「見えたのね?」

「う、うん」

サキュラが静かに聞いてきたので私はコクリと頷き答える。

「な、なあ、一体何が見えたん?」

「貴方には関係ない」

「にゃにおうっ!」

ああトラテツとサキュラが睨み合ってる!また喧嘩になりそうだよ。

「喧嘩しないで!私は見たよ、なんかカッコいい男の人…そうその彫刻と同じ顔形をした男の人が出て来て…」

「そう…やはり…」

サキュラは俯向き静かに言う。

「でもってサキュラが何か明るくて可愛かった!」

私は頭の中で見たサキュラがとても可愛くて瞳をキラキラさせて答えた。

「余計な事は思い出さなくて良いから」

「へえ、この仏頂面なサキュラがなー」

「ところでなんでこんなになったの?」

「言わなくてもわかるでしょ、続きは私が聞かせるわ」

サキュラSIDEーーー

「サキュラ!愛してんぜ!愛し…」

ガニメル兄さんは一杯私に愛を注いでくれる!
嬉しい…しかしその後異変は起こった。

「…愛シ…テンゼ…」

ガニメル兄さんの声がどんどんとしゃがれていき、仕舞いには人間が発してるのか獣が発してるのかわからないような声になる。

ドサリッ!

ガニメル兄さんは私の上に覆い被さるように倒れ込んだ。

「全く、しょうがないお兄ちゃんだね…」

私はその時気付いた。
兄さんの姿があまりにも変わり果てている事に。

「どうしたの!お兄ちゃんしっかりして!!」

ゾンビのような姿となったガニメルを私は揺さぶる。
あれ?お兄ちゃんがやけに軽く…。
その時だった。
お兄ちゃんの体の一部がボトリと崩れ落ちた。

「キャアアアァ!!!」

私は思わず悲鳴をあげて体を退けずる。
壁にもたれてなんでこうなってるのと言う思いがグルグルと私の中で渦巻く。

しかし答えが中々見つからない。
嫌だ!お兄ちゃん!生き返って生き返ってよ!!

私は現実から逃れるようにしゃがみ込みこれは悪い夢だ!夢から覚めたらいつものお兄ちゃんがいて!と必死に唱え続けた。

しかし唱え続けたところで虚しく時間が過ぎていくだけだった。

「嫌…だよ…何…で?」

私は泣き崩れた。
夢は覚めない、お兄ちゃんは生き返らない…私はずっとここで独りぼっち…。
一体これからどうしたら良いの?

そんな時、私の中に声がした。

『サキュラとやら』

男性の声だ。

「貴方は?」

『儂はゼウス、可哀想に、お主は宮殿の追手から異能を書き換えられたのじゃ』

男性は私を哀れむ声で放つ。

すると神々しい感じの男の人が光を纏い現れた。
杖を持っていて老齢っぽくはあるが体つきは逞しく、端正な顔立ちだった。

「神様!?お願い!お兄ちゃんを生き返らせて!!」

『すまぬが…それは出来ん…』

「どうしてっ!?」

私は気が動転してた、だから神様みたいな人が現れたからには何か出来るだろうとすがりたかった。
それにこの人ゼウむすで見たゼウスに似てるし。

『人はいつかは死ぬのじゃ、助けられる命なら助けられるがこうなってしまってはもう手の施しようが無い、それにその方がガニメルも幸せじゃろうて…』

「嫌だっ!私ずっとガニメルと一緒が良い!どんな姿でも構わない!例えゾンビでも…」

『諦めなさい、そこでサキュラとやら…そなたには試練を与えたい』

「しれん?」

『そう、そなたはさっきも言ったと思うが呪いの異能を書き加えられた、その者はデジェウスの手下じゃ!』

「デジェウスの手下…!?」

デジェウスはガニメルを仕え、好意を裏切った為に目の敵にし出し、使い全員でガニメル兄さんを追い詰めていたルルイエ皇帝だ。

『ガニメルも言っておる、仇を討って欲しいと』

ゼウスは何も無い所に流し目を送る。
しかし私にはわかった。
兄さんの悲しい叫び声が。

「お兄ちゃん!そこにいるの??」

私はガニメル兄さんがいるだろう方向に顔を向ける。

『よくわかったな、しかし見る事も聞く事もそなたには出来ない、だから儂がガニメルに代わって答えよう、実はデジェウスはお主らが地上に上がった事を知り、一度使いを出した!』

「ええっ!?」

なんて事…地上に上がった事をデジェウスに知られていたなんて…!

私はずっと留まってたらと思うと身の毛がよだった。

『そして地上を知ったデジェウスはニンゲンなる者達にインスマスなる力を与え、地上を混乱させようとしているのじゃ!』

「人間は異能が使えないんですか?」

『正式にはある!しかし人間なるものに異能を与えたらそれこそ大変な事になる、そこで儂は人間に備わっていた異能を封じ込めたのじゃ!』

ゼウスの表情が真剣味を増す。

「大変ってどう大変なのですか?」

『人間とは卑劣で好戦的、異能を持ってしまえば気に入らない者を呪い殺したり操ったりして何もかも滅茶苦茶にしてしまう、だからサキュラ、お主には本題の試練の話を聞かせよう!』

「しかし徳島の人達はそんな風には見えなかった…」

『中には気高い者もいよう、しかしその者は少数派じゃ、ストレスのかかりやすい地上や人間の特性では仕方の無い事じゃが』

ゼウス様の話はこうだ。

デジェウスは地上にインスマスを増やし混沌を起こそうとしている。
混沌に乗じて地上を奪おうとしている。

だからガニメルの仇を討ちがてら地上を救って欲しいとの事だ。

そこで私はインスマスと対抗する意味でクトゥルフを結成し、毒を持って毒を制すと言う地上のことわざの通り人間に異能を与え、インスマスと対抗させる事にした。

私は一度姿を隠し外に出る。

そこで人と人が話してるのを見る私だが私はとんでもない事を人の心を読む事で知ってしまった。

ガニメル兄さんの魂を苦境に送り生き地獄を味あわせてやろうとデジェウスが画策していたのだ。

そうはさせない!私は再度天上にあるルルイエ宮殿に向かった。

私が付けた副スキル、異能で身につけた読心術は知る事が出来なかったようね…この術は色々攻略に役立つ。

人の心は醜いが、読む事で情報は知る事が出来る。
笑顔の中に何かがある。
それが異能を身につけて以来新たに人間を見てわかった常識だ。
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