独身男の会社員(32歳)が女子高生と家族になるに至る長い経緯

あさかん

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第2章 独身男の会社員(32歳)が過労で倒れるに至る長い経緯

第8話「とっちゃんの一人舞台に向けて」―――学園side

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 恭子たちの通うタコガクは学園祭まで残り3週間をきっており、学園中はその準備に本格的な動きを見せ始めている。

 そして本日から授業時間の半分はその時間に充てられていた。



「都華子さん、当日メニューの飲み物の件なんだけど……」

「あー、それはこんど業務用スーパーでやっすいドリンク箱買いするから」

 都華子に声を掛けたのはキッチン担当の一人であるクラスメート。


「ねー、相葉―。うちら設営係になってんだけど、何すんの?」

「えーとねー、視聴覚室の隣にある物品倉庫から内装とかで使えそうなもん持ってきてー」

 次は少々ギャルの入った3人グループだ。


「相葉ぁ、保健所に提出するう●こってさー」

「どりゃー!!」

 今度は入れ替わりで隆文が横から現れたが、もう都華子は我慢の限界だった。

「う●こいうな!!ってか、なんで私が全部指示しなきゃいけないのさーっ!!」

「そりゃ、ウチのクラスの出し物が『相葉都華子の一人メイド喫茶』だからだろ?主役だから仕方ねえよ。……ん?そういや何でそんな出し物になったんだっけ?」

「アンタのせいだーーーーーーーーーー!!」

 都華子は「あ、そうだった」などと言う隆文にキレて上段蹴りを放つ。

「おいおい、相葉。そんなに足を上げたらパンツ見えるぞ。あんま興味ないけど」

 切れ味鋭いキックも隆文はあっさりガードしてしれっとそう言った。

 都華子は怒りと恥ずかしさに顔を沸騰させる。

「ねぇ……タカフミ、アンタは乙女の恥じらいをなんだと思ってんの……」

「いや、お前に恥じらいとかはねえだろ」

 隆文のあっさり返す言葉に、都華子はしばらくの間ジタバタ暴れたのだった。


「……はぁ、はぁ。それよりも、他の子たちは?学園祭委員の入江チャンは?こっちは猫の手も借りたいくらい忙しいのに……」

「ああ、アイツはホラ、神海が調理室で『萌えふわオムライス』の試作をしているから、ギャラリーが増えて増えてその対応に追われていたなあ。このクラスの奴らも結構いたぞ」

「あいつらめー。こんなことなら学校なんかでキョウに試作品つくらせなきゃよかったよー」

「だからさ、俺も早く戻って警備とか人員整理とかしないといけないから……っと、そうだ話の続きだ。俺は神海担当だから、神海のう●こは俺が責任もって保健所に―――」

 ちなみに隆文が言っているのは検便のことであり、学園祭などでも食料品を加工して提供する場合、食中毒やウイルス感染を防ぐためあらかじめ保健所に便を提出する必要がある。

「だからう●こ言うなってば!!そんなの絶対タカフミには持たせないし!恭子担当とかそんな役もないし!それに保健所への検便とかそういった難しい手続きは担任の姫ちゃんが……」

 都華子はそう言いかけて、あることを思い出す。

「……そういや、先生ここんとこずっと休んでるよねぇ」

 代わりにHRを担当した教師から体調不良で休むことを都華子たちは聞かされていた。

「私、職員室行って他の先生に検便手続きをどうすればいいか聞いてくるよ」

「おお、それじゃ頼むな。相葉、忙しかったら神海のう●こは俺が持ってくから、本当にいつでも言ってくれよ」

 隆文は都華子に再度そう言って、調理室へ駆け戻った。


「……だから、タカフミにはキョウのう●こなんか絶対持たせないってば。……はぁ、私も職員室いかなきゃだね」


 都華子は職員室へ向かうがてらタカフミには検便のことを「う●こって言うな」と言ったものの『恭子のう●こ』ってなんか響きがいいな、なんて思いながら歩いて行った。

 そして職員室の前まで辿りついた都華子だったが、やはり生徒にその部屋にはなにか入りづらい雰囲気があって扉の前で少し入室を躊躇していた。

「あー、中に誰がいるのかなぁ。英語担当のみっちゃんとかいたら頼みやすいんだけどなー」

 都華子は意を決して扉を開けようとするも、扉の奥から教師たちの話し声が聞こえてきて、会話のなかに『吉沢先生』という言葉が耳に入っていたので扉の前で聞き耳を立てる。


『教頭の話じゃ、吉沢先生って自宅にも居なかったんだって。郵便受けにも新聞が溜まってたみたいで―――』


(えっ……それって……)
 

 都華子はしばらくの間、職員室の扉に耳を当てジッとしていたせいか、廊下を行き来する生徒たちにとても奇妙な目でみられていた。
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