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「リディア、お前は俺のものだ!」
扉を開け放って飛び込んできたエドワード殿下の声が、部屋の空気を震わせた。
私のすぐ傍らで、アレン殿下が冷ややかに笑う。
「……まだ分からないのか。お前にリディアを語る資格などない」
「資格だと? 俺は第一王子だぞ!」
「地位の話をしているのではない。心の話だ」
「なに……?」
二人の視線が鋭く絡み合う。
その緊張感に私は思わず身を縮めた。
「やめてください、二人とも……」
私が制止しようと口を開くが、同時に二人から強い声が重なった。
「黙っていろ、リディア!」
「口を挟むな、リディア!」
思わず目を瞬く。
同じ言葉なのに、全然違う響きに聞こえる。
アレン殿下の声は、私を守るための強さで。
エドワード殿下の声は、私を逃さぬための必死さで。
胸が痛いほどに締め付けられる。
「リディア、俺はお前を愛している」
先に言葉を投げたのは、エドワード殿下だった。
真剣な眼差しで、私をまっすぐに見つめてくる。
「過ちを犯した。お前を『役立たず』と罵ったのは愚かだった……。セシリアに甘言を囁かれ、目が曇っていた。だが、気づいたんだ。俺に必要なのはリディア、お前だけだと」
……あぁ。
昔、私がずっと求めてやまなかった言葉。
胸が揺れる。
「殿下……」
「戻ってきてくれ。もう二度と、お前を傷つけない。愛しているんだ、リディア」
必死の声。
その一言一言が、心に沁み込んでくる。
けれど――
「ふん。よく言う」
アレン殿下が私の手を取り、ぐいと引き寄せた。
彼の体温が伝わり、私は息を呑む。
「リディア。あんな男の言葉に惑わされるな。愛している? 今さら? そんな言葉に価値はない」
「なっ……!」
エドワード殿下が怒気を露わにする。
だがアレン殿下は動じない。
むしろ、私の耳元に顔を寄せ、低く囁いた。
「俺はお前を欲している。誰よりも強く、真剣に」
「っ……」
耳に熱い吐息がかかり、全身が震える。
あまりに近くて、逃げられない。
「リディア。俺はもう決めている。お前が迷おうと、拒もうと……絶対に手を離さない」
低い声。
金の瞳が、強い独占欲を宿して私を捕らえていた。
「リディア! そんな男の言葉に惑わされるな!」
エドワード殿下が私の反対側の手を掴んだ。
「俺だって誓う! お前を生涯かけて愛する! 俺の隣に戻ってきてくれ!」
強く握られる手。
彼の瞳も必死で、かつて見たことのないほど真剣だった。
「……二人とも、やめて……」
声が震える。
心臓が激しく脈打ち、頭が混乱していた。
どうして。
どうして今になって、こんなにも真剣に想いをぶつけてくるの。
私なんて、ずっと「役立たず」だと切り捨てられてきたのに。
「俺を信じろ、リディア!」
「俺を選べ、リディア!」
二人の声が重なる。
引っ張られるように、左右から体が揺れる。
「やめてくださいっ!」
思わず叫んだ。
二人の手が、ぴたりと止まる。
静まり返った部屋。
私の荒い息だけが響いた。
「……私は……まだ答えを出せません」
震える声で告げる。
「二人の言葉が本当かどうか……私には、まだ分からないから」
エドワード殿下の顔に焦りが走る。
「リディア、俺は――」
「待て」
アレン殿下が制止する。
「彼女が答えを出すまで、俺は待つ」
「貴様……!」
「だが一つだけ言っておく。俺は諦めない。必ず彼女を俺のものにする」
そう言い切って、私の手をそっと撫でた。
胸の奥が熱くなる。
エドワード殿下も、負けじと声を張る。
「俺だって同じだ! リディア、お前を必ず取り戻す!」
二人の宣言が重なり、空気がさらに張り詰める。
その夜。
私は寝台に横たわりながら、胸に手を当てていた。
アレン殿下の強引で甘い囁き。
エドワード殿下の必死な告白。
どちらの言葉も、心を強く揺さぶる。
けれど――選べない。
「……私、どうすればいいの……」
小さく呟いた声は、静かな夜に溶けていった。
翌日。
神殿の朝は早い。
祈りの儀式を終えた私のもとに、神官が駆け込んできた。
「聖女様! 再び魔物の気配が現れました! 今度は……隣国との国境付近です!」
私は思わず立ち上がる。
その直後、扉が開かれた。
待っていたように、二人の王子が同時に現れる。
「俺と来い、リディア!」
「いや、俺と来るんだ!」
左右から伸ばされる手。
またしても、心臓が早鐘を打つ。
扉を開け放って飛び込んできたエドワード殿下の声が、部屋の空気を震わせた。
私のすぐ傍らで、アレン殿下が冷ややかに笑う。
「……まだ分からないのか。お前にリディアを語る資格などない」
「資格だと? 俺は第一王子だぞ!」
「地位の話をしているのではない。心の話だ」
「なに……?」
二人の視線が鋭く絡み合う。
その緊張感に私は思わず身を縮めた。
「やめてください、二人とも……」
私が制止しようと口を開くが、同時に二人から強い声が重なった。
「黙っていろ、リディア!」
「口を挟むな、リディア!」
思わず目を瞬く。
同じ言葉なのに、全然違う響きに聞こえる。
アレン殿下の声は、私を守るための強さで。
エドワード殿下の声は、私を逃さぬための必死さで。
胸が痛いほどに締め付けられる。
「リディア、俺はお前を愛している」
先に言葉を投げたのは、エドワード殿下だった。
真剣な眼差しで、私をまっすぐに見つめてくる。
「過ちを犯した。お前を『役立たず』と罵ったのは愚かだった……。セシリアに甘言を囁かれ、目が曇っていた。だが、気づいたんだ。俺に必要なのはリディア、お前だけだと」
……あぁ。
昔、私がずっと求めてやまなかった言葉。
胸が揺れる。
「殿下……」
「戻ってきてくれ。もう二度と、お前を傷つけない。愛しているんだ、リディア」
必死の声。
その一言一言が、心に沁み込んでくる。
けれど――
「ふん。よく言う」
アレン殿下が私の手を取り、ぐいと引き寄せた。
彼の体温が伝わり、私は息を呑む。
「リディア。あんな男の言葉に惑わされるな。愛している? 今さら? そんな言葉に価値はない」
「なっ……!」
エドワード殿下が怒気を露わにする。
だがアレン殿下は動じない。
むしろ、私の耳元に顔を寄せ、低く囁いた。
「俺はお前を欲している。誰よりも強く、真剣に」
「っ……」
耳に熱い吐息がかかり、全身が震える。
あまりに近くて、逃げられない。
「リディア。俺はもう決めている。お前が迷おうと、拒もうと……絶対に手を離さない」
低い声。
金の瞳が、強い独占欲を宿して私を捕らえていた。
「リディア! そんな男の言葉に惑わされるな!」
エドワード殿下が私の反対側の手を掴んだ。
「俺だって誓う! お前を生涯かけて愛する! 俺の隣に戻ってきてくれ!」
強く握られる手。
彼の瞳も必死で、かつて見たことのないほど真剣だった。
「……二人とも、やめて……」
声が震える。
心臓が激しく脈打ち、頭が混乱していた。
どうして。
どうして今になって、こんなにも真剣に想いをぶつけてくるの。
私なんて、ずっと「役立たず」だと切り捨てられてきたのに。
「俺を信じろ、リディア!」
「俺を選べ、リディア!」
二人の声が重なる。
引っ張られるように、左右から体が揺れる。
「やめてくださいっ!」
思わず叫んだ。
二人の手が、ぴたりと止まる。
静まり返った部屋。
私の荒い息だけが響いた。
「……私は……まだ答えを出せません」
震える声で告げる。
「二人の言葉が本当かどうか……私には、まだ分からないから」
エドワード殿下の顔に焦りが走る。
「リディア、俺は――」
「待て」
アレン殿下が制止する。
「彼女が答えを出すまで、俺は待つ」
「貴様……!」
「だが一つだけ言っておく。俺は諦めない。必ず彼女を俺のものにする」
そう言い切って、私の手をそっと撫でた。
胸の奥が熱くなる。
エドワード殿下も、負けじと声を張る。
「俺だって同じだ! リディア、お前を必ず取り戻す!」
二人の宣言が重なり、空気がさらに張り詰める。
その夜。
私は寝台に横たわりながら、胸に手を当てていた。
アレン殿下の強引で甘い囁き。
エドワード殿下の必死な告白。
どちらの言葉も、心を強く揺さぶる。
けれど――選べない。
「……私、どうすればいいの……」
小さく呟いた声は、静かな夜に溶けていった。
翌日。
神殿の朝は早い。
祈りの儀式を終えた私のもとに、神官が駆け込んできた。
「聖女様! 再び魔物の気配が現れました! 今度は……隣国との国境付近です!」
私は思わず立ち上がる。
その直後、扉が開かれた。
待っていたように、二人の王子が同時に現れる。
「俺と来い、リディア!」
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またしても、心臓が早鐘を打つ。
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