アブノーマル・ラプソディー

星ノ宮幻龍

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第110話「戦いの後始末②」

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  五月二十九日(日)二十時一分 警視庁・埼京線痴漢冤罪多発事件捜査本部

「弁明が必要な覚えがありませんな。」
 真希老獪が鋭く睨み返した先、神経質そうに髪を整えている三白眼の男、花田真は鼻を鳴らす。
「ふん。しらばっくれるな。今回の件、あなたは報告義務を全うせず、独断専行に及んでいる。」
 警視庁の一室、本来の捜査員が厄介払いされた捜査本部にて、五人の男が席を囲んでいる。
 真希老獪を除いた四人は、みな国家権力の重要幹部。
 特に、この男——花田真は警察局の局長を務める男だ。
「痴漢冤罪の可能性、『パンドラの箱』によるテロの危険性、事前にお伝えはしてありますが……」
そっちじゃない・・・・・・・。『。」
 短く、強く、花田真は言葉を突き刺す。
「神室秀青。あれ・・は世界にさえ影響を及ぼしかねん危険人物。だから、われわれ預かろう・・・・と提案したんだ。あなたはそれを拒絶した。『パンドラの箱』の手に渡るリスクが伴うにもかかわらず、結局『鍵』の管理・・をあなたに託したのは、あなたを全面的に信頼してるからだ。」
 横柄に頬杖をついていた花田真は、徐に両手を合わせる。
「その信頼に、できれば報いてもらいたいものだね。」
「なにを仰っているのか、理解に苦しみますな。」
 真希老獪は、さらに声を低める。
「彼は今回、十分な活躍をしてくれました。『パンドラの箱』の構成員を一人撃破し、日本社会の平和維持を果たしました。これ以上にない戦功です。不満の余地などないでしょう。」
「さっきも言っただろう。事前報告の義務だよ。」
 すぐに、花田真は返す。
あれ・・運用・・には厳重な注意を払わなければならない。国の命運が懸かっているのだ。あなたもそれを理解していると思ったからこそ、『鍵』をあなたの」
「まず。」
 それだけ言って、真希老獪はゆっくりと息を吐いた。
「神室秀青。彼は人間だ。我々と一切の隔たりもない、同じ生命だ。あれ・・だの運用・・だの、物のように扱うのはやめていただきたい。」
 空気が張り詰めた。
 真希老獪のエーラを視る事ができる者は、この室内には存在しない。
 それでも、彼が今どういった状態なのかは、この場の全員が即座に理解した。
 今夜の事後報告も、長くなりそうだった。
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