24 / 186
第24話「性的欲求の波動を制御することによって得られる利点」
しおりを挟む五月十四日(土)十一時十八分 旧・真希老獪人間心理専門学校
「今の僕のエーラ、どういう風に見える?」
シモダさんが両手を広げて俺を見る。
その体の輪郭に沿って、光のようなエネルギー——エーラがシモダさんを包んでいる。
そう、まるで。
「纏っているように見えます。」
「その通り。」と、シモダさんが指を立てる。
「僕は今、エーラを纏っているんだ。ただ、初めからこのエーラの発し方をしていたわけではないんだよねー。訓練して、制御できるようにしたのさ。」
その言葉が終わると、シモダさんをかたどっていたエーラがみるみる膨らんでいった。
球状になったエーラは、先ほどまでの四倍の大きさはありそうで、鮮やかな黄色も薄く引き伸ばされたように見える。
「これが本来の僕のエーラの形だ。今の君と同じ、無秩序なエーラだね。それを、普段から制御して鎧のように纏っている。制御って言っても、もうほとんど癖みたいになってるんだけどねー。」
シモダさんが朗らかに笑う。
鎧のように制御して纏う。
「それって、一体何のために……」
「んーっとねー。例えば光に当たると、その部分に熱を感じるでしょ? でも、光には触れることが出来ない。なぜなら光は物質ではない、とされているから。それでも、熱を感じる以上エネルギーは確かにそこに存在している。エーラもそれと似たようなものでねー。質量ゼロでも存在するエネルギー。」
シモダさんを覆うエーラが、再び収縮していく。
「こうやって、濃く、小さく、凝縮していくと、物理的な力を持つようになるんだ。振るう拳は威力を増し、受ける痛みは減少する。ま、流石にナイフは刺さるし、銃で撃たれたら死ぬんだけどねー。」
シモダさんは拳を握って見せた後、すぐに開いておどけてみせた。
「全然意味がわかりません。」
正直に告げる。
「やー、ごめんねー。僕もそこまで詳しくはわからないから、これ以上説明のしようがないんだよねー。ここからは体で覚えてって言うしかないねー。」
体で?
「そう、みんな大好き修行パートに突入だよー。君にはこれから、エーラを制御してもらう。」
再び、指先をびしっと立てる。
「制御って……ここで、ですか?」
「勿論。 あ、でもいきなり僕みたいに纏えとは言わないよー。ただ、最低限エーラを小さくする術は覚えてもらわないと困っちゃうんだよねー。」
全然困ってなさそうに見えるが。
「エーラって、基本的にエーラを発する人間には視えちゃうんだ。君同様にねー。だから、エーラを持ってる人同士、近くにいるとすぐにわかっちゃう。人によっては、エーラを視なくても肌で感じることができたりもするんだよ。何度も言うけど、君のエーラの量は規格外なんだ。僕のさっきのエーラの数百倍はあると思ってもらった方がいい。」
数…百⁉
「そんなにですか⁉」
「やばいでしょ? そんなエーラを無防備のまま学校内に置いとけば、『パンドラの箱』にすぐさま見つかっちゃう。ここを旧校舎にした意味もなくなっちゃうのさ。」
シモダさんはそう言いつつ、おもむろに旧校舎の木製の扉へと近寄っていく。
「そこで、エーラを制御するもう一つのメリット。エーラを小さくして、感知から逃れようって話だ。でなきゃ本校舎にはとてもじゃないけど連れていけない。…別に巨大なエーラを発する君に限った話じゃない。生徒や講師はみーんなやっていることなんだよ。」
生徒……ってことは。
「嵐山もエーラ、持ってるのか?」
嵐山を見る。
それらしいものは視えない。
嵐山は自分の手を見て答える。
「ああ。だが、今は出てないな。昨日の戦いでだいぶ使っちまったから。」
……使う?
「ってか、今までの話的にお前も変態なのかよ? その顔で?」
「おいおい、そりゃあないだろう、神室君。」
シモダさんが扉に手を置いて咎める。
「この世に存在する性癖には変態も普通も異常も正常もない。と、僕は考えている。君は違うのかい?」
軋む音を響かせ、シモダさんはゆっくりと扉を開ける。
「まぁ、その辺もこれから一緒に勉強していこう。君さえよければ、ね。」
シモダさんが建物内へ入っていく。
俺たちもその後についていく。
建物内は清掃が行き届いておらず、空気中に埃が舞っていた。
旧校舎。
当然といえば当然か。
「ほら、神室君。こっちにおいでよ。」
真っ直ぐに正面から伸びた廊下の、左の扉。
シモダさんはそこを開け、中へと俺たちを招き入れる。
入った室内には、普通の教室と同様に机が並べられていた。
埃が積もっている机、椅子、床。
その中で、際立って綺麗な机と椅子が三つ、教室の真ん中に並んでいた。
その三つの中の中央の机、そこには小さいノートパソコンのようなものが置かれており、両脇の机と椅子にはⅮⅤⅮがタワー状に積まれていた。
「さ、ここに座った座った。」
小さな機械の前で、シモダさんが笑顔で手招く。
「あの……これは?」
なんだかあまりいい予感がしない。
「ⅮⅤⅮプレイヤーとAⅤだよ?」
さも当然のようにシモダさんは答える。
まさか……。
「あの、これを使って一体なにを……」
ⅮⅤⅮプレイヤーを指さす俺の肩に、シモダさんが手を置く。
「なにって、ⅮⅤⅮプレイヤーとAⅤが揃ってるんだ。当然、ナニに決まってるじゃないか。」
シモダさんの目は真剣だ。
「今から君にはここで自慰をしてもらうんだよ。」
「なんのためにっ⁉」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる