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未来の息子がやってきた!?
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コツ、コツと足音が聞こえてきたため魔力を使って姿を消す。バンっと大きな音を立て部屋に入ってきたのは『俺』だった。
「あーもー、さっきからお前うるさいんだけど。」
「私だってこんなこと言うためにここに来たわけじゃないのよっ!!」
耳に指をツッコみ顔をしかめている『俺』と、その横で目くじらを立てているのはアニッサだ。
「あんたねぇ、ここ最近酷いわよ。いい加減見てらんない。」
「んじゃ見なければ良いだろ?」
「そういう意味じゃないってことぐらい分かってんでしょうがっ!」
執務室にある大きな机に座ると行儀悪く長い脚を机に乗せ、頭の後ろで腕を組む俺にアニッサが怒りのままダンっと机を叩いた。
「いい加減にして。あの子のことを尊重して今まで何も言ってこなかったけどもう限界。」
「いや、今までもけっこううるさかったけど。」
「黙れ下種が。……あの子が望んだら私、掻っ攫うから。」
「……。」
無言で踵を返して出ていくアニッサに何も言い返さない『俺』。アニッサが俺にキレる事はよくあることだが、あんなに感情を乱してブチギレているのは珍しい。
(…あの子…?)
先ほどの会話も気になるが、『俺』が足を乗せている机でキラキラと輝いているプレートには『組合長』と書かれている。
もしかして魔導士組合のトップにでもなったのだろうか。面倒臭そうだから絶対やりたくないと思っていたのに。こういうのはクリフの専門だ。――まぁ、実力で考えれば俺が一番適任でもあるけど、トップの器じゃない。
――コンコン
「何を考えこんでるんだ?」
「……別に…。」
「はいはい。」
開いたドアに寄りかかりながらノックをしたのは今しがた考えていたクリフだった。
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