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組織入団テスト編
成人男性みたいな者が幼女のいる場所に、駆け付けたようです。
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「ルリルリ……」
向日葵は腹部が欠損した瑠璃を抱え走りながら考えていた。
これからどこへ向かうべきかを。
まず、浮かんだのは、山頂にあるこの試験の受付会場。
「だめじゃ、ここから山頂へ登っていたのでは、あやつに追いつかれてしまう」
ひまわりの言う、あやつとは、先ほど瑠璃と協力して倒したカメレオン型のマティアスのことであるが、それは、いま、形態を変えて、というよりは、人型に産まれ変わって追ってきている。
まだ、人型の形態になれていないためか途中で木の根に足を取られ転んでいるようだが、人型の身体に馴れ、上手く走れるようになり、私たちに追いつくのには、そこまで時間はかからないだろうと向日葵は予測する。
次に浮かんだのは、このまま下山を行うこと。
「これも、ダメじゃの~一般市民に被害者が出てしまうかもしれん」
この試験会場は旧富士山と呼ばれていたかつての観光名所だけあって、一般市民でも普通に入登することが可能となっている。それでは、なぜ、試験中に会わないのか?それはとても簡単なことで、毎年この時期になると各組織が試験を行うことになるため。あらかじめ、人払いをしている。といっても、あくまで、人払いをしているのは第1入場ゲートまでであり、それより下は普通に一般市民である観光客などがいる。
つまり……
「うぬ、どうしたものかの~」
向日葵の思考は、八方ふさがりになった。
そんな向日葵の耳元でささやくように声をかける存在が表れる。
その声から紡がれる、言葉はどこかたどたどしく子供のようだ。
「まって、くらる?」
「なんじゃ、と!!」
とっさに、左へ方向を変えその声をかけてきた主と距離を取る向日葵。
「うん、はぁとうんむ、ず、か、し、しぃな」
声の主は、口元に手を当てながらボソリとつぶやく。
その姿は20歳成人男性ほどの見た目をしており、普通の人間成人男性であればついているであろうもの局部にはなく、つるつるである。また、全身が薄く紫色であり、いかにも人間ではありませんといったふうぼう
だ。ただ、向日葵からしたらそのような外見はどうでもよかった、先程の場所から既に1km以上は離れていたであろう、私たちに一瞬で追いついてきたという事実。これが何よりも、大事だった。
「……これは、逃げれないの~」
そう呟く、向日葵。
「うん、そう、だ、ね」
「同意して欲しくていったわけではないんじゃがの~」
嫌味をこめて言葉を返す。
「そう、な、ん、だ」
こやつ、人の言葉が徐々にうまくなってきておる。
この短時間で、言語を学び始めているようじゃの。
なんというか、さすが、化け物じゃの~。
儂らも人から外れた道を歩いて居るが、所詮は、人の道から外れた人であった人である儂らでは、こやつら、本物の化け物には勝てんの~。
そう思った、次の瞬間……
向日葵は腹部が欠損した瑠璃を抱え走りながら考えていた。
これからどこへ向かうべきかを。
まず、浮かんだのは、山頂にあるこの試験の受付会場。
「だめじゃ、ここから山頂へ登っていたのでは、あやつに追いつかれてしまう」
ひまわりの言う、あやつとは、先ほど瑠璃と協力して倒したカメレオン型のマティアスのことであるが、それは、いま、形態を変えて、というよりは、人型に産まれ変わって追ってきている。
まだ、人型の形態になれていないためか途中で木の根に足を取られ転んでいるようだが、人型の身体に馴れ、上手く走れるようになり、私たちに追いつくのには、そこまで時間はかからないだろうと向日葵は予測する。
次に浮かんだのは、このまま下山を行うこと。
「これも、ダメじゃの~一般市民に被害者が出てしまうかもしれん」
この試験会場は旧富士山と呼ばれていたかつての観光名所だけあって、一般市民でも普通に入登することが可能となっている。それでは、なぜ、試験中に会わないのか?それはとても簡単なことで、毎年この時期になると各組織が試験を行うことになるため。あらかじめ、人払いをしている。といっても、あくまで、人払いをしているのは第1入場ゲートまでであり、それより下は普通に一般市民である観光客などがいる。
つまり……
「うぬ、どうしたものかの~」
向日葵の思考は、八方ふさがりになった。
そんな向日葵の耳元でささやくように声をかける存在が表れる。
その声から紡がれる、言葉はどこかたどたどしく子供のようだ。
「まって、くらる?」
「なんじゃ、と!!」
とっさに、左へ方向を変えその声をかけてきた主と距離を取る向日葵。
「うん、はぁとうんむ、ず、か、し、しぃな」
声の主は、口元に手を当てながらボソリとつぶやく。
その姿は20歳成人男性ほどの見た目をしており、普通の人間成人男性であればついているであろうもの局部にはなく、つるつるである。また、全身が薄く紫色であり、いかにも人間ではありませんといったふうぼう
だ。ただ、向日葵からしたらそのような外見はどうでもよかった、先程の場所から既に1km以上は離れていたであろう、私たちに一瞬で追いついてきたという事実。これが何よりも、大事だった。
「……これは、逃げれないの~」
そう呟く、向日葵。
「うん、そう、だ、ね」
「同意して欲しくていったわけではないんじゃがの~」
嫌味をこめて言葉を返す。
「そう、な、ん、だ」
こやつ、人の言葉が徐々にうまくなってきておる。
この短時間で、言語を学び始めているようじゃの。
なんというか、さすが、化け物じゃの~。
儂らも人から外れた道を歩いて居るが、所詮は、人の道から外れた人であった人である儂らでは、こやつら、本物の化け物には勝てんの~。
そう思った、次の瞬間……
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